トートタロットの物語(#Ⅵ・The Lovers・恋人)
私は中央で式を司っている司祭。このカードは78枚の中で一番人物が多く描かれている。従って「人間関係」に関連がある。現在、「#Ⅲ」エンプレスと「#Ⅳ」エンペラーの王家の結婚式の最中だ。カードを縦に割ると左右に「対称」のものが描かれているだろう。「男と女」「獅子(火)と鷲(水)」「白人と黒人」「老婆と若い女」。
人間は「男と女」「好き嫌い」と2極に考えることが好きなようだ。「白と黒」は「白とピンク」よりもコントラストがハッキリして各々の特性が際立つ。だから2極で考えることは悪いことではない。違うからこそ惹かれ合うのだ。
性質の異なるものに「良い悪い」の2極を当てはめるのはどうだろうか?それなのに人間は「真逆のモノ」を組み合わせて「ペア」にしたがる傾向があるではないか。本当に不思議なものだ。
「#0」フールが言っていた通り、人間は「自分にない物」を求めるものだ。「自分に欠けているもの」を補う為に相手を求める。一人では何だか不完全な感じ、不安定な感じがする。「相手」と結婚によって「完全」「安定」するような気がするのだろう。目隠のキューピッドは異質なモノを欲する「衝動」=自分の意志ではコントロールできない力の象徴だ。キューピッドだから欲する気持ちを「愛・エロス」と呼ぶようだ。
双子座に対応しているカードだ。双子座は「風」。「風」は「Swords」、決断。つまり、この結婚は「ラブラブでずっと一緒にいたい~」という軽いものではなく、「理性的」な決断によって執り行われている。理性とは知性でもあり、知性は分析し観る力。「自分と相手は違う」こと「相手は異質な存在であること」をキチンと把握する。それを承知で「一緒にこの先やって行こうぜ!」と契約を交わす。それが「#Ⅵ」ラバーズの結婚。中央の二人は「腹を括った決断」をし、固い握手をしているのだ。
本来どの人間も「完全無欠」=「欠けているものがない」存在。そんな自分を取り戻すスタートラインが「#Ⅵ」ラバーズである。タロットの「結婚」は物理的に「相手」と一緒になることではなく、「自分の異質な面」と向き合う作業から始まる。そこを間違ってはいけない。
「好きな部分と嫌いな部分」「見てきた部分と見てこなかった部分」をまずは「認める」こと。そしてもう一度「#0」フールのように「自分は自分でいいのだ」と思えるようになること。
「結婚」は「相手」を受け入れることでもあり、その相手は自分の中にいる「受け入れがたい自分」でもある。
さあ、私がの両手で永遠に結びつくメビウスの輪を作ってやろう。おぉ、早速新しい自分がカードの下部に卵となって生まれたではないか。どんな自分が誕生するのか楽しみだ。
・・・・・
無料記事に切り替えました。
活動費などの支援としてサポートを頂けると嬉しいです。
・・・・・
【お知らせ】
カードの象徴や意味の詳細や実践を行う
5月スタートの「トート・タロット」レッスン【アテュ】
生徒さん募集中です。残席1名様です。