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中古住宅を購入する際の留意点
建設費用の高騰などの影響で新築住宅着工戸数が減少傾向にある一方で、中古住宅の購入者は年々増えてきています。
住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」から引用します。中古住宅(中古戸建・中古マンション)の利用割合は27.4%(前年度比3.3ポイント増)で2013年度(13.9%)に比べて倍増しています。
中古住宅を選ぶ際には新築住宅とは違った注意すべき点があります。また、戸建てかマンションかでも異なります。
中古住宅を購入する際の留意点などについてお話しします。
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1 中古住宅のメリット
中古住宅とは、以前に誰かが住んでいた住宅を指します。新築住宅とは異なり、既に建てられてから一定の期間が経過している住宅です。
つぎのようなメリットがあります。
(1)価格が安い
新築住宅に比べて一般に低価格です。
(2)実物を見学できる
実際に内見して、眺望や日当たり、間取りなどを確認できるため、購入前に具体的なイメージを持ちやすくなります。
(3)リフォーム・リノベーションができる
自分好みにリフォームやリノベーションを行って理想の住まいを実現できます。
(4)すぐに入居できる
手続きが完了すれば、すぐに住み始められる点も魅力です。
(5)選択肢が多い
新築住宅に比べて、選べる物件の数が多くなります。
中古住宅には以上のようなメリットがある一方で、設備が古い場合や修繕が必要な場合もあります。購入前にしっかり確認することが重要です。
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2 中古住宅政策の動向
国土交通省は、中古住宅市場の活性化を目指し、さまざまな政策を推進しています。
既存住宅の品質向上や流通促進を図るための政策により、日本の中古住宅市場は今後も成長が期待されています。
(1)インスペクションの推進
2018年の宅地建物取引業法改正で、不動産会社はインスペクション(建物状況調査)の実施を斡旋するかどうかの告知義務があります。
それにより、中古住宅の品質を確保し、購入者の安心感を高める効果が見込めます。
(2)税制優遇措置
中古住宅の購入やリフォームに対する税制優遇措置も導入されています。
たとえば、住宅ローン減税やリフォーム減税などがあり、これらの措置が市場の活性化に寄与しています。
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3 中古住宅を選ぶ際のポイント
つぎのようなポイントを押さえると、安心して中古住宅を選ぶことができるでしょう。
(1)建物の状態
外観や内装の状態を確認し、とくに屋根や外壁、基礎部分に問題がないかをチェックします。専門家にインスペクションを依頼するのも効果的です。
(2)設備の確認
給湯器やエアコン、配管などの設備がどの程度使用されているか、修理や交換が必要かどうかを確認します。
(3)耐震性
日本は地震が多い国なので、耐震基準を満たしているかどうかを確認することが重要です。
とくに新耐震基準が導入された1981年以前に建てられた建物は注意が必要です。
(4)周辺環境
交通の便(駅からの距離やバス停の位置など)や近隣の施設(スーパー、病院、学校など)の状況を確認します。将来の資産価値にも影響するからです。
また、騒音や治安なども重要なポイントです。
(5)リフォームの可能性
自分の希望に合わせてリフォームやリノベーションが可能かどうかを確認します。
また、リフォーム費用も考慮に入れて予算を立てることが大切です。
(6)過去の経緯
過去の所有者や修繕履歴、トラブルの有無などを確認します。
修繕の必要性など、将来的な問題を予測しやすくなります。
(7)価格の妥当性
周辺の相場と比較して、価格が適正かどうかを確認します。
必要に応じて不動産の専門家に相談するのもよいでしょう。
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4 中古マンションを選ぶ際のポイント
中古マンションを購入する際には、以下のポイントに注意しましょう。
(1)建物の状態
①築年数
築年数が古いほど価格は下がりますが、耐震性や設備の劣化も考慮する必要があります。
1981年以降に建てられた新耐震基準の物件を選ぶと安心です。
