想い

大切な人を守る為
言いたく無いことを言いました

足りない言葉を補いたい
そんな想いを押さえて
受話器を置きました

伝えたい事を伝えたら
壊れてしまうであろう人を想い
伝えないことで苦しむかもしれない
もう1人の人を
蔑ろにしたような
そんな想いを抱きました

優先順位をつけました
大切だと思う人に
詰られるのが怖かった
これ以上壊れてゆくのを見たくなかった

今のこの国では
今のところ戦争はないけれど

戦時下の祖父達は
大切な人を守る為
したくないことをして
人を傷つけて
時には殺めて
そして生き抜いて
逝った

今の私は
その頃の祖父達と
さほど変わらないことをしたのかもしれない

守りたい人を守るべく
いくつかある本心に背き
優先順位をつけて
一つの本心を貫く

そう言い乍ら
本当に守りたいのは
自分自身
私自身だとも思うのだ

後悔はないけれど
切なさが残った
選択に悔いはないけれど
私自身に縁を連ねる
沢山の人の想いが気になった

言葉に嘘はないけれど
私の中に小さな嘘が残った

そんな
三年前の夏だった

よろしくお願いいたします。