
仲間はずれと、優しい手
娘の所属するクラブチーム
中学生中心だが、小学生も数人だけ在籍。
先日、数日間の合宿試合があった。
娘は幼馴染のチームメイト達とは離れて過ごした。
昔から、幼馴染の女子三人で、くっついたり離れたり。
親は皆、静観しているが
私は心がざわつく時もある。
娘には彼女達とは別の、仲良しの姉妹もいるが、
姉妹はこの日参加しておらず、
娘だけぽつんとしているのが見えた。
幼馴染女子1は、
明るいオーラを放つカラッとした子。
一方で、時に陰険。
何気ない意地悪さを嗅ぎ取るのは
私の被害者意識が強いせいか。
被害者意識に呑まれたくはない。
仲間はずれに気づいたのは私だけではないらしい。
小女軍団、またやってるね
あ、もう中女だったね
たえちゃん大丈夫かな?
そっとそんな声がかかる。
試合の合間
外食しようと、私と歩いていた娘を
後輩を連れた女子1が呼び止めた。
同じ店に向かうようだ。
たえこー、◯◯ラーメン行くの?
そうなんだあ、えー、、、どうする?
女子2と目を見交わす。
感じわる、たえこ行こっか
年甲斐もなく気短な私は、
つい気持ちが口から出て、
さっさと店に向かった。
皆で一緒に行かない?と私が言えば良かったのかな。
それは過保護かも。
女子同士が話をするまで、
一拍、待てば良かったのかも、なあ。
後から来た親達と合流したが
女子達の嫌なムードは長々と続いた。
娘は、小学生時代に半泣きで私に訴えた。
二年生か三年生の頃で、
私の友人が娘にアドバイスをくれた。
相手にしないこと。
意地悪して来る子は、何か嫌なことあったのかもね。
ハッピーな子は意地悪して来ないから。
だけど、たえこも、やったらダメさ。
ある日
そういうの大嫌い!!
仲間はずれとか、嫌だからやめよう
娘は思い切って女子1に言った。
きょうだいに揉まれていない一人っ子は
正攻法だった。
相手はキョトンとしていた。
娘を含めて、この人達は、
誰かを仲間はずれにしてぬくぬくしていても、すぐに立場が逆転する。
小学生時代、
女子1も仲間に入れず、ママに悔しさをぶつけていたこともあった。
年齢が上がり、
クラブで要求される技術が増え、
仲間はずれやらマウンティングなど、
そんなことをする暇はなくなったと思っていたけど
まだ、そんなことはあるようで。
女子達、いつ卒業するかなあ
観戦席に向かいながら私はこぼした。
母仲間の一人は、
女子のいざこざはずっと続くわ〜、
卒業はしないよ、と予告した。
私は観戦と、時折親の作業をしながら思った。
ある意味、試合とは別の娘の戦いだ。
いや、私の戦いになっているのか?
だいぶ前の正攻法はよく頑張った。
今試合は、スルーしかないかな。
母ちゃん、知らん顔しているけど
実は暑苦しく応援してる。
その子達はあなたを強くする為の壁だよ、
背筋は伸ばせ、
がんばれ。
一試合終えた娘は、
男子達のゲームの画面を覗いたり
お喋りをしたり
ふざける男子達を見て笑っている。
よしよし。
完成した動画を見せて貰うと、
ウォームアップ中に
娘が小学生女子の頭をそっと撫でている場面があった。
女子軍団にくっついていた子。
しょんぼりしたり、
無理に強がったりするだけじゃなく
娘はこんな柔らかい気持ちもあらわせるのだと思った。
昨日は、女子2から娘にLINEがあった。
私のスマホなので私も見られる。
たえこ、明日一緒に練習しよー!
他の子は入れないでおこうね!
娘は
いいよー!、
“YES”とスタンプを返信、
呑気に鼻歌を歌っている。
YESって、
性懲りも無く、あなたも加担するのかい!
今日はまた、近所のリンちゃんと朝練をした。
フォームが崩れやすい娘に、
リンちゃん父子が
文字通り手取り足取り技術を教えてくれる。
違うチームのお家なのに、だ。
ここん家来るの大好き、娘は言う。
そう、大事にして貰えるのは、嬉しいことだよね。
そんな関係を作れる人になって欲しい。
暖かな気持ちで生きて行って欲しい。
一つ年上のリンちゃんは、
もうー、わかったの?
娘の頬を、手袋の両手で挟んで撫でた。
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