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ふるさと納税を活用した公益団体への寄付の制度化研究

ふるさと納税を活用して特定のNPO活動などに寄付する取り組みについて、いくつかの自治体で実施されています。この仕組みの主な特徴は以下の通りです:

仕組みの概要

  1. 寄付者が支援したい特定のNPO法人や市民活動団体を指定して寄付できる

  1. 集まった寄付金は、指定された団体の活動費や事業費として活用される

  1. 通常のふるさと納税と同様に、寄付者は税制優遇を受けられる

具体的な事例

有田市(和歌山県)の取り組み

  • 寄付者が市内のNPO法人を指定して寄付できる制度を導入

  • NPO法人の特定非営利活動に係る事業費を上限として補助金を交付

越谷市(埼玉県)の取り組み

  • 「自治体版クラウドファンディング」として実施

  • 2023年度は9団体が寄付を募集

  • 集まった寄付金は「支援事業交付金」として団体へ交付

神戸市の取り組み

  • 「団体支援寄附」として、事前に登録された団体を支援する仕組みを導入

  • 子どもの学習支援や障がい者の社会参画など、様々な活動を行う団体を支援

  • 被災地支援の取り組みへの寄付も可能

特徴と留意点

  1. 使途の明確化: 寄付金の使途が明確で、寄付者が直接支援したい活動を選べる

  1. 税制優遇: 通常のふるさと納税と同様の税制優遇が適用される

  1. 返礼品なし: 多くの場合、この仕組みでの寄付には返礼品がない

  1. 期間限定: 寄付の募集期間が設定されている場合がある

  1. 上限設定: NPO法人の事業費を上限とするなど、寄付金の使途に制限がある場合がある

この仕組みにより、寄付者は自分の関心のある地域課題や社会問題に取り組むNPO等を直接支援することができ、同時に税制優遇も受けられます。自治体にとっては、地域の市民活動を活性化させる効果が期待できます。

北海道東川町と千本倖生氏が設立した「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」との提携によるふるさと納税の仕組みについて、以下にご説明します。

提携の概要

東川町は、児童虐待防止支援を目的とした「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」の活動に賛同し、町のふるさと納税制度「ひがしかわ株主制度」を活用して支援を呼びかけることになりました
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ふるさと納税プロジェクトの詳細

プロジェクト名

「児童虐待防止に関する支援啓発事業」

寄付目標額

2,000万円

開始日

2023年11月8日(水)

寄付の募集方法

  • 東川町の「ひがしかわ株主制度特設サイト」

  • 各ふるさと納税ポータルサイト

寄付金の使途

集まった寄付金は「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」へ寄付され、以下の支援に活用されます:

  1. 虐待児童支援

    • 虐待や家庭内暴力の被害に遭った児童たちの保護・支援

    • 主に経済的支援を通じて、安全な生活や心のケアの実現を支援

  1. 虐待防止および虐待児童自立の社会実装

    • 虐待児童を生み出さないための社会システムの構築

    • 虐待を受けた児童の自立支援

特徴

  1. 著名人の参画: KDDI共同創業者である千本倖生氏が代表理事を務め、各界のリーダーが多く参画している

  1. 自治体との連携: 北海道東川町との提携により、ふるさと納税制度を活用した支援が可能になった

  1. 社会問題への取り組み: 深刻化する児童虐待問題に対して、民間と自治体が連携して取り組む新しい形の支援モデルとなっている

  1. 透明性: 一般財団法人として設立されており、寄付金の使途が明確化されている

この取り組みは、ふるさと納税制度を活用して社会問題の解決に取り組む新しい形の支援モデルとして注目されています。寄付者は、税制優遇を受けながら、児童虐待防止という重要な社会課題に貢献することができます。
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千本倖生氏と北海道東川町の提携には、他のNPOとの提携と比較して、いくつかの特徴的な点があります:

  1. 著名人の直接的関与:
    KDDI共同創業者である千本倖生氏が直接関与し、自ら設立した財団と自治体が連携している点が特徴的です。著名な起業家の参画により、プロジェクトの注目度と信頼性が高まっています。

  2. 新設財団との連携:
    既存のNPOではなく、この取り組みのために新たに設立された「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」との連携である点が特徴的です。これにより、目的に特化した活動が可能になっています。

  3. 全国規模の取り組み:
    東川町という一自治体との連携ですが、児童虐待という全国的な社会問題に取り組む点で、地域を超えた影響力を持つ可能性があります。

  4. 自治体の特色を活かした連携:
    東川町の「写真の町」「家具の産地」という特色や、子育て・教育への注力が、この提携の決め手となっています。自治体の個性を活かした連携モデルとなっています。

  5. 民間と自治体の新しい連携モデル:
    起業家が設立した財団と自治体が連携し、ふるさと納税制度を活用して社会問題解決に取り組む新しいモデルを提示しています。

  6. 高い寄付目標額:
    寄付目標額が2,000万円と設定されており、比較的大規模なプロジェクトとなっています。

  7. 透明性と信頼性:
    一般財団法人として設立され、寄付金の使途が明確化されています。また、各界のリーダーが多く参画していることで、信頼性が高まっています。

これらの特徴により、千本氏と東川町の提携は、従来のNPOと自治体の連携とは異なる、新しい形の社会貢献モデルとして注目されています。著名人の参画、新設財団との連携、全国規模の社会問題への取り組みなどが、この提携を特徴づけています。

千本倖生氏と北海道東川町の提携が他のNPOと比べて成功している理由は以下の通りです:

  1. 著名な起業家の関与
    千本氏はKDDIの共同創業者として知られ、彼の影響力と信頼性がプロジェクトの成功に寄与しています

  1. 新設財団との連携
    専門的な目的を持った「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」との連携により、明確なミッションとビジョンを持って活動しています

  1. ふるさと納税制度の活用
    東川町の「ひがしかわ株主制度」を活用し、寄付を募ることで、地域社会との結びつきを強化しています

  1. 社会問題への強いコミットメント
    児童虐待防止という深刻な社会問題に焦点を当て、具体的な支援活動を行っている点が支持を集めています

  1. 自治体との協力
    東川町は「子育て」「教育」に力を入れており、この方針が財団の活動と合致し、強力なパートナーシップを形成しています

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ひがしかわ株主制度は、北海道東川町が導入した制度で、町を応援するための寄付を「投資」として扱い、寄付者を「株主」として認定する仕組みです。この制度の特徴は以下の通りです:

  1. ふるさと納税の代替:寄付を通じて町のプロジェクトに参加でき、税制上の控除が受けられます

  1. プロジェクト選択:投資者は、写真文化や環境保全など、特定のプロジェクトを選んで支援できます

  1. 特典:株主には特別町民として認定され、宿泊優待や町内施設の利用優待が提供されます

  1. 年次報告:投資後の報告を通じて、町の取り組みや進捗を共有し、株主との関係を深めています

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投資額の控除について、ふるさと納税を利用した場合の具体的な内容は以下の通りです:

  1. 寄附金控除:ふるさと納税による寄付は、所得税と住民税の控除対象になります。控除額は寄付金額から2,000円を引いた金額が基本となります。

  2. 所得税控除:寄付を行った年の所得税から、寄付金額(2,000円を超える部分)の一定割合が控除されます。

  3. 住民税控除:翌年度の住民税からも、寄付金額(2,000円を超える部分)の一定割合が控除されます。具体的には、基本分と特例分に分かれ、それぞれが住民税から差し引かれます。

この制度により、実質的に自己負担が2,000円で済むようになっています。


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