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practice 3 贔屓

 テレビを観て呵々大笑する、ということが無くなって久しい。

 明らかに年齢のせいもあるが、子供が見つけてきた面白動画などではゲラゲラ笑っているので、年のせいばかりでもなさそうだ。

 お笑い番組は嫌いではないが、全く心に入ってこない演目が続くと、チャンネルを切り替えてしまう。それでもお笑い番組を観るときは、誰か次世代を担う大物に出会えるのではないか、私を大笑いさせてくれるのではないか、と常に期待している自分がいる。

 現実には、お正月特番で見た人を年末特番で見ない、ということも多い。年々、時の流れが加速しているようだ。

 今はお笑いに限らず、皆が血眼で面白いものを探している時代だ。動画も確かに面白い。動画の妙は編集の妙だ。何万回繰り返し再生されたかということがその動画の価値になる。しかし繰り返し見ていれば飽きるし、面白い動画を作った人の次回作には知らず知らずのうちに期待が大きくなり、もっともっとと強欲の魔女が耳元で囁くようになる。そうなるとたいていが期待外れになるし、次々と新しい動画を探さずにはいられなくなる。

 芸人さんたちにとっては、本来、一期一会の舞台が最も真価を発揮できる場所だろう。そういう意味でも、このご時世は逆風が吹いている。

 そんなわけで、特段贔屓の芸人さんがいないのだが、唯一、「阿佐ヶ谷姉妹」には注目している。

 基本的に女性ふたりのコンビが好きだ。古くは「今いくよくるよ」さん。「ハリセンボン」さん、大久保佳代子さんと光浦靖子さんも好きだ。

 女性のトリオやコンビの場合、いわゆる美醜や体型、年齢、恋愛ネタが多くなり、時として人の心に快にも不快にも映る。でも、彼女たちにはいつも、それを跳ね返すパワーがあるように思う。

 「阿佐ヶ谷姉妹」は姉の渡辺江里子さんと、妹の木村美穂さんの疑似姉妹。最初はまんまと騙され本当の姉妹だと思っていた。歌ネタがメインで、いつもピンクのひらひらドレスを着て登場する。そもそもあの話し方がいいなと思う。おっとりとしていて、ツッコミもほのぼのしている。

 11月から、おふたりの『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』というエッセイがドラマ化されるらしい。2011年から2017年頃まで阿佐ヶ谷で同居していた時のことを書いたエッセイだ。木村多江さんが江里子さんを、安藤玉恵さんが美穂さんを演じるということで、今からとても楽しみにしている。

 

 

 

#推しの芸人

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