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背徳の夜鳴きそば
少し先に、娘の遠征がある。
真冬の長距離移動は、なかなかに緊張する。
それより、自宅を離れられるかな。
父には、母の介助のポイントを確実に押さえて貰わなくては。
優しさはわかるのだが、
今のままではまた転んで骨折しかねない、
腕や手首も痛めそうな、自己流介助。
“そうじゃない!、危ない!!”
日々大声を出してしまう。
もう少し優しく伝えたら、覚えてくれるかな。
来週から訪問リハも始まる。
とにかく、母の歩行が安定していたら、行こう。
秘湯と言われる旅館に泊まったことがある。
ただ息を呑む稜線の、麓にある宿。
露天風呂に出るまでの通路の木の香り、
山の緑で染まりそうな露天風呂、
和洋折衷の山荘のような部屋から見た満月も、
その時の気持ちも、覚えている。
ダイソンの扇風機を消すと、
一晩中渓流の音だけがしていた。
遠征先は、その隣町。
またあの場所に行きたい。
静けさに浸りたい。
…とは言え、
試合会場には、夏でも車で1時間はかかる山中。
近くはない。
周りに聞くと、皆、試合時間に合わせて
街中のビジネスホテルにするらしい。
私も、予約を街中のホテルに切り替えた。
レビューで人気があるところを探す。
朝ご飯のいくら丼に、わーっとときめく。
残念ながら最近はいくらの量は減っているみたいだけど、
温泉もあって、
湯上がりに棒アイス、
朝風呂ならヤクルトみたいな飲み物、
夜中には夜鳴きそばの提供もあるのだそう。
近くの名物の焼き鳥屋も、行きたいな。
夜中にあれこれ食べるなんて、楽しいな。
朝風呂だってやっていて、
家事も、しなくていい。
ポチ。
あと、高速のサービスエリアで、
美味しいというシュークリームも食べたいな。
時間があるかしら。
私と同じく、食いしん坊の娘にはお楽しみにして、
泊まる場所も寄り道プランやらもまだ黙っておく。
ビジネスホテルには少し悲しい思い出がある。
今回も、趣のある宿ではないし、
自然の中でもない、
部屋も随分狭いけれど、
(しかも間違えてダブルを予約、ツインに交換依頼中。は予約満杯。)
家で日々鬱憤を抱えてくすぶっている私は
遠くに行く、それだけで嬉しい!
娘との小旅行に、胸が弾む。
その日まで、諸々励みましょ。
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