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中古マンションのおおよその価格は参考程度でよければ自分で簡単に算出できる
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いま住んでいるマンションをいずれは売却しようかと考えています。
具体的な売却時期が決まっていないので不動産業者に査定を依頼しづらく、いくらで売れそうかを自分で計算する方法はありますか?
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1 中古マンションの価格を算定するには「取引事例比較法」が一般的に用いられる
取引事例比較法は、対象物件と類似した物件の過去の取引事例をもとに価格を算定する方法です。
実際の取引事例をもとに算出するため、現在の市場価格を反映しやすくなります。
また、多くの取引事例を収集して比較し、補正するという価格算定の過程が明確であり、理解しやすく信頼性も高くなるのです。
取引事例比較法の算定手順はつぎのとおりです。
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(1)事例収集
まず、対象物件と類似した物件の取引事例を多数収集します。
収集先としてはつぎのようなものがあります。
①不動産情報ライブラリ
国土交通省が提供するデータベースです。
「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」から入って検索条件設定画面で検索できます。
②レインズ・マーケット・インフォメーション
不動産流通機構が運営しています。
③7mansion
中古マンションの成約価格・取引事例を検索できます。
④不動産業者のウェブサイト
多くの不動産業者のウェブサイトで物件情報を公開しており、過去の取引事例や現在の販売価格を確認できます。
⑤住宅情報誌
最新の不動産市場情報や過去の取引事例が掲載されています。書店やコンビニエンスストアで購入できるほか、図書館でも閲覧可能です。
多くの取引事例から、つぎのような基準により適切な事例を選択します。
㋐近隣地域または類似地域に立地する
原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域にある物件を選択します。
㋑取引事情が正常である
選択する事例は、取引事情が正常なもの、または正常に補正できるものを選びます。
売り急ぎや買い進みなどの特殊な事情がある場合はなるべく避けたほうが無難です。
㋒時点修正できる
取引事例が過去のものである場合、現在の価格水準に修正できるよう、取引時点が明確なものを選びます。
㋓地域要因の比較および個別的要因の比較ができる
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(2)事情補正
収集した事例のなかで、たとえば売り急ぎや買い進みといった特殊な事情がある場合は、その影響を補正します。
前述の「不動産情報ライブラリ」のように特殊事情の有無がわかるものもあります。
特殊事情の有無が不明な場合は、事情補正を行わなくてもやむをえないでしょう。
(3)時点修正
取引事例が過去のものである場合は価格変動を反映させるため、現在の価格水準に修正します。
たとえば、過去1年間で周辺のマンション価格が5%上昇している場合は修正率を5%とします。
(4)標準化補正
たとえば、角地や不整形地といった、事例の土地の個性を標準化するための補正です。
マンションにおいてはとくに行わなくてよいでしょう。
(5)地域要因比較および個別要因比較
地域要因比較は、対象物件と取引事例の立地条件や周辺環境を比較して、地域の違いが価格に与える影響を補正します。
個別要因比較は、対象物件と取引事例の建物の特性や状態を比較して、建物の違いが価格に与える影響を補正します。
それぞれの要因にはつぎのようなものがあります。
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それぞれについて要因の違いを補正するための補正率を設定します。
補正率は、対象物件が取引事例よりも優れている場合はプラスに、劣っている場合はマイナスに設定します。
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【具体的事例】
<対象物件>
面積:80㎡
立地条件:駅から徒歩5分
(1)事例収集
まず、対象物件と類似した中古マンションの取引事例を収集します。
たとえば、つぎの3つの事例を収集したとします。
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3つの事例のうち、面積および立地条件から事例Bが対象物件にもっとも類似していると判断できます。
(2)事情補正
事例Bは競落物件のために価格が低くなっていることがわかったので、30%の補正を行います。
(3)時点修正
過去1年間で周辺のマンション価格が5%上昇していることがわかったので、5%の補正を行います。
(4)地域要因修正
対象物件が駅から徒歩5分であるのに対し、事例Bは徒歩15分と劣っているため、10%の補正を行います。
(5)個別要因修正
対象物件と事例Bの面積の違いを補正します。
以上からつぎのとおり算出されます。
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なお、補正率の設定には明確な基準はなく、本来は専門的な知識と経験にもとづいて設定するものです。
よって、立地条件が悪いから5%減額、築年数が古いから10%減額といったように、感覚的に補正率を設定するのもやむをえません。
おおよそこれくらいかなと参考程度にするなら大きな問題はないでしょう。
正確な価格算定を行いたいのであれば、不動産業者や不動産鑑定士などに依頼することが推奨されます。
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2 「固定資産税評価額」をもとに算定する方法もある
所有不動産について、毎年6月ころに市区町村から「固定資産税納税通知書」が届きます。
同封されている課税明細書に記載されている「固定資産税評価額」をもとにして価格を推定する方法もあります。
固定資産税評価額は市区町村が決定する価格であり、実勢価格の70%程度とされています。
ただし、評価替えが行われるのは3年に1回です。直近では2024年に行われており、次回は2027年となります。
評価替えから時間が経っている場合は時点修正が必要になります。
具体的な事例をもとに、中古マンションの価格を固定資産税評価額から算出するとつぎのようになります。
<事例>固定資産税評価額 : 1,500万円
実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7
= 1,500万円 ÷ 0.7
= 2,142.86万円
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以上の算定方法ではあくまで参考程度の価格しか算出できません。
正確な価格を把握したいのであれば不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。
無料で査定してくれることが一般的です。
可能なら複数の不動産会社に査定を依頼すれば、より正確な価格を把握できます。