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エンダーマグノリアをクリアしました
エンマグ、終わったので備忘として残しておきます。
シナリオにかかわるネタバレはほぼなし。
トロコンまで20時間ちょいといったところ。
ゲーム内容
いわゆるメトロイドヴァニア系列の横スクロールアクションRPG。
前作「エンダーリリィズ」と同じ世界観の続編として物語が展開される。(主人公は別人)
記憶を失った少女が廃墟の中で目覚め、滅びかけの世界を探索するというコンセプトは前作から共通。
操作するのは主人公の少女ライラックなのだけど、ライラックはホムンクルスと呼ばれる思念体のような存在を召喚することができる能力を持ち、ジャンプや回避以外の基本的な攻撃アクションはこいつらがやってくれるというのも前作と同様。
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よかったところ
アクションが快適すぎる
始めてすぐ気づいたのが操作性の快適さ。
2段ジャンプ・空中回避・パリィなど基本的な動作がひととおり序盤で解禁されるので最初から思った通りの動きができ、「なんで空中回避ねえんだよ!!!!!」みたいなストレスとは無縁なのが素晴らしい。
この手のメトロイドヴァニアって基本回避とかダッシュすらボス倒さないと解禁されないとか結構ザラなんだけど、このゲームは「思い通りにキャラを動かして楽しんでほしい!」という製作者の思いを感じた。
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あとは、その他のメトロイドヴァニアあるあるとして
終盤はアクションが強化されまくった操作キャラの動きを制限するために全面トゲだらけのイライラ棒マップになりがち(これは前作にもみられた)なのだが、今作はそれも控えめでうまいことマップがつくられていると思った。
とにかく探索などでの余計なストレスをなくす方向の調整だったのがすごく好感触。
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制作者が「ソウルシリーズからの脱却を目指した」と言っていた通り、難易度的にはやさしめで、さらに難易度を下げたり上げたりといった調整も自由にできる。
ただしボス戦はちゃんとアクションしており、ガチンコ脳筋から搦め手タイプのボスまでバリエーションも豊か。回避が弱めでパリィ・カウンターが強い傾向のゲームバランスもあり、敵の動きを見て適切に対処する原始的な楽しさはしっかりとある。
なにより攻撃アクションが美麗で、動かしているだけで楽しい。
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音楽がいい
引き続き楽曲はMili提供で、聴き心地がよく幻想的なBGMが世界観とマッチしていて最高。
前作と比べてボーカルが入ったりと主張が強めで印象に残る楽曲が多く、ゲーム体験を盛り上げてくれた。
気になったところ
キャラクターとの温度差を感じる
これはあくま個人的な感想なのだけど、
前作と比べて物語の主体がプレイヤーからキャラに移ったなと感じた。
前作の主人公リリィちゃんと違ってライラックは積極的に喋るし、マップにNPCが追加されたり、会話イベントも大幅に増えた。
要所で「こうするためにあそこに行きたい」「誰それのためにこうしよう」といった目的も喋ってくれるようにもなった
それ自体は世界観に厚みを与えているし、ゲームとしての導線も非常にわかりやすくなったと思う。
ただ、ストーリーの語り方自体は前作と大きく変わっていない。「なぜ国が滅んだか?」「主人公の正体は?」「黒幕の目的や思いは?」みたいな背景については探索中に拾える手記やボスの記憶から推察する必要があり、プレイヤーが断片的な情報をつなぎ合わせて「たぶんこういうことがあったんだろうな」と想像するしかない。一方で、キャラたちは背景をすでに理解している前提で「こうしたい!」と話す。
その結果、プレイヤーとキャラの間に温度差が生じて、「まあそういうことなら行くか…?」ぐらいのテンションで進めることになる。プレイヤーの主体性が薄れ、物語に「乗せられている」感覚が強くなった。
キャラの個性が豊かになったことの弊害とも言えるし、フロムゲー形式の探索とRPG的なシナリオ運びの相性の悪さもあるのかなという感じ。
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あとは追加アクションが「急降下」「大ジャンプ」「無限突進」あたりで終盤はやってることがあんまり前作と比べて変わり映えしないなというのが残念ポインツ。
これは横スクロールアクションという媒体の限界みたいなところもあるのかもしれない。
まとめ
良くも悪くも尖った部分があまりなく、すべてが卒のない優等生的な作品。
個人的に前作を超えるインパクトはなかった(期待値が高すぎたのもあるかもしれない)けど、単体のアクションゲームとして見たときの完成度は間違いなくトップクラスだと思う。
しっとり寂しげでダークな世界観とビジュアル・BGMなどの前作の魅力は踏襲しつつ、難易度やバランスの調整で万人におすすめできるゲームになった良作ではないでしょうか。