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バリュー株とグロース株とはどのようなものか?

株式投資では、ふだん使わないさまざまな用語が出てきます。
バリュー株とグロース株という言葉は、聞いたことはあるが、意味はよくわからないという方が少なくないのではないでしょうか。
それぞれどのようなものなのかについて詳しく見ていきます。


1 バリュー株とは


バリュー株とは、企業の本来の価値に対して株価が割安とされる株式のことを指します。
企業の財務状況や資産価値に比べて市場での評価が低いため、投資家にとってはお買い得とみなされることが多くなります。
一般的に、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)、配当利回りなどの指標を用いて割安かどうかを判断します。
 
(1)バリュー株の特徴
 
①PERが低い
株価収益率(PER)が低い場合、企業の利益に対して株価が割安と判断されます。
一般的にPERが10~15倍以下の場合、バリュー株とされます。
 
②PBRが低い
株価純資産倍率(PBR)が1倍以下の場合、企業の純資産に対して株価が割安とみなされます。
 
③高い配当利回り
配当利回りが高い株式は、投資家に対する利益還元が大きいとされ、バリュー株と判断されることが多くなります。
 
(2)投資する際の注意点
バリュー株への投資は、企業の実態をよく調査し、長期的な視点で行うことが重要です。
 
①短期的な利益は期待しにくい
バリュー株は中長期的な投資に向いており、短期的な値上がりを期待するのは難しい場合が多くあります。
 
②倒産リスク
割安な理由が企業の経営不振や業界全体の低迷によるものである場合、倒産リスクが高い場合もあります。
 
③市場全体の影響
市場全体の動向や経済状況によっては、バリュー株も大きく影響を受けることがあります。

2 グロース株とは


グロース株とは、新しい市場の開拓や技術革新などにより、将来的な成長が期待される企業の株式を指します。
売上や利益が市場平均よりも高い急成長が見込まれ、投資家にとっては高いリターンが期待できることが多くなります。
 
(1)グロース株の特徴
 
①高い成長率
売上や利益が急速に増加している企業が多くみられます。
 
②配当金が少ない
多くのグロース株は、利益を再投資するために配当金を出さないか、少ない配当金しか出しません。
 
③株価が高い
投資家からの期待が高いため、株価が割高になる傾向があります。
 
(2)投資する際の注意点
グロース株は大きなリターンを期待できる一方で、リスクも伴います。
投資を検討する際は、企業の財務状況や市場の動向をしっかりと分析することが大切です。
 
①リスク管理
グロース株は高い成長が期待される一方で、企業の成長がとん挫すると株価が大きく下落するリスクがあります。
 
②長期的な視点
短期的な値動きに惑わされず、企業の長期的な成長ポテンシャルを見極めることが重要です。
 
③分散投資
一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の成長株に分散して投資することでリスクを軽減できます。

3 PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)


二つの指標を理解し、適切に活用することで、より賢明な投資判断ができるようになります。
 
(1)PER(株価収益率)とは?
PER(Price Earnings Ratio)は、株価が1株あたりの純利益の何倍で取引されているかを示す指標です。
企業の収益力を評価するために使われます。
 
【計算方法】
PER = 株価 / 1株あたりの純利益

たとえば、株価が1,000円で1株あたりの純利益が100円の場合、PERは10倍となります。
 
PERが低い場合、株価が割安である可能性が高くなります。
PERが低い場合、市場がその企業の将来の成長を期待しているとみられます。
 
(2)PBR(株価純資産倍率)とは?
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が1株あたりの純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。
企業の資産価値を評価するために使われます。
 
【計算方法】
PBR = 株価 / 1株あたりの純資産
 
たとえば、株価が1,000円で1株あたりの純資産が500円の場合、PBRは2倍となります。
 
PBRが低い場合、株価が割安である可能性が高くなります。
PBRが高い場合、市場がその企業の資産価値を高く評価しているとみられます。
 
(3)バリュー株とグロース株それぞれのPERとPBRの特徴
バリュー株は、PERとPBRが低いことが多く、割安と判断されることが多くなります。
グロース株は、PERとPBRが高いことが多く、将来の成長性が高く評価されています。
 
(4)株式銘柄ごとの把握方法
Yahoo!ファイナンスや証券会社などのサイトで、銘柄ごとのPERやPBRを調べられます。
また、企業の決算報告書やIR資料を確認することで、最新のPERやPBRを把握できます。
 
(5)注意点
 
①業種ごとの平均値
業種によってPERやPBRの平均値は異なるため、同業他社と比較することが重要です。
 
②市場の状況
経済状況や市場の動向によってPERやPBRの適正値は変動します。
 
③成長性の評価
PERやPBRだけでなく、企業の成長性や将来性も考慮することが重要です。

4 バリュー株とグロース株に投資する際の銘柄選択のポイント

 
(1)バリュー株の銘柄選択のポイント
 
①低いPERとPBR
PERが低い銘柄は、利益に対して株価が割安と判断されます。
PBRが低い銘柄は、純資産に対して株価が割安とみなされます。
 
②高い配当利回り
配当利回りが高い銘柄は、投資家に対する利益還元が大きいとされ、安定した収益を期待できます。
 
③財務健全性
企業の財務状況が健全であることを確認します。
負債比率が低く、キャッシュフローが安定している企業が望ましいです。
 
④業界の見通し
業界全体の見通しがよいかどうかも重要です。
特定の業界が低迷している場合、その業界のバリュー株はリスクが高くなる可能性があります。

(2)グロース株の銘柄選択のポイント
 
①高い成長率
売上や利益が急速に増加している企業を選びます。
とくに、売上高と利益が毎年増加している銘柄が理想的です。
 
②強力な競争優位性
競争優位性をもつ企業、たとえば独自の技術やブランド力をもつ企業は、長期的な成長が期待できます。
 
③市場のトレンド
成長が期待される市場や業界に属する企業を選びます。
たとえば、ITやバイオテクノロジーなどの分野は高い成長が見込まれます。
 
④財務健全性
グロース株でも財務健全性は重要です。
とくに、成長のために多額の借入を行っている企業はリスクが高くなるため、注意が必要です。 

(3)共通の留意点 

①分散投資
一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散して投資することでリスクを軽減します。
 
②長期的な視点
短期的な値動きに惑わされず、企業の長期的な成長ポテンシャルを見極めることが重要です。
 
③市場の動向
経済状況や市場の動向を常にチェックし、適切なタイミングで投資判断を行うことが求められます。
 
(4)投資信託という選択肢
個別銘柄を自分で探すのは容易ではありません。
バリュー株やグロース株に投資する投資信託を利用するという選択肢もあります。
どのようなファンドがあるのかは、証券会社や金融情報サイトで確認できます。
投資信託を選ぶ際には、ファンドの運用方針や手数料、過去のパフォーマンスなどをしっかりと確認することが重要です。
 

 
株価の割安性に注目するならバリュー株、企業の成長性に注目するならグロース株を選ぶことになります。
また、中長期的な利益を期待する場合はバリュー株、短期的にも利益を期待したい場合にはグロース株に注目するとよいでしょう。
さらに、バリュー株とグロース株のどちらが有望かは、経済状況や市場の動向によって異なってきます。
まずは自分の投資スタンスに合う株式を探すことが大事です。
そして、リスク許容度や投資目的に応じて、バリュー株とグロース株のバランスを取ることも必要でしょう。

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