ワークライフバランスの話
「ワークライフバランスがとりやすいかどうか」
就活軸にこれを入れている人が増えている。
確かに、仕事に生活が過剰に圧迫されているのは、精神的にも肉体的にもよろしくない。
しかし、「ワークライフバランスがとりやすいか」を考える時点で、自分が環境さえ整っていればワークライフバランスをとることができると考えているということだ。
そもそもバランスって、そんなにとりやすいものだろうか。
物理的にも、精神的にも、生活面でも、バランスをとることは難しいのではないか。
例えば、一輪車に乗ると、いつか必ずバランスを崩す。慣れていない時は、乗ることさえ難しい。
また、受験勉強をしていた時、私の頭の中は受験のことでいっぱいだった。就活だって、自分が就職できるのかで頭がいっぱい。常に不安な毎日。悩んでうつになったり、自殺までする人がいるのだ。
食生活だって、バランスよく食事をとることがどれだけ難しいことか。難しいからこそ、「1日分の○○」が売れているのだ。
よく考え直して欲しい。
バランスをとることは、そんなに簡単なことだろうか。
また、ワークライフバランスを重視しているなんて、自分が一人前に仕事ができるようになってからじゃないと、言う資格なんてないんじゃないか。
ドラフト会議で選ばれた野球選手が会見をする時、「ワークライフバランスを重視して頑張りたいです」と言ったら、「プロとして一人前に活躍できるようになってから言えよ!」と思う人も多いのではないか。
就活の軸に「ワークライフバランスがとりやすいか」を入れるということはそういうことだ。
しかも、ワークライフバランスがとれているかなんて、結果でしかなく、それを目的としていること自体、どうなんだろうと思ってしまう。
いまや、上司が新入社員に「この本おすすめだよ、読んでみなよ」と言ったら、「それは業務ですか?」と言われてしまったり、上司が部下に何かをいうとパワハラにされるのではないかとヒヤヒヤして、結局何も言えなくなってしまったりと、社員の教育もあまりできていないらしい。
終身雇用の制度が崩壊して、上記のように社員の教育さえまともにされていないならば、新入社員が高い賃金をもらえる理由なんて存在しないのではないか。
「お給料はたくさん欲しい。休みも欲しい。福利厚生もしっかりしていて欲しい。残業は嫌だ。」
権利を主張するには、義務を果たしてからにしろ。
しかしこれは、何も身を犠牲にして働けと言っているのではない。ここでいう義務とは、就業時間中に長期的ベストなコンディションで一生懸命働くこと。
そもそも、社員が身を犠牲にするまでの仕事量を引き受けるなんて、その会社が悪い。
社員を大事にしていると言いながら、残業なしでは成り立たない会社?
管理職ってなんのためにあるの?経営陣は何をマネジメントしているの?
平均残業時間が、その会社の働き方を見極めるのに、ひとつの指標になることに変わりはない。
ただ、ワークライフバランスがとりやすいか、これは、あなたにしかわからない。
男性女性に関わらず、人生は何が起こるかわからないし、自分が何を重視したいのかなんて、その時々で変化する。
そんな不確定なもの、もとよりとることが難しいバランスなんて、とらわれないでもいいんじゃない。
私たちはそこまで器用じゃないんじゃない?