見出し画像

行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

本を読むことが好きだ。小2の時は特に伝記を読み漁っていた。未だにそれぞれの偉人の話をぼんやりと思い出せるくらい何度も読んでいた。
読書が好きな子といえば物静かな子をイメージしがちだが、わたしは大人しいとは言い難い子だった。休み時間は友人と校庭を駆け回り、下校する前に学校図書館で本を大量に借りて家でのんびり読むような小学生だった。今でも図書館や本屋さん、古本屋さんに向かっている時やいる時は心がうきうきする。

わたしは小説家よりもタイトルやあらすじをみて本を選ぶことの方が多い。表紙に惹かれることもある。作家買いはしないタイプだ。それなのに気がついたら住野よるさんと伊坂幸太郎さんの本で溢れている。たぶん好きなんだろう。好きなジャンルは和風ファンタジー、推理小説。小説だけでなく実用書も専門書も読む。
好きな本、おすすめの本は『フーガはユーガ』『アヒルと鴨のコインロッカー』『また、同じ夢を見ていた』『君の膵臓をたべたい』『RDG〜レッドデータガール〜 』『アリス殺し』『暗黒女子』『銀河鉄道の夜』『翻訳できない世界のことば』『羊と鋼の森』
そしていちばん長い付き合いの『星の王子さま』  どれも捻りがなくって名作ばかりの本たちだけどわたしは好きだ。
こう並べてみると読む本が偏っている気がする。色んな人のおすすめの本を読んでみたい。

タイトルは『方丈記』の冒頭。口語訳は「川を流れる水は絶えることはなく、それでいて同じ水ではない。」  一般的には仏教的無常観があらわれているとされている文だ。 だけどわたしは既に読んだことのある本をまた読む瞬間にこの文が頭に浮かぶ。本は読む時に自身が置かれている状況によって心に残る部分が変わることがよくある。これは本の魅力のひとつだと思っている。『星の王子さま』を通してわたしはそれを身を持って知れた。初めて読んだ時は小4の時。当時のわたしは、恥ずかしながら話の内容を全然理解出来なかったが「大切なものは目には見えない」という言葉がすっと心に入ったのは覚えている。
次に読んだ時は中2の時。わたしの思い出したくもない暗黒期。当時精神的に追い込まれていたわたしは突然『星の王子さま』をまた読みたくなりすぐに本棚に手を伸ばした。見方が変わった。小4の頃は全然ぴんと来なかった文章が刺さった。大袈裟なことをいえば本に救われた。「大切なものは目には見えない」という文は小4の時と変わらず、いや少し形を変えてわたしの心を動かした。 
『星の王子さま』は節目節目に必ず読んでいる大切な本だ。いつ読んでも好きな所。新しく発見した心を打つ所。以前と異なった解釈が生まれた所。読む度に何らかの発見がある。

わたしは本を読み返す時、それは同じようにみえるが全く同じではないのだと無意識のうちに感じていたのかもしれない。鴨長明が世の中の人々とその暮らしの中に川の流れを感じたように、わたしも本にそれを感じていたのかもしれない。

本は万華鏡のようでもあるとふと思う。中に入っているもの自体に変化はない。だけどみせてくれるものは毎回変わっているし、同じようにみられる確率は限りなく0に近い。色々な表情をみせてくれる。そんな万華鏡に似ている気がする。
沢山読み返してまた違う模様をみつけたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?