お姫様物語が好きな理由
子供のころお姫様の物語が好きだった女性はやはり多いのだろうか?うちの息子に限らず、男性はあまり多くないと思うけれど。わたしはと言うと、子供のころは特に興味なかった気がする。
こう書いていて今、幼いとき和製シンデレラと言われる「はちかづき姫」の絵本を何度となく手に取って読んだことを思い出した。その本は自宅にあったのではなく、向かいの家のナオちゃんの家にあったのだが、遊びに行くたびにその本を開いた。はちかづきが風呂焚きをする場面や、鉢から大判小判や宝物が出て来る場面の挿絵を思い出す。
わたしが幼いころはまだ薪のお風呂で、母が薪の火を起こすのが下手ですぐ消してしまうので、度々父に代わってもらっていた。それで、はちかづきは母と違って上手なんだなと思ったのを覚えている。
家で使っている鉢は植木鉢やすり鉢、金魚鉢、火鉢(これもまだ使っていた)などだったと思うけど、姫が頭に被っていたのはどんな鉢だったのだろう?
子供の頃、ふざけてざるを被ったりすると馬鹿になるという話を聞いたことがある気がする。親から言われたのかもしれない。信じてはいなかったけど、被ったことは無かった。
鉢を被るというのも、奇妙というか、異形の者の印だよなとも思う。
キラッキラのではなく、そんなお姫様にはちょっと惹かれるものがあったのだろうか。
お姫様物語の話の筋はみな、若い女性が様々な環境の要因から一旦は困難や危機に陥るが、それを乗り越え幸せになる、というものである。さらっと言ってしまえばそうなのだが、考えてみるとそうとうハードな体験である。
死とすれすれにあったものがものが生き返る、変容する。疑似的にでも、いや疑似的だからこそ、お話の世界に入った者はその擬死再生が繰り返し体験できる。
今手元にあるのは「白雪姫と七人の小人たち」「ねむりひめ」「毛皮ひめ」という3冊の絵本だ。「毛皮ひめ」というタイトルは一般的にはなじみが薄いかもしれないけど、シンデレラの原型と言われるお話である。
わたしが一番好きなのもこの「毛皮ひめ」で、その理由はひとつは姫の纏った太陽や月や星のドレスというのが(絵本の挿絵にはあったけど)ちょっとわからないところ。わたしの想像を超えているのだ。
もう一つの理由は、姫が千匹の獣の毛皮で作られた外套にくるまって樹のうろで眠る場面が好きなこと。以前に天上から生えてきた樹のうろで眠り続ける赤ん坊の絵を描いたことがある。そのときは気づかなかったのだが、もしかしたらこのお話にインスパイアされていたのかもしれない。
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