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団体信用生命保険は特約を付帯して保障を広げられる

住宅ローンを利用する際、団体信用生命保険(団信)への加入を条件とする金融機関が多くあります。
団体信用生命保険は、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、ローン残高を保険金で支払う仕組みです。
万が一の際に、ローンを引き継いだ家族が返済できなくなって住居を失わずに済むメリットがあります。
また、金融機関によっては金利優遇が受けられる場合もあります。
 
団体信用生命保険は基本的には死亡または高度障害状態になった場合に保障されます。
2007年ころから団体信用生命保険にがんや三大疾病などにも対応できる特約を付帯できるようになりました。
住宅ローン利用者の多様なニーズに応えることが目的です。
がんや心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気になった場合にもローン返済が免除されるので大きな安心感が得られるようになりました。
 
団体信用生命保険の特約にはどのようなものがあるのか、付帯を検討する際の注意点などについてお話しします。


1 団体信用生命保険の特約の種類と内容


団体信用生命保険には、さまざまな特約があり、それぞれ異なる保障内容を提供します。
おもな特約の種類と内容はつぎのとおりです。
 
(1)がん特約
契約者ががんと診断された場合に、住宅ローンの残高が保険金で支払われます。
悪性新生物と診断された場合に限られることが一般的で、上皮内新生物や一部の皮膚がんは対象外となることが多くなっています。
 
(2)三大疾病特約
がん、急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病に対する保障です。
それぞれの疾病に対して、所定の条件(注)を満たすと、住宅ローンの残高が保険金で支払われます。
(注)たとえば、急性心筋梗塞で60日以上の労働制限が必要など
 
(3)八大疾病特約
三大疾病に加え、糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎臓病を含む八大疾病に対する保障です。
就業不能状態が一定期間以上続いた場合に、住宅ローンの残高が保険金で支払われます。
 
(4)全疾病就業不能特約
病気やケガで就業不能状態が一定期間続いた場合に、住宅ローンの残高が保険金で支払われます。
就業不能状態の定義は保険会社ごとに異なりますが、一般的には働けない状態が続くことが条件とされます。
 
(5)介護特約
契約者が所定の要介護状態になった場合に、住宅ローンの残高が保険金で支払われます。
要介護状態の定義も保険会社ごとに異なりますが、日常生活において介護が必要な状態が続くことが条件とされます。
 
(6)ワイド団信
健康状態に不安がある方でも加入しやすい特約です。
通常の団信よりも引受条件が緩和されており、持病や既往歴がある方でも加入できる可能性が高くなります。

2 団体信用生命保険の特約の保険料

 
(1)保険料の構成
団信の基本保険料は、住宅ローンの金利に含まれていることが多くなっています。
金融機関が負担する場合もありますが、実際にはローン金利に上乗せされています。
特約を付帯すると、通常のローン金利に年0.2%〜0.3%程度の金利が上乗せされることが多くなっています。
 
(2)保険料の支払い方法
特約料は年払いで、掛け捨てとなることが多くなっていますが、一部の金融機関では、月払いにも対応しています。
 
(3)保険料のシミュレーション
保険料は、借入金額や借入期間、特約の種類によって異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、金融機関のシミュレーションツールなどを利用するとよいでしょう。

3 団体信用生命保険に特約を付帯する際の注意点


特約を付帯する際には、つぎのような注意点があります。
 
(1)保険料の増加
特約を付帯することで保険料が上乗せされることが多くなっています。
その結果、毎月の返済額が増加するため、家計への影響を考慮する必要があります。
とくに、がん特約や三大疾病特約などは保険料が高くなる傾向があります。
自分の予算と必要な保障内容をよく検討しましょう。
 
(2)健康状態の告知
特約を付帯する際にも、健康状態の告知が必要です。
正確に告知しないと、万が一の際に保険金が支払われないリスクがあります。
とくに持病がある場合は、事前に保険会社と相談するとよいでしょう。
 
(3)特約の適用条件
特約ごとに適用条件が異なります。
たとえば、三大疾病特約では、急性心筋梗塞の場合は60日以上の労働制限が必要など、細かい条件があります。
契約前に適用条件をしっかり確認しましょう。
 
(4)保障範囲の確認
特約によって保障範囲が異なります。
たとえば、がん特約では悪性新生物のみが対象で、上皮内新生物は対象外となることがあります。
自分が必要とする保障が含まれているか確認することが大切です。
 
(5)契約期間と更新
特約の契約期間や更新条件も確認しましょう。
特約によっては、一定期間ごとに見直しが必要な場合があります。
また、更新時に保険料が変わることもあります。
 
(6)ほかの保険との重複
すでにほかの保険に加入している場合、特約の内容が重複することがあります。
重複している場合は、無駄な保険料を支払うことになるため、全体の保険プランを見直すことが重要です。
 
(7)保険会社の信頼性
特約を提供する保険会社の信頼性も重要です。
口コミや評判などを確認し、信頼できる保険会社を選びましょう。

4 団体信用生命保険と一般の医療保険との相違点

 
(1)目的
団体信用生命保険は住宅ローンの返済を保障するための保険であり、一般の医療保険は医療費をカバーするための保険です。
 
(2)保障内容
団体信用生命保険の特約はローン返済に焦点を当てており、一般の医療保険は医療費や治療費のカバーに焦点を当てています。
 
(3)保障期間
団体信用生命保険の特約は住宅ローンが完済すると保障がなくなります。一般の医療保険は終身タイプの場合は契約継続していれば生涯保障されます。
 
(4)加入条件
団体信用生命保険は住宅ローンを組む際のみの加入が一般的であり、一般の医療保険は個人のニーズに応じて自由に加入できます。
 

 
団体信用生命保険に特約を付帯することで、住宅ローン返済中のリスクに対する備えを強化できます。
ただし、保険料が上乗せされることが多いため、保障内容とのバランスをよく検討することが重要です。
また、医療保険や就業不能保険なども比較し、重複しないよう有利なほうを選択することも必要になります。
それぞれの特徴や保障内容を理解して、自分の健康状態やライフスタイル、リスクに合わせることが大事です。

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