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望月シネマ三番館にて

世界を正しく 認識している人 など
誰も いない
皆 好き勝手に
好きな歌を歌い
好きな夢を見ている
それがこの 回り舞台の上で
上映中の movie なのです

そうです フィルムはすでにセットされ
埃の舞う光の帯 を引いて
スクリーンに 投影 されています
それは お月様の光を受けて
回り続ける movie ですね

映画は 完成してから見るものです
見るものは すでに
完結している世界です

長い もしくは 短い
あっという間の 映画を見終わって
席を立つ あなたの席に また
別の誰か が座り 
別の映画 がはじまる

ここはリザーブされていない
総入れ替え制の劇場です

好きな方は 何度も通い
順を追って 何度でもちがう 
movieを見ますが
リバイバルはありません

お隣のどなたかが 泣いています
後ろの誰かは 笑っています
あなたには まったく面白くないのにも
かかわらず

そんなmovieを
ともかくも 最後までは見届けました
クライマックスは 爆発したみたいな
光のハレーションと
終わりかけの線香花火 みたいな
どこかショボいラストでした

ハズレだな
と思いましたが なら どんなのが
アタリなのか と考えると
意外と思いつかなかったので
これはこれで よかったような
気がしてきました

映画館の椅子は固かったので
肩も凝ったし 足もだるくなりました
とりあえず
じっとしていることからは 解放されたので

どこかでひと風呂浴びるか
一服するか 一杯やるか
ひと眠りする場所を さがそうか
ともかくも
しばらくは 気ままに できるはず
次の movie が はじまるまでは

(ヘッダー画像は今夜の満月ではなく
           九月の十五夜です)





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