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ペットを飼う高齢おひとりさまはペットのライフプラン設計(生涯設計)も必要


60歳独身で子犬をを飼っています。
いまは勤務収入で飼育費用は賄えていますが、頼れる親族もおらず、いつまで面倒をみられるか不安があります。
何とか看取りまで面倒をみたいのですが、どうしたらよいでしょうか?


  

1 高齢のおひとりさまがペットを飼うことにはメリットもデメリットもある


わが国では高齢者がペットを飼う割合が増加しており、高齢者の約30%がペットを飼っているという調査結果もあります。
孤独を感じることなく、健康的な生活を送るためにペットを飼う高齢者が増えていると推測されます。
 
とくに高齢のおひとりさまがペットを飼うことには、つぎのようなメリットとデメリットがあります。

2 高齢のおひとりさまがペットを飼う場合に注意したいポイントがある


高齢のおひとりさまがペットを飼うことは、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットやリスクも伴います。
充実したペットライフを送るには、つぎのような注意点を考慮し、慎重に計画を立てる必要があるでしょう。
 
(1)健康状態の確認
持病や体力の状態など、自分の健康状態がペットの世話に適しているかを確認しましょう。
 
(2)経済的負担
 
①飼育費の計画
餌代や医療費、トリミングなどの経費を考慮し、月々の予算を立てることが重要です。
経済的に無理のない範囲でペットを飼いましょう。
 
②ペットの医療費の確保
ペットの医療費を見込んでおくことが必要です。
定期的な健康チェックや予防接種、急な病気に備えるための費用を計画しておきましょう。
 
③予想外の出費に備える
突発的な病気やけがに備えて緊急用の資金を確保しておくことが大切です。
ペット保険も検討するとよいでしょう。
 
(3)日常生活の管理
 
①適切なペットの選択
自分の生活スタイルに合ったペットを選ぶことが大切です。
たとえば、犬の散歩が難しい場合は、猫や小型のペットを選ぶことが考えられます。
 
②ペットの世話
ペットの世話に必要な時間と労力をしっかりと見積もり、毎日の生活に組み込むことが重要です。
適切な食事や運動、トイレの掃除などを怠らないようにしましょう。
 
③ペットの飼育環境
ペットが安心して過ごせる環境を整えることが重要です。
住居の安全性やペットの居場所を確保しましょう。

3 ペットにもライフプランニング(生涯設計)が必要である


ペットにもライフプランニングを行い、一生涯の収入と支出の計画を立てることは非常に重要です。
愛するペットが健康で幸せな生活を送るために役立ちます。
 
(1)まずはペットに1年間に必要な費用を把握して無理なく支出できるかを確認する
アニコム損害保険株式会社「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」から引用します。
1年間にかかる費用は、犬が約34万円、猫が約17万円となっています。

(出所)アニコム損害保険株式会社「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」をもとに作成

 
ペットにかかる費用を自分の収入から賄えるかを検討します。
諸説ありますが、年収の5~10%以内が目安となるでしょう。
 
(2)ペットの余命を算出してその年数分の支出を継続できるかを検討する
ペットの種類によって寿命は異なります。
自分のペットの平均寿命から実際年齢を差し引いてあと何年余命があるのかを算出します。

 
そして、今後の自分の年収と比較して、ペットの余命年数分の費用を無理なく支出し続けられるのかを確認しましょう。
 
(3)ペットの一生涯にかかる総費用を把握することも重要
ペットの余命年数と年間費用を掛け合わせることで、一生涯に必要な金額を算出できます。
たとえば、猫が15年生きる場合、年間の費用が約17万円とすると、一生涯で約255万円が必要となるのです。
総費用を今後の自分の収入と貯蓄などで十分賄えることの確認も重要となります。

4 高齢のおひとりさまは自分の万が一のときにペットが路頭に迷わないよう対策を準備しておくことが望ましい 


(1)ペットの世話を引き継いでくれる人を確保しておく
自分ができなくなった場合に備えて、信頼できる親族や友人などにペットの世話を引き継いでもらうようお願いしておきましょう。
事前に話し合い、合意を得ておくと安心です。
 
(2)遺言作成や信託設定をしておく
自分が亡くなった場合に備え、ペットの世話や財産の使いみちについて明確に記載した遺言を作成しましょう。
遺言には、後見人やペットのケアに関する具体的な指示を書き込んでおくとよいです。
 
また、ペットのために信託を設定することもできます。
信託を通じて、ペットの世話に必要な資金を確保し、信頼できる人に管理を委ねられます。
 
(3)ペットのプロフィールとケア情報を準備しておく
ペットの年齢、健康状態、食事の好み、日常のルーティンなどを詳細に記載したプロフィールを作成します。
世話を引き継いだ人がペットのケアをやりやすくなるからです。
また、ペットの獣医師の連絡先や医療記録、予防接種の履歴を整理し、引き継いだ人がすぐにわかるようにしておきましょう。
 
(4)ペットの福祉団体やシェルターなどと連携しておく
ペットの世話を引き受けてもらえる人が見つからない場合は、動物保護団体やシェルターなどと連携する方法があります。
ペットの里親を探す手続きを事前に検討しておくこととよいでしょう。
 

 
ペットとの生活は、高齢者の心身の健康によい影響を与えるといわれています。
一方でペットを飼うには長期間にわたる世話が必要で、多額の費用もかかります。
ペットの一生涯にかかる費用を確保できる収支計画や、飼い主が万が一のときの対策をあらかじめ講じることが重要になります。


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