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個人信用情報の基礎知識
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1 個人信用情報とは?
クレジットカード、カードローン、銀行からの借入金などは、使いすぎたり借りすぎたりすると後で大変なことになりかねません。最悪の場合、本人は破産して社会的信用を失ったり、金融機関は貸し倒れとなって損をしたりするのです。
そこで、さまざまな金融機関が、クレジットカードや割賦販売、各種ローンなどの契約に関する情報を登録して共有しています。だれが、どこから、いくら借入して、支払い状況はどうかといった情報で、「個人信用情報」といいます。
金融機関は、その個人信用情報を、与信判断に活用しています。たとえば、収入に比べて借入残高が多いとか、支払いが遅れているとかといった情報があると、新規与信判断は難しいと判断します。
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2 個人信用情報機関
「個人信用情報機関」とは、加盟する金融機関が保有する個人信用情報を登録、管理している機関です。加盟する金融機関会社からの照会に応じて、個人信用情報を提供しています。
次の3つの機関があります。
①CIC (クレジットインフォメーションセンター)
クレジット会社や消費者金融などが加盟しています。
個人信用情報の登録期間は最長5年間です。
②JICC (日本信用情報機構)
消費者金融が中心となって設立された信用情報機関です。加盟している金融機関の数が最も多いです。
個人信用情報の登録期間は最長5年間です
③KSC (全国銀行個人信用情報センター)
全国銀行協会 (JBA) によって運営されています。
メガバンク、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、信用組合が加盟しています。
個人信用情報の登録期間は最長10年間です。
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3 個人信用情報機関に登録される内容
個人信用情報機関に登録される情報は次のようなものです。
①本人を特定するための情報
氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、勤務先電話番号、運転免許証等の記号番号などです。
②契約内容に関する情報
登録会員名、契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額などです。
③返済状況に関する情報
入金日、入金予定日、残高金額、完済日、延滞などです。
④取引事実に関する情報
債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡などです。
⑤申込に関する情報
本人を特定する情報(氏名、生年月日、電話番号及び運転免許証等の記号番号等)、並びに申込日及び申込商品種別などです。
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4 審査判断上マイナスになる登録内容
個人信用情報機関が提供する個人信用情報は、金融機関が審査や与信判断を行う際に利用されます。個人の信用度や返済能力を評価する重要な情報源となっています。
個人信用情報に問題がある場合、審査が通らないことがあります。たとえば次のようなケースです。
①過去の支払・返済遅延や債務不履行
過去にクレジットカードやローンの支払いに遅延があったり、完済できなかったりした場合です。
②高いクレジット利用率
クレジットカードの利用可能額に対する使用額の割合が高いと、信用情報に悪影響を及ぼすことがあります。
③頻繁な新規申込
新しいクレジットカードやローンを短期間で数多く申込むと、信用情報にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。これは、あちこちに申込んでは断られることを繰り返していると推測されるからです。
④短い信用履歴
信用情報に長期間の取引履歴がない場合、与信判断に影響することがあります。
⑤過去の破産
破産の記録は信用情報に残り、与信判断に影響します。
実際の審査では、以上のような情報があれば必ず断られるというわけではありませんが、マイナスの要因になることは確実です。
なお、登録されている内容の削除を請求することはできません。ただし、誤りがある場合は、本人の申出により削除してもらえることがあります。
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5 情報開示請求
個人信用情報の登録内容に問題があり、与信を断られた場合、金融機関からそのような説明を受けることはありません。金融機関が得た情報は本人に対してでも教えてはいけないことになっているためです。
本人が個人信用情報機関に対して、自分の個人信用情報の開示請求をすれば登録内容を把握できます。不安があれば、クレジットや融資を申込む前に情報開示請求をして確認することをおすすめします。
①CIC (クレジットインフォメーションセンター)
インターネットあるいは郵送で情報開示請求することができます。手数料が、インターネットの場合は500円、郵送の場合は1,500円かかります。
信用情報開示報告書の見方も案内されています。
②JICC (日本信用情報機関)
インターネット、郵送あるいは窓口で情報開示請求することができます。手数料が、データで受け取る場合は1,000円、郵送の場合は1,300円かかります。
信用情報開示報告書の見方も案内されています。
③KSC (全国銀行個人信用情報センター)
インターネットあるいは郵送で情報開示請求することができます。手数料が、インターネットの場合は1,000円、郵送の場合は1,679円または1,800円かかります。
信用情報開示報告書の見方も案内されています。
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6 登録内容に問題があるなら改善することが先決
遅延などがある場合は、しばらくの間正常に支払いを続け、あるいは可能なら完済させるとよいです。改善してから申込をするのでなければなければ断られる可能性が高くなります。
具体的な改善方法として、次のようなものがあります。
①返済の遅延を解消して正常化させる
現に返済が遅れているなら、まずは期日通りに遅れなく支払うことを継続する必要があります。
②一括完済させる
可能なら一括完済させるとよいです。早めの完済で信用情報回復も早くなります。信用情報は原則として完済から5年で回復します。
③新たな借入れを控える
信用情報が回復するまでは新たな借入れは避けたほうがよいです。
④クレジットカードの利用率を管理する
クレジットカードの利用率(使用額と利用可能額の比率)を低く保つことが重要です。一般的には30%以下がよい目安とされています。
⑤新規クレジットカードを控える
頻繁に新しいクレジットカードを申込むことは信用情報に悪影響を及ぼす可能性があります。必要な場合以外は控えましょう。
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7 ふだんからの地道な心がけが大事
ふだんからさまざまな支払いを期日通りに遅れなく行うことを地道に継続することが何よりも大事です。
個人信用情報の登録内容に問題がある場合は、信用情報の回復には時間がかかりますが、着実な努力により改善することができます。
また、配偶者や子などがクレジットカードを使い込み、本人が知らなかったというケースが少なくありません。クレジットカードは親族に使わせない、あるいはきちんと使用状況を管理する、管理を人任せにしないといった対策が必要です。
「お金の管理」は必ず自分自身でしっかりと行えば、信用情報に傷をつけることは防げるのです。
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