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カレールウ

 カレーライスは日本人のソウルフード。

 かつては学校給食でも頻出、校外学習などの野外活動や、修学旅行でも、必ずと言っていいほどカレーライスが出たものです。

 みんな大好きカレーライス。

 本来はインド起源のスパイスたっぷりのサラッとしたものですが、日本のカレーはねっとりと粘度があり、人によっては脂っぽいと感じる人も。

 時間をかけて野菜や小麦粉を炒めたり、スパイスを手広くそろえてこだわりのカレーを作るかたもいらっしゃいますが、仕事帰りの忙しい中、手軽に作ることができる秘密は、もちろんカレールウ。

 ルウの語源はフランス語だそうです。

ルーの語源は、フランス語のroux。
小麦粉と油脂を炒めてスープのつなぎに使うものをいいます。
これにカレーパウダーを加えたものがカレールウと呼ばれます。

ハウス食品Q&Aより

 皆さんは、カレールウ、何を使っていますか?

 我が家は、子供が小さいころからS&B社の某カレールウを使っていました。比較的安い価格帯の商品です。

 息子、食に関しては超保守的で、頑固。

 幼いころからカレーが好きではなく、カレーの日はガッカリするタイプでしたが、小学校の野外活動でたまたまこのルウを使ったカレーを食べて「これはイケる」と思ったらしいのです。

 おそらく、友達と一緒に作って外で食べるというワクドキ体験によって、このカレーが美味しいという刷り込みをされたのではないかと思われます。

 正直、私はそんなに好みの味ではありません。

 時々ルウを替えようとしましたが、息子は「安納芋」が入っているその某カレーの甘口が好みで、それ以外の中辛以上は「辛いというよりまずい(すみません。あくまで個人の感想なので)」というし、他のルウは(たぶん先入観から)どれもイマイチだと。
 ほんと、イラッとすることしばしば。
 
 結局色々メンドクサイのでずっとこのカレールウを使っていました。

 しっかしもう中学も卒業ですよ。
 いつまでも甘口とか、なくない?

 内心にふつふつとそんな思いを抱いていた母。

 カレールウは現在、何十種類も市販されていますが、いつも特定のカレールゥを使っているご家庭も多いのではないかと思います。

 確かに、なかなかあれこれ手を出しにくい。
 次々新商品を試す方もいらっしゃるとは思いますが、なんとなく定番ができてしまうのが、カレールウじゃないかと思います。

 各ご家庭で、工夫もいろいろです。
 二つ以上を混ぜて使ったり。
 隠し味を投入したり。

 ちなみに、自分の家で使っているカレールウを検索したこと、ありますか?

 製品名を入れて検索すると、「作り方」「レシピ」「甘い」「辛い」などの検索ワードの他に、「まずい」と「おいしい」が同時に出てきて困惑します。わりとどのカレーでも似たような感じです。

 それほど、人の味覚や好みが違うということなのでしょうし、これほどに世の中に種類があるのはそういう理由があるのだと思います。

 さて、そんな激戦市場である「カレールウ」の戦場に、この夏、かのカリスマ料理研究家、栗原はるみさんが参入されました。

 2022年8月発売「栗原はるみ わたしのカレー」

 昨年夏に「栗原はるみのクリームシチュー」が出て、迷いに迷った末に試したことがあります。

 確かに美味しいと思ったので、次に「栗原はるみのビーフシチュー」を試したのですが、こちらは私的に「むむむ」と思うお味。

 もちろん、個人の感想です。

 だいぶ長いこと「栗原はるみ わたしのカレー」を見かけるたび、気になって気になってたまらなかったのですが、なんとなく現状維持を続けていました。

 先日、ついに購入しようと思いましたが、しかしまてよ、と。

 今回のサッカーのワールドカップは本当に「PK戦で決着」の多い大会でしたが、PKで言えばクリームシチュー「〇」の次がビーフシチュー「×」。

 次は「〇」であってほしい。ぜひに。
 「×」だったから結構がっかりだな、悩んだだけに。

 そう思って、店頭で、はたとカゴに入れる手が止まりました。

 いやいやいや。

 この値上げ値上げのご時世に、しかも激戦の「カレールウ」市場に、満を持して参戦するということは、かなりの自信作のはず。

 しかも「わたしの」と冠するくらいです。
 カリスマの後光が眩しいほどのパワーワード。

 うまいに違いない。ゴクリ

 それに、これまで使っていたS&B社の製品でもあるし、スムーズな移行が可能なのではないか?

 お値段は、これまでのルウよりは高くなりますが、だからと言って「信じられないほど高い」というほどでもない。

 やっと決心してカゴに入れました。

 家に帰ってPK戦。

 ゴールするのか?
 しないのか?

 ルウを投入した時、パッとスパイスの香りが広がって「あ、これはいけるかも。俺のコースやろ」となったのですが、食べるまではまだ勝負がつかない。

 食べるまでは、というか、超保守的頑固一徹な息子がなんというか。

 結果は―――

 あくまで個人の感想ですが、美味しかったです。

 ほどよくスパイシーで、ちょっと昔ながらの感じで、激ウマ!というほどでもないけれど「あ、美味しい」をキープするような、そんな感じ。

 栗原さんのルウシリーズは、他の料理にも使えるような幅を持たせているのがポイントらしく、そのために強烈に印象に残るものは使っていないのだと思います。それがいいか悪いかはお好みということでしょう。
 物足りない方のためにスパイスを足す方法も、パッケージに記載されていました。

 カレールウが粉末タイプなのも、溶けやすくてグー。

 息子もなんら問題なくぱくぱく食べていました。

 よっしゃ、「〇」ですな!

 え。これって。

 やっと、「某カレールウ甘口」卒業??

 後始末も、するん、と楽でした。

 うーん。さすが栗原はるみさん。
 そしてありがとう栗原はるみさん。

 ようやく「毎回おんなじルウ」の呪縛から解放されます。
 これを機に、他のカレーも試してみようと思えるかも。

 カリスマの威力、恐るべし、と唸った寒い冬の日でした。

 

 

 

 

 

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