6_片側顔面痙攣の手術_手術当日
2020年7月29日に片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)の手術をしました。その経緯を綴っています。
【今日の記事はお食事中に読むのはおすすめしません】
7月29日、手術当日。
病院は朝6時点灯。検温と血圧を測る。昨夜18時の夕飯から何も食べていない。水も飲んでいない。
今日の手術の後は数日間ICUに入る。ICUに持って行ける物リストというものがあって、シャンプーとリンス、ボディソープなど決まった数アイテムだけを小さなバスケットに入れる。
朝9時。母も来てくれた。点滴を引きずりながら一緒に手術室へ。昨日病室に来て下さったI先生の顔を見て少し安心する。氏名を言わされる。麻酔の女医さんに、頑張りましょうね、というようなことを言っていただいた気がする。正直、手術室のこのあたりのことをよく覚えていない。恐怖が強すぎて、記憶を消したのかもしれない。母にアイコンタクトしたり、頑張ってくるね!みたいなことを言った記憶もない。
手術台に乗るように言われる。「すごく緊張します。これって普通ですか」とI先生に言った覚えがある。「うん。みなさんすごく緊張するよ。大丈夫」と手を握ってもらう。鼻と口にマスクを当てて酸素を吸ったはずなのだが、この記憶がない。ただ、少しむせた覚えがある。「すぐお薬がまわりますからね」と言われる。点滴で意識をなくすための薬がまもなく身体にまわるという。そこから、記憶がない。
次に見たのはストレッチャーでICUに入っていく景色だった。母が私の名前を呼ぶ声がする。「みおちゃん、終わったのよ」と言っていたかな。I先生がそばにいらっしゃって「ここからが正念場だからね!頑張れ、頑張れ!!!」と声かけしてくださった。
下痢の時のような気持ちの悪い激しい腹痛。今すぐトイレに行きたい。「下痢が出ちゃう、トイレに行きたい」と言っても看護師さんたちは「おむつしてるから、出していいよ」と言う。そんな馬鹿な。そんなことできるわけない。「お願い、トイレに行きたい。下痢が…」と半泣きの私。
(ここの記憶、しっかりあります)
(汚い話ですみません)
母「みおちゃん、おむつしてるんだから出していいのよ」
看護師「今、薬入れましたからね、楽になりますよ」
看護師が言ったとおり、腹痛はスーッと消えていった。母がどのタイミングで帰ったのかも覚えていない。意識は朦朧としている。気づいたらしばらく寝ていたようだ。頭を全く動かせないが、右の視界の片隅にカーテンがあり、隣にもベッドがあるようだ。人がいるのかどうかはわからない。頭を動かせないので視界がすごく狭い。この部屋の全容がわからない。右隣のベッドの向こうに看護師さんたちが働くスペースがあるようで、看護師さんたちが楽しそうに談笑している(どんな会話をしているのかまではハッキリと聞こえない)。雰囲気としてはお菓子なんかを食べながらワイワイと談笑しながらパソコンに向かってゆるく仕事をしているような。そしてラジオがかかっている。私の好きなOne Directionのヒット曲が何回か流れる。「あ、またOne Directionだ」と思ったのを覚えている。ラジオのトーク内容まではハッキリとわからない。
病院の仕事って、ラジオをかけてお菓子を食べながら談笑しながら…なんだか楽しそうだな…と思った。そして正直なところ、身体のしんどさもあって、看護師たちの雑談がとてもうるさく感じられた。でもこれは今思うと、半分ぐらいは、全身麻酔の後によく起こるという、せん妄というやつだったのかもしれない。すべてが夢とうつつの境目みたいなぼんやりした感じ。ラジオの内容もハッキリとは聴こえないのだ。でも、18:00を過ぎた頃からラジオは消え、翌朝またラジオがかかっていた気がするから、気のせいではないのか…。もう確かめるすべもないのだが。
定期的に襲う、激しい吐き気。手元のブザーで看護師を呼ぶとすぐに小さな洗面器を持ってかけつけてくれる。それをひったくるようにしてオエオエ。何も食べていないから水みたいなものしか出ないが、絞り出すように、喉が切れるぐらい、顔を歪めて激しく吐き出す。嘔吐に加え、頭を動かせない、つまり身体を自由に動かせない苦しさ。身体中から脂汗が出ている。体勢を自由に動かせないので背中が痛い。私が吐き気を訴えるたびに点滴で吐き気止めを入れてもらう。しばらくは楽になるが、また津波のように襲ってくる吐き気。看護師さんが洗面器を持ってかけつけてくれて、口元に洗面器を用意してくれる。私のあまりに悲惨な吐き様に「うん…辛いね…」と看護師さんがつぶやいていた。
身体を動かせない辛さと激しい吐き気の辛さ。傷口もうずくように痛い。眠れてしまえればいいのだが、その状態で寝付けないと辛かった。目の前の壁にかかっていた時計を見ては「まだ1時間しか経っていないのか…」と思ったりした。それから、水分を摂っていないせいか、口の中がすごく気持ち悪かった。吸い飲みで口内をすすがせてもらった。
こんな感じで寝たり起きたり吐いたりで、7月29日はすぎていった。
つづく。
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