②管理状況
マンションの管理状態を確認しましょう。
管理組合の議事録や修繕計画をチェックし、管理費や修繕積立金の滞納がないかなどを確認します。
(2)設備と内装
①リノベーションの有無
リノベーション済みの物件はすぐに住める利点がありますが、価格が高めです。リノベーション未了の物件は自分好みに改装できる反面、追加費用がかかります。
②設備の状態
給湯器やエアコン、配管などの設備がどの程度使用されているか、修理や交換が必要かどうかを確認します。
③維持費用
購入後は、管理費、修繕積立金、駐車場・駐輪場代、火災保険料や地震保険料などのランニングコストがかかります。予算をしっかり立てましょう。
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5 中古住宅の購入時にかかる費用
中古住宅の購入時には、物件の価格以外にもつぎのような費用がかかります。
これらの費用を考慮して、予算を立てることが重要です。
(1)手付金
売買契約時に支払う費用で、通常は物件価格の10%程度です。
(2)仲介手数料
不動産会社に支払う手数料で、一般的には「(売買代金×3%+6万円)+消費税」です。
(3)印紙税
売買契約書や住宅ローン契約書に貼る印紙代で、契約金額に応じて異なります。
(4)登記費用
所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる費用で、司法書士の報酬も含まれます。
(5)住宅ローン関連費用
融資事務手数料、ローン保証料、火災保険料などです。
(6)固定資産税・都市計画税の精算
売主との間で購入時に日割りで精算することが多いです。
(7)リフォーム費用
必要に応じてリフォームを行う場合の費用です。
(8)引越し費用
引越し代や新しい家具の購入費用などです。
(8)不動産取得税
物件取得後にかかる税金で、引き渡しの半年から1年半後に納税通知書が送られます。
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6 中古住宅の売買契約のポイント
つぎのようなポイントを押さえることで、安心して中古住宅の売買契約を進められるでしょう。
(1)契約書の内容確認
契約書には、つぎのような事項が記載されます。これらの内容に間違いや不明点がないかをしっかり確認しましょう。
・売買物件の表示
・売買代金
・手付金
・所有権の移転と引き渡し
・公租公課の精算
・反社会的勢力排除
・ローン特約
・負担の消除
・付帯設備の引き渡し
・手付解除
・引き渡し前の物件の滅失
・毀損、契約違反による解除
・契約不適合責任
・特約事項
(2)引き渡し日
引き渡し日は事前に調整して決めるのが一般的ですが、不利な契約内容にならないよう注意が必要です。
引き渡し日が遅すぎると、リノベーションや引越しのスケジュールに影響が出ることがあります。
(3)手付金額
手付金は通常、物件価格の5~10%程度です。
手付金の額が高すぎると、買主都合で契約解除する際の費用負担が大きくなります。
適正範囲の手付金を設定しましょう。
(4)ローン特約・買換え特約
住宅ローンや自宅の売却益を中古住宅の支払いに充てる場合、ローン特約・買い替え特約を契約書に明記しましょう。
ローン審査に通らなかった場合や自宅が売れなかった場合に、手付金の放棄なしで契約をキャンセルすることができます。
(5)契約不適合責任
中古住宅の欠陥について売主の責任範囲を定める契約不適合責任も、必ずチェックすべき項目です。
契約書には契約不適合責任の範囲や期限などが明記されるので、不利な条件になっていないか確認しましょう。
(6)付帯設備の引き渡しと残置物の処理
引き渡す設備は付帯設備表で確認し、故障や不具合についても明記されるので、すべての項目を必ずチェックしましょう。
また、売主の荷物やゴミなどが残っている場合などの残置物の処理について取り決めしておく必要があります。
(7)抵当権の抹消
中古住宅に抵当権が残っている場合、引き渡しまでに売主が抹消手続きを行うのが一般的です。
抵当権が残ったまま引き渡されると、完全な所有権を得ることができず、差押などで失うリスクが発生します。
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中古住宅といえども決して安い買い物ではありません。
築年数によっては将来の建て替えや大規模修繕を視野に入れる必要があります。
物件選びを慎重に行うとともに、将来の支出なども考慮して資金計画をしっかり立てることが大事です。