箱根本箱が最高だった件
実は子供のころから本を読むのが結構好きです。
まだ字も読めない頃、毎晩寝る前に母が本を読んでくれていたのですが、たまに面倒くさくなってしれっと1ページ飛ばしたりすると、違うだろとキレていたそうです。
親の趣味で週末に頻繁に競輪場に出かける家庭だったのですがw、競輪場に着く前に本屋さんで毎回1冊買ってもらう絵本が、ひらがなが読めるようになってからの楽しみでした。大量にある絵本の中のお気に入りは、かさじぞうとアルプスの少女ハイジ。おじいさんとおばあさんが囲炉裏を囲むあたたかい食事と、白パンの描写が好きだったからです。
そんなわけで大人になってからも、小説を中心にかなりの雑食ですが平均して月に2冊ぐらい読んでいます。
2018年に箱根・強羅にオープンした「箱根本箱」。1万2000冊の蔵書を擁するブックホテルです。本は全部読み放題。読書と温泉のループをするための宿。
そんなの絶対最高に決まってるじゃないですか。開業当時から気になっていたもののなかなか機会に恵まれず、先日やっと行ってきたらやっぱり最高だったよってお話をします。
アクセス
箱根登山鉄道のケーブルカー「中強羅」駅から徒歩4分。
都心からだと、→小田原→箱根湯本→強羅→中強羅と最低3回乗り換えがあります。(ロマンスカーで箱根湯本に行くなら最低2回)
でも車が無くても電車で行けるの、いいよね。
乗り換えはちょっと面倒だけど、きれいな景色を見ながら箱根登山鉄道に揺られるのは「とことんゆっくりする旅」のはじまりには相応しい感じでよかったです。
中強羅駅に着いたら、ねこがお出迎えしてくれた。
「やっほー!元気?」と声をかけてみたけど塩対応。野良っぽいけど太っててかわいい。
翌朝帰る時にもこの子いたから、もしかしたらいつもいるのかも。相変わらず愛想はなかったけど、ちょっと足元にすり寄ってきたりした。素直じゃないだけなのかもしれない。
中強羅駅からホテルまでは、ほとんどフラットな道で4分なので楽です。廃墟っぽくなったホテルや保養所がいくつもあってちょっと切ない。
箱根本箱も、もとは日販(日本出版販売)の保養所だったんだって。
12000冊が読み放題
エントランスの木製自動ドアが開くと、そこは写真で見ていつも憧れていた、でかい本棚のあのホール!正面の窓からは山と空。きゃー!(歓喜)
壁一面に本が並んでいて、表からは見えない本棚の中にも本棚が。廊下や大浴場の横、レストランなど至るところに小さな本棚があって、「ここにもあった!」と探す楽しさもあります。
「衣・食・住・遊・休・知」を中心に選書されているそう。誰でも知ってる著名人が選んだ本が並ぶ「あの人の本棚」というコーナーが各所にあり、テーマと解説が書かれた簡単なしおりも置かれています。このコーナーを見つけるのも楽しい。
置いてある本はすべて、共用部(つい共用部とか言っちゃう)で読んでもお部屋に持ちこんで読んでもOK。気に入ったら連れて(買って)帰ることもできます。
2階のラウンジでは自由にコーヒーとか飲めるようになっています
自分が好きな本を見つけると嬉しい。「こんな本があるんだ」という発見がすごく楽しい。本をゆっくり読むのはもちろん、そうした「発見」に時間を費やす楽しみ方もできるんだなとこれまた発見。
いろんな本をじっくり読みたい。でも本の発掘もしたい。お風呂も満喫しなきゃ。ああ時間が足りない。1泊で来たのを後悔しました。
江國香織さんでいちばん好きな作品があって嬉しい。
お部屋とお風呂
客室は全18室。ツインが基本ですが、エキストラベッドで最大1部屋4名までは泊まれるそう。
ちなみにツアーや研修旅行など、2室以上使うようなグループの場合は全館貸し切りでの対応だったり、小学校高学年未満の子どもは原則不可だったりと、落ち着いて本を読める環境を整えてくれているのも嬉しいところです。
わたしが泊まったのは2階・マウンテンビューのお部屋です。ちなみに全室露天風呂付き。
ツインベッドにテーブルと小さい本棚。シャワーブースとテラスの露天風呂。すごくシンプルで居心地の良いお部屋です。
客室にも「あの人の本棚」が。私のお部屋はマッキー牧元さんというアンジャッシュ渡部が師と仰ぐらしいグルメライターさんの本棚でした。食い意地の張っているわたしには相応しいお部屋だと、運命を感じる。
さらに、以前デベ夫人にレシピ本をいただいた西健一郎さんの本がここにもあって感激しました。
コットン100%の着心地のよい館内着(スウェット)やメイク落とし・化粧水・乳液などのアメニティが揃っているのも嬉しい。まじで最低限の荷物で来て大丈夫です。
テレビと時計はありません。だがそれがいい。
地下1階には大浴場があって、内湯と露天風呂。サウナはありません。2種類の源泉を引いているらしいです。硫黄の香りがするお風呂、好きです。
しゃれてる。
お風呂の横の休憩スペース的なところにも本棚。
お食事も素晴らしいよ
じつはオーベルジュでもある箱根本箱。お食事は箱根のローカルガストロミーを表現した自然派イタリアン。夕食も朝食も、おっしゃれなレストランでいただきます。
写真撮り忘れましたが、めちゃおしゃれなカウンターテーブルがかっこよくてちょっと楽しみにしていたんですが、この日のゲストはわたし1人(!)だったので個室に通してもらえました。
おいしいものを食べるのは大好きなのにそれを表現する語彙力がないので、写真を見てください。端的に言って全部感動的に美味しかった(小並感)。
「こんな芸術的でおいしいの、よく思いつくね?頭の中どうなってるの?(ほめてる)」ってなる、あの感じです。
朝食は、野菜を中心としたプレートとパン、スープとフルーツとヨーグルト、フレッシュジュース。満足できるけど満腹になりすぎない、ちょうどよいバランスです。
というわけで1泊2日、できるだけスマホを見ずに、ひたすら本を探して、読んで、お風呂に入って、おいしいものを食べて…のループでゆっくり過ごしました。
なにしろ館内にわたし1人なので、部屋に籠るのももったいなくて、館内いろんな場所に移動してみたり。(雰囲気良いから居たくなるのもある)
非日常な環境で、”それ以外にすることがない状態で”読書に集中するというのはできそうでできないですよね。余分な情報をシャットアウトして本の世界に没入できたからか、頭と心がかなりリフレッシュできました。この効果はちょっと想定外でびっくり。
常に「1人貸し切りってすげー赤字じゃん…」という申し訳なさが拭えなかったのは正直なところでw、お料理もわたし1人のために作ってくれてるのかよ…厨房のお掃除もちゃんとしてる…1人のために…とか申し訳ない気持ちにもなりましたが、滅多にできない贅沢な経験を満喫させてもらったし最高だったので、定期的に通おうと決心しました。
本が好きな人に全力でおすすめできるホテルです。
通常、1泊5万~ぐらいのなかなかの価格帯なのですが、今びっくりするぐらい安いです。GoTo使うより安そう。
とはいえこのご時世。自分でしっかり考えて、適切なタイミングで万全な感染対策を取るのを前提としてですが、まじでおすすめなので行ってほしいです!!
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狭小邸宅もあってテンションめちゃ上がった!