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黄昏


戦後の食糧難を支えた農地は、継ぐ人を見失い、開墾される前の原野に帰りつつある

木々は自由に根を張り、種を芽吹かせ、今しか見えない、人々の世代など軽く飛び越えようと意気込んでいる

農薬も減ったからか、農道の横で山繭の美しい緑色が風に揺れる

誰も耕さなくなった畑
その近くまで山繭が降りてきた
昔は畑から離れた、山の上の林道でしか見られなかった気がする

山繭



あるがままに、人も山野もそれを望んで居るのか…と日暮れに心を揺らす

変わらないのは、日の出る場所と日の沈む場所
山肌を駆け登り、滑り降りる霧と夕景の美しさ

山の神様、水の神様、御天道様
沢山の神様と共にあり、幼子は育まれて居た
大人になって田畑の継ぎ手になれば、
神々はそっとその恵みを与えてくれる

人々が護り手、継ぎ手にならずば、土地は山の神々に継承される

神々はどちらであっても喜び、哀しむ
そして在るべき姿に導く

そして私は
かつてこの地の神々の恵みを受けて居たことを
この身が尽きるまで忘れずに居りましょう

静かな日暮れにしみじみと
そんな事を感じて居た




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mion
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