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o0areyoume0o
人の手
上司の声掛けで、温熱治療を受けてみた。
なんと、施術する方が毎月職場に来てくれるのだ。
(せじゅつ、ってうまく言えない)
上司の伝手で、多人数だからか、格安で。
今日は娘の送迎も無く、チャンスだった。
場所は、更衣室!
鍵は掛かるけれど、職場の一角でパンツ一丁になるのは、なかなかに勇気がいる。
ええい。
施術する方は、準備をしながら、
ブラジャーも取ってくださいね、と。
えーい。
ガウン代わりの浴衣を羽織る。
仕事中の人達の声が間近に聞こえる中、横たわった。
私はいわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる職業で、
御多分に洩れず、あちこち小さな故障を抱えている。
全身を温めてから、
痛みがあるところ、
持病の目眩にアプローチする為に、耳の周りや頭まで、
隈なく施術を受けた。
温めるって、心地が良いなあ。
生薬の香りも、気持ち良いなあ。
みてくださる方は少し年配の女性。
さっぱりしているけれど丁寧な言葉遣い。
“あら、豊かなお髪”
最近は髪の薄い方が多いんですよ、と。
おぐし、という言葉が好ましい。
がっしり頼もしい手。
目を閉じて、ああずっとこうしていたいなあ、と思った。
いつも渦巻いている雑念がないのも、良い。
はい、終わりましたよ。
その声で、目を開ける。
次の職員を呼びに行かなくては。
お礼を言い、狭い更衣室を後にした。
来月も、お願いしよう。
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