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直線上を動き続ける 点

算数、数学の授業をする際、3種類の線を使い分け、図形や関数のグラフを書いて教えています。
黒板に、線を引いている時、とても気持ちが良いことに気づきます。


上から、直線AB,半直線BA,半直線AB、線分AB

小学4年生から、母校では、国語、算数、理科、社会の実力テストが実施され、学年順位が出ます。
テスト2週間前から、我が家で、決められた勉強をしなければなりません。
各科目の問題集、範囲内を最低3回するといった、非効率な勉強方法です。

好きだった、理科や算数は1回目は新鮮に感じられるのですが、
2回目以降は、問題文、図形まで覚えていて、解法も分かっているのに、
解かなければいけません。
子供ながら、何て退屈な時間なんだろうと思いながら、机に向かっていました。

救いだったのが、私の部屋から空が見えることです。
息苦しさを少しでも和らいでくれます。

親の目を気にしながら、考える振りをして空を眺めます。
空を見ながら、想像していきます。

部屋を抜け出し、空を飛び、住んでいる街の様子を、
もっと高く飛んでいくと、人の顔のような形の国東半島が見えてきます。
曇の中を突き抜けて、上昇を続けていきます。
九州地方が海に浮いている様子、
そして、日本列島がアジア大陸にポツンと存在している様子が見えてきました。
海の広さに圧倒されます。

地球上を眺めていた視線を、上に向けます。
青く見えていた空が、漆黒に。宇宙空間に近づいてきました。

上昇を続けていくと、平面的に感じていた地球が球面的に見えてきました。
空の青色より、濃い青色の地球全体を眺めることが出来ます。

地球を離れ、月に向かいます。
月を背に、太陽系旅行です。
興味深いこと、知りたいことが次から次へと出てきます。
よし、太陽系の外へと。

ところが、この宇宙の旅の終わりが突然やってきました。

「ちゃんと、勉強しちょんのか!(大分方言)」と父親の声が。

『今からが楽しみだったのに』と思いながら、
また鉛筆を動かし始めました。

こんな感じで、空を眺めてテスト勉強の息抜きをしていました。

いつものように空を眺めて息抜きをしていると、思いついたことが。

空に直線を描きます。目の前には、果てしなく真っ直ぐな直線が。
この直線に重なって見える星は、いくつあるのか?

住んでいる街から夜空を眺めても、重なって見える星は、2、3個。
田舎に住んでいる祖母の家に行くと、観測できる星の数が増え、
重なって見える星が増えます。
『観測する場所、観測技術が進むと、どのようになっているのだろうか?』

『一定間隔にはなっていないけれど、点線のような並びになっているのか?
はたまた、無数の星が直線に重なって、直線に見えるのか?』

『直線を引く場所を変えると、重なって見える星の数は変わるのか?』
といった疑問と興味で、ワクワクが止まりません。

『無数に直線を引いて、重なって見える星が無い場所には、ブラックホールがあるかもしれない』などと考え、宇宙図鑑を見て調べますが、手がかりになりそうなことは見つかりませんでした。

宇宙についての加熱が、数学へ移り変わり始めた頃。
中学時代、数学の授業で、実数について学んでいた時、
フト、『直線に重なって見える星』のことを思い出しました。

数直線上の各実数が、星に見えてきたのです。
例えば、+1は火星、+1/2は月といった感じに。

実数とは、整数【0,±1,±2±3,・・・・・・】と、
有限小数【1/2=0.5、3/4=0.75など】または、
無限小数【1/3=0.333・・・・・・(循環小数)など、
π=3.1415・・・・・・、√2=1.4142・・・・・・
(循環しない小数)など】で表される数のことです。

直線上に基準となる点O(原点)をとり、実数0を対応させ、直線上の各点に実数を対応させるとき、この直線を数直線といいます。

『数直線上のそれぞれの実数が特徴を持つように、
直線と重なって見える星にも特徴がある。
直線に存在というより、同一平面上に存在していることになるな』と考えたのです。


直線に重なって見える星(点)、1,2,3,4が平面上の1,2,3,4の星(点)と対応。
黄色の動きをしているのが彗星。

循環小数 0.999・・・・・・は、数直線上に、0.9の点,0.99の点、0.999の点を通過して、
更に、0.9999の点と、まだまだ各点を通過し、1に限りなく近づいていきます。

循環小数 0.999・・・・・・が
数直線上を動いているように見える事と、直線に重なって見える彗星が動いている事が似ています。

彗星には、細長い楕円形の軌道を通って何度か太陽に近づく周期彗星があります。
周期彗星が循環小数に、一度太陽に近づいたら、もう戻ってこない彗星が、πのような無限小数に見えてきます。

彗星の動きを考えると、ある平面上を楕円形の軌道を通って戻ってくる彗星、または、平面上を抜け出して異なった平面上に向かっている彗星があり、このことは、実数の世界でもあるだろうと。

πなどの無限小数は、数直線上を動いて見えるが、この線を含む平面上を抜け出して、異なった平面上に向かっているのではないかと。

数の直線、空に描いた直線に重なって見える星が、繋がっていきます。
自分の中で、ぼんやりとしていた数の世界が、宇宙空間とリンクして、
はっきりと色鮮やかなに見えてきました。
何て、素晴らしい世界なんだろう。

直線を描くとき、循環小数などの点が、
今も、彗星のように動いていることを想像すると、
素晴らしい世界に出会えたことを思い出し、気持ちの良い風が吹いてきます。











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