わたしに最適な働き方を考える②〜扶養外で働く〜
こんにちは。ミライ・イノベーションnote編集部です。
2回にわたり、働き方をテーマに記事をお届けしています。
前回は「扶養内で働く」をテーマにお届けしました。
興味のある方はぜひ、こちらもあわせてご覧ください。
それぞれのご家庭の状況や考え方によってベストな働き方の定義はさまざまです。2回目の今回は「扶養外で働く」ことについて一緒に考えていきましょう!
1.年収の壁とは
一口に扶養外で働くといっても、「税制上の扶養からは外れても、社会保険上の扶養は維持したい」というように、それぞれのご希望があるでしょう。
希望を叶える働き方をするためには、それぞれの扶養から外れないよう収入の調整が必要になります。
調整する際に、超えてはならない年収の目安がいくつかあり、それらを年収の壁といいます。
当年1月〜12月末までの合計収入が年収の壁を超えると、税金や社会保険料の負担が発生し、手取り金額が減る可能性が出てきます。
全部で6つある年収の壁について知り、ご自身にとって、どこがボーダーラインになるか把握しておきましょう。
①100万円の壁・・・住民税発生の壁
100万円の壁は、超えてしまうと住民税が徴収される可能性があるボーダーラインです。
住んでいる市区町村に納める住民税には、均等割と所得割の2種類があり、およそ年収100万円を超えると均等割が発生します。
金額は自治体や世帯数によって変動があるため一概にはいえませんが、年収93〜100万円を超えると課税されます。
住民税を納めると収入が減少することになるため、気になる方はお住まいの自治体の基準を確認しておいたほうがよいでしょう。
②103万円の壁・・・所得税発生・配偶者控除対象外の壁
年収103万円を超えると、税制上の扶養の対象外となり、所得税および住民税の所得割が発生します。
扶養から外れることで、一家の主たる納税者に課される税額が増えます。
被扶養者は年収103万円を超えた分に対して所得税が課されることになり、手取り額が減少する可能性があります。
住民税の所得割は100万円を超える年収があると徴収されるようになりますが、納税者の年収が1,000万円以内の場合、配偶者特別控除が適用されるため、主婦(主夫)の場合は収入に応じた控除を受けることが可能です。
扶養控除の対象となる方にとっては、注意が必要な壁といえます。
③106万円の壁・・・条件次第で社会保険の加入義務が発生する壁
106万円の壁は社会保険への加入義務が発生する可能性があるボーダーラインです。
2022年10月以降、社会保険の適用が拡大され、パートやアルバイトといった短時間労働であっても次の要件を満たす従業員は社会保険の被保険者となることが義務づけられるようになりました。
要件にある所定内賃金、月額8.8万円が年収換算でおよそ106万円になることから106万円の壁といわれるようになりました。
所定内賃金とは、交通費や残業代、ボーナスを含まない基本給と手当の合計金額です。
106万円はあくまで目安であり、この収入を常に保つような働き方をする見込みがあると判断された段階で社会保険の加入義務が発生します。
これまでは対象企業が従業員数101〜500人の企業とされていましたが、2024年10月からは従業員数51〜100人の企業に引き下げられました。
社会保険に加入した場合、給与から保険料が天引きされることになるため、手取り金額が減少する恐れがあることを覚えておきましょう。
④130万円の壁・・・社会保険加入義務発生の壁
130万円以上年収があると、社会保険上の扶養範囲から外れることになります。
106万円の壁では、勤務先の規模や労働時間等の要件に当てはまる場合に加入義務が発生しました。
130万円の壁では、60歳以上の被扶養者および障がいのある被扶養者を除く、すべての人が自分で社会保険料や年金を支払うことになります。
社会保険料は交通費のほか、手当や残業代、ボーナスを含んだ標準報酬月額を元に算出されます。
130万円の壁においては、年収を計算する際に上記の報酬を合算するのを忘れないようにしましょう。
⑤150万円の壁・201万円の壁・・・配偶者特別控除対象外の壁
納税者の年収が900万円以下で配偶者特別控除が適用されている場合、年収150万円は満額で控除を受けられる被扶養者の年収上限にあたります。
150万円という数字は「配偶者特別控除の満額38万円で控除できる配偶者の所得上限額95万円」+「給与所得控除55万円」から来ています。
年収150万円を超えると控除額が段階的に減っていき、201万円を超えると配偶者特別控除額が0円になります。
配偶者特別控除の側面だけみると、税制上の扶養の壁である103万円を超え、年収150万円までなら損をせずに収入が増やせるように感じますが、106万円・130万円の壁を超えることで一気に負担が増すことを忘れないようにしましょう。
2.社会保険加入のメリット・デメリット
社会保険料は、対象者の年齢や住んでいる場所、加入予定の健保協会によって変わりますが、年収106万円、130万円を超えると15〜20万円前後の負担が一気に発生することになります。
手取り金額が減少する原因にはなりますが、加入することで将来受け取れる年金額が増えたり、怪我や出産などにより一時的に働けない状態になった場合も手厚い保障が受けられるなどプラスの要因もあります。
社会保険や公的年金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。
3.満足度が高い年収とは
希望する条件によりそれぞれ基準は異なるかと思いますが、主婦(主夫)がパートやアルバイトで働く場合、年収106万円、130万円の壁を超えると社会保険料の負担により手取り金額が大きく減少します。
とくに年収130〜140万円台の収入の場合、税金や社会保険料の支払いに加え、控除額の減少により結果的に世帯収入が減ってしまうことも考えられます。
働いた分だけの満足感を得られない恐れがあるため、あえて130万円の壁を越えないよう収入を調整するのも方法の一つです。
社会保険に加入して働く場合は、年収160万円以上あれば手厚い保障が得られ、収入面も満足感を感じやすいといわれています。
配偶者特別控除を考慮する場合、控除による節税効果は無くなりますが、年収200万円以上を目指すと手取り金額が増えて満足感は高まるでしょう。
学生で扶養に入っている場合は、扶養から外れてしまわないよう年収は103万円以内が無難です。
とくに19~22歳に対する扶養控除額は他の年齢よりも多いため、その年代の方が103万円を超えたときの親の税負担額が必然的に大きくなります。
アルバイトを掛け持ちしている場合は合算した金額が判断基準となるため、超えてしまわないように注意しましょう。
4.まとめ
5.さいごに
前回、今回とベストな働き方をテーマに解説してきました。
扶養内、扶養外どちらを選択してもメリット・デメリットはあります。
皆さまそれぞれにとっての「わたしに最適な働き方」を考えるきっかけや、判断の一助となれたら嬉しく思います。
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