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[納涼mio怪談] 第一夜🌙妖怪かつをぶし削り🐾
(約800文字)
夜中に目が覚めて手洗いに行こうとしたぼくは長い廊下を歩いていた。
古い家屋なので庭に面した廊下が長く続きその端に手洗いがある。
ふいに、シャッ、シャッ、と何かを削る音がした。月明かりに照らされた庭を見るとそこでは、ほっかむりをしたネコがかつをぶしを削っていた。
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ネコが気づいた。ぼくの目とネコの目が合った。
「み~た~ニャ~👀」
次の瞬間、ネコが素早くとびかかってきて、ぼくは後ろからはがいじめにされてしまった。
「うごくニャ」
「うごくと死ぬニャ」
脅されたが、なんだか全然緊張感がない。
台所に行けと指示が下る。
ネコと二人羽織をしたまま、台所へ向かう。
そこで、お釜の残りごはんとネコが削ったかつをぶしで、ねこまんまを作らされた。
「あ、醤油は控えめで」
「塩分は腎臓によくないから」
背中にはりついたままネコは注文をつける。
出来上がったねこまんまを食卓のテーブルに置くと、ネコはうまそうに食べはじめた。
食後にペロペロと顔を洗い、満足したネコは、ぼくに肉球パンチをお見舞いしてから、こう言った。
「じゃ、そーゆーことで」
気がつくと、ぼくは庭でかつをぶしを握りしめていた。目の前にかつをぶし削り器がある。
ためしに、二~三度削ってみる。
シャッ、シャッ。
「あ、これ、なんか楽しいかも🎵」
ぼくは夢中になって、かつをぶしを削り続けた。
ふと視線を感じ、顔を上げると、廊下からこちらを見ている父親と目が合った。
「み~た~ニャ~🐾」
ぼくは父親に飛びかかろうとしたが、柔道の師範代である父には敵わず、一本取られてしまった。
お陰でぼくは妖怪かつをぶし削りにはならずに済んだ。
父は何も言わず、ただ、かつをぶしと削り器を台所に置いて毎朝自分で削っては、朝食にねこまんまを作って食べるようになった。
(おしまい)
どこが怪談やねん😆
明日も、お楽しみに~💫
午後8時にお待ちしていますニャ😺