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会社員(給与所得者)が確定申告するのはこんなとき
勤務先の会社から給与を受け取っている人を給与所得者といいます。
正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員など雇用形態はさまざまです。
給与所得者は、勤務先(給与の支払者)が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了します。
よって、原則として確定申告の必要はありません。
例外として、給与所得者が所得税の確定申告をする必要があるケースがあります。
ひとつは法定の要件に該当して確定申告が必要になる場合、もうひとつは納めすぎた所得税の還付を受ける場合です。
それぞれどのようなケースなのかについてお話しします。
合わせて申告に誤りがあったことに気づいた場合の対処方法についてもお話しします。
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1 確定申告が必要なケース
給与所得者でも、つぎのような場合に該当すると確定申告が必要になります。
(1)給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
(2) 1カ所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
副業などで得た所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
(3)つぎのすべてに該当する人
・ 2カ所以上から給与の支払を受けている
・給与の全部が源泉徴収の対象となる
・年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える
年末調整されなかった給与所得と、副業などで得た所得の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
(4)外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある人
このほか、不動産の売却や株式の売却などで一定以上の利益を得た場合も、原則として確定申告が必要になります。
なお、確定申告をする場合には、年末調整を受けた給与所得も含めて申告しなければなりません。
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2 還付申告
還付申告とは、確定申告の義務がない人が、納め過ぎた所得税を返してもらうための手続きです。
(1)還付申告できるケース
次のような場合に還付申告を行うことができます。
①年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
年の途中で退職したまま再就職しない場合には年末調整を受けられず、所得税が納め過ぎとなる場合があります。
②一定の要件を満たしたマイホームを取得するなどをして、住宅ローンがあるとき(住宅借入金等特別控除)
住宅ローンなどを利用してマイホームの新築、取得または増改築など(以下、取得等という)をした場合です。一定の要件を満たすときは、住宅借入金等特別控除または特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用を受けられます。
住宅ローンなどの年末の残高金額などをもとに計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除できます。
なお、2年目からは確定申告をせずに、借入金の年末残高等証明書を勤務先に提出して年末調整で控除を受けられます。
③多額の医療費を支出したとき(医療費控除)
つぎの要件に該当し、支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額をもとに計算した金額の所得控除を受けられます。これを医療費控除といいます。
・その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費
・自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費
④特定の寄附をしたとき(寄附金控除)
国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、特定寄附金を支出した場合に所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。
ふるさと納税もこれに該当します。
⑤災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
災害または盗難もしくは横領によって、一定の資産について損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けられます。これを雑損控除といいます。
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(2)還付申告の注意点
①申告の提出先・期限
所轄の税務署に提出します。
提出期限は、その年の翌年1月1日から5年間です。
ただし、青色申告特別控除などの特例を適用する場合は、法定申告期限内(原則翌年3月15日)までに提出する必要があります。
②還付金の受け取り口座
申告書に記入した金融機関の預貯金口座に還付金が振り込まれます。
口座への振込みができない場合には、最寄りのゆうちょ銀行各店舗又は郵便局に出向いて受け取る方法もあります。
還付金を受け取る口座は申告者本人名義でなければなりません。
ただし、つぎの場合は振込みできないことがあります。
・預貯金口座の名義に、店名、事務所名などの名称(屋号)が含まれる場合
・名義が旧姓のままである場合
③給与以外の所得が20万円以下の場合でも確定申告が必要になる
還付申告を行う場合には、給与所得だけでなく、その20万円以下の所得も合わせて申告をする必要があります。
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3 申告に誤りがあったことに気づいた場合の対処方法
訂正申告、修正申告、更正の請求の3つの方法があり、それぞれ表のケースで使い分けられます。
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(1)訂正申告
訂正申告とは、確定申告書を提出したあとに誤りに気づいた場合、申告期限内に修正する手続きのことです。
①訂正申告の条件
申告期限内に誤りに気づいた場合に行います。
税務署で還付申告の処理がまだ完了していないことが条件です。
②訂正申告の方法
申告内容を訂正した新しい確定申告書を作成します。
訂正が必要な部分だけでなく、すべての項目を再度記入します。
税務署の窓口に直接提出するか、郵送で提出します。
電子申告(e-Tax)を利用する場合は、オンライン上で訂正内容を入力し、再送信します。
③注意点
・提出済みの添付書類の控えをコピーして添付します。
・窓口または郵送の提出の場合は、表題の余白に赤字で訂正申告と明記し、訂正前の申告書の提出年月日と申告税額も記載します。
・確定申告の提出期限内(通常は毎年3月15日頃)に行う必要があります。
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(2)修正申告
修正申告とは、確定申告を提出したあとに、申告内容に誤りがあった場合に行う手続きです。
実際の所得よりも少なく申告していた場合や、還付を受ける税額が多かった場合に行います。
①修正申告の方法
必要書類は、令和4年分以降の場合は申告書第一表および申告書第二表です。
令和3年分以前の場合は、申告書B第一表と申告書第五表(修正申告書・別表)です。
確定申告書に修正内容を反映させ、所轄の税務署へ提出します。郵送や電子申告(e-Tax)も利用可能です。
②注意点
修正申告には特定の提出期限はありませんが、誤りに気付いた場合はできるだけ早く行うことが推奨されます。遅れると延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
③ペナルティ
修正申告を行う際には、つぎのような追徴課税が課されることがあります。
修正申告書を提出する日が納期限となるので、その日に納付を完了する必要があります。
㋐延滞税
納税額の支払い期限が過ぎた場合に課されます。
㋑過少申告加算税
実際の所得よりも少なく申告していた場合に課されます。
税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合であれば課されない場合があります。
㋒重加算税
所得の隠蔽や仮装などの悪質な行為に対して課されます。
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(3)更正の請求
更正の請求とは、確定申告を行ったあとに申告内容に誤りがあった場合に、税務署に対して税金の還付や減額を求める手続きです。
納めた税金が多すぎた場合や還付金が少なすぎた場合に行います。
①更正の請求の方法
更正の請求書を作成し、所轄の税務署に提出します。郵送や電子申告(e-Tax)も利用可能です。
誤りを証明するための書類(領収書、計算書など)を添付します。
その後、税務署が請求内容を審査し、認められた場合は税金の還付や減額が行われます。
②注意点
更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に行う必要があります。
期限を過ぎると請求が認められないため、早めに手続きを進めることが重要です。
更正の請求書には、請求をする理由やその詳細を明確に記載する必要があります。たとえば、計算ミスや法律の規定に従っていなかった場合など、具体的な理由を示すことが求められます。
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給与所得者はふだん確定申告には縁がありませんが、最近は副業をする人が増えており、必要な機会も増えていくと思われます。
不明点や疑問点があれば、税務署や税理士などへ相談することができます。