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pajamas_de_alive
キラキラとふわふわ
身を隠し、冬眠するためによさげな木のうろを見つけたら、キラキラとふわふわを用意して、宿替えの準備をする。
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キラキラは、うろの中から外の太陽に当てて光るのを見て楽しむため。
ふわふわは、うろの中でくるまって眠るのと、さわって心を落ち着かせるため。
キラキラとふわふわがあれば、冬籠りが安心して迎えられる。何より大切なもの。
あとは、お水は用意しておきたい。食べ物はいらない。眠ったあとで、食べ物がたくさんあるところの夢を見ればいいのだから。
ただし、人間にはみつからないように用心しなければならない。夢の中でも、人間にみつかったら大変だ。見当違いのことばかり繰り返している人間なんぞとは関わらないのがいちばんだ。話が通じるような輩ではない。
先日も気の毒な熊が、冬眠中の夢の中で食べ物がたくさんある場所に迷い込み、たらふく食べたあとで人間どもに捕まってしまった。
ただ、夢の中の出来事なので、熊自体はそこで夢から覚めて、また洞穴で眠り続けている。
捕らえて始末したのは人間側が見た夢である。時間はパラレルに流れ続けている。
木のうろにもぐりこんで、ふわふわにくるまって、時折キラキラを陽にあてて楽しむ。
雪が降り始めた。しんしんと冷え込んでくる。うろの入り口を木の皮でふさいで、枯れ葉を敷き詰めた穴ぐらに身を潜めて、春が来るまで眠ろう。
見る夢は、いい夢ばかりじゃないだろうけれど、時々はキラキラを陽にあて、ふわふわにくるまってやりすごそう。
眠ってしまえば時間は消える。次に目覚めれば、そこはもう別の世界なのだから。
ぐっばい えぶりたいむ うぃんたー
ぐっもーにん すぷりんぐ ふらわあ
はろう はろう
はれろ はれろ
ねむれば はれる
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