見出し画像

「変額保険」の特徴と加入検討の際に注意すべきポイント

「変額保険(へんがくほけん)」は多くの投資家や保険加入者に人気があります。
変額保険は、保険料の一部を投資信託などの金融商品に運用し、保険金額や解約返戻金が運用成果に応じて変動する生命保険です。
運用成果が良好であれば高い利回りを期待でき、将来、大きなリターンを期待できます。
 
一方で、変額保険に関するトラブルや苦情が少なくありません。
独立行政法人国民生活センターへの相談事例を引用します。
「外貨建て個人年金保険と変額終身保険を契約した際に、積み立て式なので『預金しているつもりで』という説明を受けた。しかし、実際は手数料などが引かれ積立額が目減りしており不満だ。」
契約時の説明不足や誤解が原因となっているとみられます。
 
変額保険の特徴、メリットやデメリット、加入検討の際の注意すべきポイントなどについてお話しします。


1 変額保険の特徴・種類と、定額保険との相違点

 
(1)変額保険の特徴
 
①保険料の運用
変額保険では、保険料の一部が投資信託などの金融商品に運用されます。
運用成果に応じて保険金額や解約返戻金が変動します。
 
②特別勘定
保険料の運用は「特別勘定」と呼ばれる口座で行われます。
特別勘定は一般勘定とは別に管理され、投資信託や株式、債券などに投資されます。
 
③運用成果の反映
保険金額や解約返戻金は、特別勘定の運用成果に応じて増減します。
運用が好調であれば保険金額や解約返戻金が増加し、運用が不調であれば減少する可能性があります。

(出所)公益財団法人生命保険文化センターのウェブページを加工

 
(2)変額保険の種類

 
(3)変額保険と定額保険との相違点

2 変額保険特有のメリットとデメリット

 
(1)メリット
 
①高い利回りの可能性
変額保険は、保険料の一部を投資信託などの金融商品に運用するため、運用成果が良好であれば高い利回りを期待できます。
資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢となります。
 
②柔軟な運用選択肢
変額保険では、投資先を複数のファンドから選択できるため、投資家は自分のリスク許容度や投資目標に応じて運用先を選べます。
 
③長期的な資産形成
変額保険は長期的な資産形成を目的とすることが多く、将来的に大きなリターンを得ることが期待できます。
そのため、老後の資産形成や教育資金の準備に利用されることが多くあります。
 
④税制優遇
変額保険は、生命保険料控除の対象となり所得税や住民税の控除を受けられるため、税制面でのメリットも享受できます。
 
⑤最低保証の存在
一部の変額保険には、最低保証が設定されている場合があります。
運用が不調でも一定の保険金が支払われるため、リスクを軽減できるのです。
 
(2)デメリット
 
①高いリスク
変額保険は、投資信託や株式などの金融商品に運用されるため、市場の変動により元本割れのリスクがあります。
株価や為替レートが大きく変動した場合に損失が発生する可能性があるのです。
 
②複雑な構造
変額保険は非常に複雑な金融商品であり、投資家がその仕組みを十分に理解することが難しい場合があります。
そのため、リスクを正確に把握することが困難です。
 
③適切な利率の判断が難しい
変額保険の利率は市場の動向に大きく依存するため、適切な利率を判断することが難しいです。
そのため、期待したリターンが得られない場合があります。
 
④費用(コスト)が高い
変額保険は、運用管理費用や保険関係費用などが含まれるので、総合的なコストは定額保険よりも高くなります。
運用成績が悪くなると定額保険よりも保険料が割高になってしまうこともあります。
 
また、変額保険では保険契約を解約する際にペナルティ(解約控除)が発生することに注意が必要です。
解約控除は、保険契約を短期間で解約する場合に、保険会社が契約にかかる諸経費を回収するために設定されています。
解約控除の割合は、契約期間が短い場合に高く設定され、長くなるにつれて減少します。
たとえば、契約初年度の解約控除の割合は90%、契約5年目は50%程度、契約10年目以降は解約控除がなくなるといった具合です。

3 変額保険への加入を検討する際に注意すべきポイント


変額保険の加入にあたっては、つぎのようなポイントを考慮し、慎重に検討することが大切です。
 
(1)リスクの理解
変額保険は、投資信託などの金融商品に運用されるため、運用成果に応じて保険金額や解約返戻金が変動します。
市場の変動により元本割れのリスクがあるため、リスクを十分に理解することが重要です。
 
(2)投資目的の明確化
変額保険は長期的な資産形成を目的とすることが多くあります。
自分の投資目的やリスク許容度に合っているかを確認し、適切な商品を選ぶことが重要です。
 
(3)保険料とコストの確認
変額保険の保険料は、運用管理費用や保険関係費用などが含まれるため、総合的なコストを把握することが重要です。
保険料が家計に無理のない範囲で支払えるかどうかを確認しましょう。
 
(4)運用先の選択
変額保険では、投資先を複数のファンドから選択できる場合があります。
自分のリスク許容度や投資目標に応じて、適切な運用先を選ぶことが重要です。
 
(5)保険会社の信頼性
変額保険を提供する保険会社の信頼性や実績を確認することが重要です。
保険会社の財務状況や顧客対応の評価を調べ、信頼できる会社を選びましょう。
 
(6)専門家への相談
変額保険は非常に複雑な商品であるため、投資を検討する際には専門家に相談するとよいでしょう。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家にアドバイスを受けることで適切な判断ができるようになります。
 
(7)契約内容の理解
保険契約書の内容をよく読み、理解することが重要です。
解約返戻金や保険金の支払い条件についても確認しましょう。

4 変額保険がおすすめの人とおすすめでない人

 
(1)おすすめの人
 
①投資に興味がある人
保険料の一部を投資信託などの金融商品に運用するため、投資に興味があり、運用成果によるリターンを期待する人に適しています。
 
②長期的な資産形成を目指す人
長期的な資産形成を目的とすることが多く、老後の資産形成や教育資金の準備を考えている人に向いています。
 
③リスク許容度が高い人
市場の変動により元本割れのリスクがあるため、リスクを許容できる人に適しています。
運用成果が良好であれば、高いリターンを得ることが期待できます。
 
④柔軟な運用選択肢を求める人
投資先を複数のファンドから選択できるため、自分のリスク許容度や投資目標に応じて運用先を選びたい人に適しています。
 
(2)おすすめでない人
 
①リスクを避けたい人
投資リスクが伴うため、リスクを避けたい人や元本保証を重視する人には適していません。
定額保険のほうが、保障が安定しています。
 
②短期的な資産形成を目指す人
長期的な資産形成を目的とするため、短期間でのリターンを期待する人には向いていません。
短期的な投資にはほかの金融商品が適しています。
 
③複雑な商品を避けたい人
非常に複雑な金融商品であり、仕組みを理解するのが難しい場合があります。
シンプルな保険商品を求める人には適していません。
 
④安定した保険料を求める人
保険料は運用成果に応じて変動することがあるため、安定した保険料を求める人には適していません。
定額保険のほうが、保険料が安定しています。
 

 
変額保険は、投資と保険を組み合わせた商品であり、リスクとリターンを十分に理解したうえで加入することが重要です。
自分のニーズやリスク許容度に応じて適切な保険を選ぶことが重要といえます。

いいなと思ったら応援しよう!