食べられたマカロニ
ちえこさんは、マカロニパスタをお皿にのせました。
「あとは、鮭とトマトソースをのせれば完ぺきね」
鮭が焼ける匂いが部屋中にします。
「いい匂い!」
「うわー。お皿がひやっとして冷たいね」
マカロニがおしゃべりをし始めました。
「トマトソースあついかな。僕らのからだ溶けちゃうよ」
ちえこさんが、フライパンで温めたトマトソースをマカロニにかけました。
「とってもおいしそう」
ちえこさんは嬉しそうです。
「マグマが落ちてきたぞ。あつい、あつい」
「からだがとけるー」
マカロニたちが叫びました。
ちえこさんはオーブンから鮭を取り出してマカロニの隣にのせました。
「あっそうそう。パルメザンチーズもかけないと。忘れるところだった」
白いパルメザンチーズがマカロニの上にサラサラとかけられました。
「キャー。雪が降ってきた」
「凍えてしまう」
「大変だー。逃げろー」
マカロニたちは大騒ぎ。
ちえこさんはマカロニと鮭をフォークで混ぜました。
「今度は洪水がきたぞー」
「もうだめだー。流されてしまう」
マカロニは大きな声で言いました。
ちえこさんは、フォークでマカロニをさしてパクリと一口食べました。
「とってもおいしい」
ちえこさんは幸せな気持ちになりました。
「さされたぞー。仲間がさされたぞー」
「暗い洞穴に吸い込まれてしまった」
「こりゃ大変だぞ」
マカロニは口々に言いました。
「そうだ。お茶を入れましょう」
ちえこさんはテーブルから離れてカップを探しに行きました。
その時、ハアハアという音が聞こえました。
「今度は何だ?」
マカロニは心配そうに互いを見ました。
犬がテーブルの上の鮭の匂いをかいでいます。
クンクンクンクン。
犬はテーブルの上にのり、マカロニに鼻を近づけました。
「キャー。ベロの長い変な生き物だ。見たことのない化け物がいるぞ」
「僕たちを食べる気かな」
「助けてくれぇ」
犬は鮭をパクパクとあっという間に食べてしまいました。
今度はマカロニをペロペロ舐めました。
「わははは。くすぐったい」
「やめてくれぇー」
マカロニはからだをくねくねして大笑い。
犬は大きな口をあけてマカロニを食べ始めました。
掃除機で吸い込むようマカロニが次から次へと口の中に入っていきます。
「うわー。す、吸い込まれるー」
「僕たちみんな食べられちゃうよー」
犬がお皿をペロペロ舐めているとちえこさんがお茶を持って戻ってきました。
「こら、私のごはん食べたわね!」
ちえこさんが怒ると、犬はドアから大急ぎで逃げていきました。
ちえこさんは空っぽのお皿を見てため息をつきました。
「残念。私のごはん食べられちゃった」
ちえこさんは、ハアっとため息をつきました。