作業がなかなか終わらないって?いい店がある。 「カゲ屋」という、その店の奥部屋に入ると、影が離れて実体化する。 影と協力すれば、作業効率2倍だ。 自分の隠れた本音も聞ける。 しかし気をつけろ 影が先に部屋を出ると、あなたと入れ替わり あなた自身が影になってしまうから
新緑の公園 木々のさざなみが、ブランコで遊ぶ子ども達と一緒にはしゃいでいるように聞こえる。 心地よい風が吹くなかを駆けてくる一人の男性。 「山さん! すまねー待ったかい?」 朝の陽気な日差しで温められたベンチに腰掛ける老人男性に、肩で息をしながら話しかける男性。 こっちも老人 「おっ、やっと来たね。大丈夫だよ。」 パタンと読んでいた本を閉じ、よいしょっとベンチから腰を上げる。 「変なTシャツー!!」 「えっ、わぁ…本当だ変なTシャツ」 公園で遊ぶ子ども達から指さされ言わ
【速報】Ctrl+Zを返せ協会会長 もふもふ耳毛容疑者を逮捕 アナログオンリーイベントのスタッフに暴行容疑―出路伊県警など 「またか」2分半待ったカップラーメンをすすりながら、俺はテレビから流れるいつものニュースにうんざりとしていた。ちなみにホントは3分だ。 3分待って食べてくださいとカップラーメンには書いてあるが、俺はちょっと硬めが好きだから2分半で食べる。俺なりのこだわりさ。 「Ctrl+Zで戻すことを禁ずる」最高裁にて決められた。 デジタルイラストを描く際にCtrl+
「よっ、庭がなんか綺麗なってんじゃん」 よっ、じゃない。そいつは急にやってくる。 「また、あんた勝手に来て。」 「待った?」 待ってない。決して待ってなどいない。 「あんたが来ると大変なんだから。」 そう言うとそいつは、へへへっと笑ってた。 毎年来るわけではないし、来たらきたで色々大変。でも、来ないとちょっと楽しみがなくなる。憎めないやつ。 「にしても、急だし多いよ。」 ごめんごめん、頑張ってよ だってさ。まぁ来たものはしゃーないかぁ。 そう言って外に出て、ザクッと雪を
混沌の中 君が見た世界がはじけ飛び出て行くカタストロフィーの中で ピタゴラスの隣 白衣の白さを見る つむりとあゆみ 約束との二乗した 比例定数 ミラーボールの輝き 光を拡散し 考えを凝縮して 混沌の中 君が見た世界がはじけ飛び出て行く カタストロフィーのとなり 君が見た世界は落ちて行く 空へと向かい 避けていく記憶の中 ブロックノイズを走らせ 駆け抜ける君の足音 混沌の中 君が見た世界が弾け飛び出て行く エントロピーに弾けた 君の意識が消える前に回収されゆく君の生
アキアカネ 夕日ただよい 羽照らし
むかーしむかしあるところにお爺さんとお婆さん と、田中五郎 38歳 独身がいました。 お爺さんとお婆さんが山や川に行ってる頃 田中五郎は、庭で趣味のハーブ菜園の手入れをしていました。 ある日、お婆さんが川から拾ってきた桃を割ると、そこから男の子が出てきました。お爺さんは腰を抜かしそうなほど驚きかけましたが、となりでいっしょに桃をみていた田中五郎 38歳 独身 趣味ハーブ菜園が先に驚き気絶したため、驚きそこねました。 男の子は桃太郎と名付けられ、なんか急激に育ったなと思う
チン♪ 電子レンジが鳴った ポタポタと振り落ちる雨 レンジの中には、鳥のもも肉 肉を触る ぶにょっとした感触 その下にまだ固い凍った 肉があった ポタポタと降り落ちる雨 夕暮れ時にチキンカレーが食べたくて 冷凍庫からもも肉を取り出し解凍したんだけど、私はチキンカレーの作り方を知らない 電子レンジの中には、半解凍の鳥のもも肉 ぶにょっとした感触のみを感じ チキンカレーが食べたいという欲求は霧散した 電子レンジの前で佇む私 ポタポタと振り落ちる雨 秋がもうす
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。 おじいさんは、膝を90度に曲げハーフスクワットを おばあさんは、床と平行になりプッシュアップを それぞれ30回3セット、やっていました。 もちろんチートデイとして週一回休みを入れて行っていました。 ある日のこと、川から桃が流れてきました。 ドンブラコドンブラコ その日、おじいさんはプッシュアップを おばあさんはハーフスクワットをやっていました。 それぞれメニューを変えて全身鍛えています。 偉いですね。 その間、桃は川
秋雨に ほろっと落ちる モミジかな
ほっとしたのもつかの間 あなたが乾いたため息をつくものだから 眼の前の潤った新鮮なメロンも乾物のようにカラッカラ カチャン ソーサーにコーヒーカップを置く 正確に言えば、これはコーヒーカップでは無く ブルダルーなんだけどね。 店主が骨董市で、コーヒーカップとして買ったそう ブルダルーでコーヒーを飲めば、あなたのため息なんか 道端に落ちている空き缶のプルタブのよう どうでもいいってことね 滝 滝のようにあなたの頭から滴り流れるコーヒー わたしどうでもいいことでも見過ごせな
我々は我々の 我々であり 我々は我々の 我々であれ また我々は我々の 我々であるからにして我々は我々ではあるのであれ ここに我々の 我々の 我々である我々の母星がある 我々の母星に住む 我々と我々は我々の 我々の 我々で我々の 我々が我々したために我々は我々と 我々の 我々との対立が発生したのである我々の若の我々の 我はその対立を止めるために我々の 我々を我々したわけだが我々の中の我々は我々を我々したために我々の 我々と 我々の 我々の中の我々を対立させまいとした しかし 我
フォトジェニックな流線型を描く蒼き陽だまりの丘 サイコロジー的酸味の効いた炭酸飲料を一口、ぐびっと飲み干す 道化師の踊りは、量子の間を超えて微振動しながら伝わる いないのか?居ないのか?射ないのか? あたかも直流電源を否定した、かの日のように野たれ廻る 周辺に散らばったトランジスタからエミッタのみ残し、その足を引っ張った グルジスト、アーナリヤ、フランカルテ、コルテッシス、カルノトラン 彼らの行方を阻む弾けるサイダーのような泡のマグマ ローは居ない。 苦楽をともにした、かの盟
吹き付ける風、流れる夏の匂い 海岸線沿いの通学路を歩く学生達 その中のひとり、雪代ともき は海岸を眺めながらいつものようにホケーっと歩いていた。 ドンッと背中に強い衝撃とやわらかな感触……感触は置いといて、やわらかな匂いに包まれた。 「おっはよー!ともき」 後ろからともきにおぶさるように衝突してきたのは、梨沙(りさ)先輩だった。 「り、梨沙先輩!? びっくりしたぁ~。てか重いです」 「重いとは、乙女に失礼な」 いや乙女って、というか本当に重い 「重いのは、先輩じゃなくてアン