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8月9日におひさまが落ちてきてからのこと。
母の父、私のおじいちゃんには、私は会ったことはありません。おじいちゃんは母がまだ子どもの時に死んでしまったからです。
おじいちゃんは、ある朝起きてこなくて、おかしいなと思ったら、お布団の中で死んでたんだそうです。焼き場で焼いた後の骨がすかすかの紙みたいで、こんな骨は見たことがない、って焼き場の人が言ったらしいです。
おじいちゃんは、原子爆弾が落ちた直後の長崎へ、何かの調査か後片付けかで行ったらしいのです。帰ってきた時には米軍からもらったみたいな缶詰をお土産にいくつかくれたけれど、長崎のことはひとことも話さなかったと。
自分の親のそのまた親の、親の親の親の親のそのまた親の、ずっと先にいる誰かに、なんて言えばいいの。
人が人にできることの究極の方法のことを。
こんなことを思いつくんだよ、すごいでしょうって。人間てほんとうにすごいのよ。
思いついたら、ちゃんとそれを形にしちゃうしね。設計図をつくる人がいて、材料をそろえて発注する電話をかけた人と受ける人。
それを工場にはこんで、組み立てて、実験してから、飛行機に乗せたら、東の国まで飛んでいって、あとは空から落としたの。
たくさんの人が、がんばって、それをしたの。すごいね、すごいね。
人間って、一人じゃなにもできないって、ほんとうだよね。すごいよ、ほんとに。
みんなで、がんばって、力をあわせて、やりとげた。
それから長い時間がたったけど、やっぱり人間はみんなで力をあわせて、いくつものお日さまを作ったし、いくつお日さまを持ってるかで相手に言いたいことも言わせなかったり、いやがることを無理やりおしつけたりしています。
そんなことをしながら、「自分がいちばんえらいんだごっこ」をずっと、しているみたい。
知らんけど。わたし、興味ないから。
自分がいちばんえらくないと、心がつらくなる人がたくさんいるから、しかたないの。
みんな自分が生きるためにしているだけのことなの。それをしたところで、不安はなくならないのに気がついてても、やめられないなんて、かわいそうだね。
だけど、誰も救えないもの、そのひとのこと。
そのひとがつくっているのは、やがて自分自身を焼きつくして、あとかたも残らないほどにしてくれるお日さま。そう、自分をこの世界から永遠に失くすために、ずっと、ずっと、がんばって作りつづけているよ。泣きながらね。
にんげんって、自分をいじめるのが好きなのね。いやだいやだと言いながら、絶対にそれを手放さないよ。苦しいと言いながら、執着してしまう。
自分にやさしくすることができないのは、やさしくされたことがないからじゃなくて、自分にやさしさを許してないからなのに。
拒絶しながら求めるなんて、ずいぶん倒錯してるけど、案外気がつかないものなのね。
素直じゃないともいえるけど、待っていても、相手にばかり要求しても、絶対に手に入らないから寂しいんだ。
すきなものはなんですか?
あまいものはすきですか?
あのかどをまがったところに
はえている木には
秋になると真っ赤な実が
たわわになって、
誰でも食べることができます。
そう、手をのばせばいいだけです。
こんどいっしょにいきましょう。
あのこも誘っていきましょう。
きっと、みんなで笑えるはずです。
たったそれだけでいいんです。