![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152577143/rectangle_large_type_2_a35679e09e4f27a610f7c345fdf979b8.jpeg?width=1200)
高齢でも借入できる「リバースモーゲージ」の特徴と注意点
リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保にして借入れをする仕組みです。
融資を受けにくい高齢者でも老後の生活資金を確保できるよう開発されました。
平均寿命が延びていくのにともなって、老後の生活に必要な資金も増えていくことになります。
公的年金だけで老後の生活費を賄えない場合は、ほかからの資金調達が必要になります。
そこで、高齢者が所有する自宅を担保にして資金調達をする手段として、リバースモーゲージが開発されました。
自宅を手放すことなく資金を得られるため、高齢者にとって魅力的な選択肢となっています。
リバースモーゲージとはどのようなものか、利用する際の注意点などについてお話しします。
![](https://assets.st-note.com/img/1725067385061-KoX6Kb6OTJ.jpg?width=1200)
1 リバースモーゲージとは
(1)仕組み
所有する自宅を担保にして金融機関から借入れができます。
金融機関や商品によって異なりますが、55歳以上、60歳以上、65歳以上などから利用できる、高齢者向けのローンです。
自宅にはそのまま住み続けられ、死亡後、担保に入っていた自宅を売却して融資の一括返済に充てます。
返済方法は、毎月利息のみ支払って元金は死後一括返済する商品や、死後に元金利息を一括返済する商品など、さまざまです。
(2)メリット
①家を売却せずに自宅に住み続けながら老後の生活資金を調達できる
②死亡後に借入元金を一括返済するため毎月の返済負担が楽になる
③余裕があれば生前に繰り上げ返済もできる
④配偶者が契約を引き継げる場合もあり、死亡後に配偶者が居住を継続できる
⑤退職金や預貯金を残して老後資金の減少を遅らせることができる
(3)デメリット
①長生きして借入を増やしていき融資限度額に達してしまうリスクがある
②変動金利なので変動金利のリスクがある
③不動産価値の下落により融資限度額が引き下げられるリスクがある
![](https://assets.st-note.com/img/1725068024399-FIi0zbCJiZ.jpg?width=1200)
2 リバースモーゲージの利用が相応しいケース
リバースモーゲージの利用は、つぎのような場合に適しています。
①老後資金が不足する場合
老後の生活費や医療費、介護費用などのために資金が必要な場合に適しています。
年金収入だけでは不足するとか、子供などからの経済的サポートが期待できないといったケースです。
②住宅ローンの返済が厳しい場合
リタイア後も住宅ローンが残っている場合は、収入減少により返済が厳しくなるケースがあります。
リバースモーゲージを活用して借り替えすれば、毎月の返済負担を減らすことができます。
③一時的にまとまった資金が必要な場合
自宅のリフォームや施設入所などで一時的に多額の資金が必要になった場合に、自宅を残したまま資金調達できます。
④死後に自宅を処分したい場合
相続人などに自宅を残す必要がないケースでは、死後に担保としていた自宅を処分してもらえることになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1725067939587-WgFjs3TEyR.jpg?width=1200)
3 リバースモーゲージを利用する際の注意点
(1)融資金の使いみちに制限があること
リバースモーゲージによる借入金は事業目的や投資目的では使えません。
それ以外にも使いみちが特定の用途に限定されている商品もあります。
金融機関や商品によって異なるので、事前に確認が必要です。
(2)物件の所在地に制約条件があること
リバースモーゲージを利用できる物件には、地域によって制約がある場合があるので注意が必要です。
(3)担保評価の見直しによる利用限度額の変動の可能性があること
不動産の評価額は定期的に見直され、それに合わせて融資の利用限度額も変動します。
担保価値が下がった場合の取扱いを事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
担保価値が下がって既往借入残高が限度額を超えることになった場合、返済を求められるケースもあります。
(4)金利変動リスクがあること
リバースモーゲージは変動金利です。
将来、金利が上昇した場合に家計を圧迫するリスクも考慮しなければなりません。
(5)契約時に推定相続人の同意を求められる場合があること
死後に自宅を売却するため、契約時に推定相続人全員の同意を求める金融機関が多くなっています。
その手続きのために時間がかかること、全員の同意が得られなければ利用できないことに注意が必要です。
(6)相続人への負担が残る場合があること
担保物件の売却後に借入が残った場合に返済義務があるリコース型の場合、相続人に返済の負担が発生する可能性があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1725067841262-S3e2qGWGeT.jpg?width=1200)
4 不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は、公的制度としてのリバースモーゲージです。
福祉サービスの一環で行われており、低所得の高齢者を対象として生活費を貸付する制度です。
対象者は、65歳以上の住民税非課税世帯または均等割り課税世帯です。
使いみちは生活資金に限定されます。
貸付は3カ月ごとに月額30万円以内(総額で担保土地評価額の70%以内)で行われます。
担保は自己所有の一戸建て(土地評価額がおおむね1,500万円以上)のみで、マンションは対象外です。
利率は、年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1725068470040-DydxPzMDF2.jpg?width=1200)
5 リ・バース60
リバースモーゲージと似たような制度として、リ・バース60があります。
リ・バース60は、60歳以上を対象とした住宅ローンの一種です。
住宅金融支援機構と提携する金融機関が提供する商品で、おもに住宅の購入、建築、リフォーム、既存の住宅ローンの借り換えなどに利用できます。
(1)特徴
①返済方法
・毎月の支払いは利息のみで、元金は債務者が死亡後に一括返済します。
・元金の一括返済は、担保不動産を売却して返済するか、相続人が現金で返済するかを選べます。
・ノンリコース型とリコース型を選べます。ノンリコース型は、担保不動産の売却だけで元金を返済できない場合でも、相続人が残った債務を返済する必要がありません。リコース型は、残った債務の返済義務が生じますが、金利が低めに設定されることがあります。
②メリット
・60歳以上の方でも利用可能で、年齢制限がなく、高齢者向けといえます。
・公的年金のみの収入でも利用可能です。
・利息のみの返済なので、月々の返済負担が少なくなります。
③デメリット
・元金は死亡後に一括返済するため、長生きすると利息の総支払額が増えることになります。
・変動金利型の場合、金利が上昇すると月々の返済額が増加するリスクがあります。
(2)リバースモーゲージとの相違点
・リバースモーゲージは、使いみちが原則として自由で、老後の生活費や医療費、介護費用など幅広く利用できます。
一方、リ・バース60は、住宅に関する費用(購入、建築、リフォーム、借り換えなど)に限定されています。
・リ・バース60は60歳以上が対象ですが、リバースモーゲージは金融機関によって異なります。
・リ・バース60のほうが金利は低めで、限度額は大きくなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1725067396513-VItfYWARng.jpg?width=1200)
リバースモーゲージは、高齢者でも資金調達しやすく利便性が高い半面、少なからずリスクもあります。
まずは、必要以上に借入れしないよう家計管理をしっかりしなければなりません。
また、利用の検討にあたっては、金融機関ごと、商品ごとの違いをきちんと理解して選ぶ必要があります。
最終的に自宅を処分するので推定相続人とよく話し合っておくことも大事です。