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嫉妬のトリセツ
嫉妬という感情のメカニズム
嫉妬とは、自分が大切にしているものや価値観が脅かされると感じたときに生じる感情。
脳の中では扁桃体(感情の処理を司る部分)を刺激されて危機感や不安、怒りなどの反応を引き起こしています。
特に、「他者と自分を比較する」という心理が嫉妬を助長しやすくて、人間関係や社会的評価、自己価値に対する不安が強くなると嫉妬を感じやすくなります。
嫉妬の感情は二つの側面が
1. 自分に欠けている部分を認識し、成長や努力につながるきっかけとなる。
2. 相手や状況に執着し、自分や他者を傷つけてしまう。
恋愛における嫉妬は特に2の状態に陥りやすくて、愛する人との関係が愛の繋がりではなく執着になってしまいがち。
恋愛のシーンで嫉妬は炙り出されやすい
恋愛の場面では、相手への期待や愛情、そして「自分は愛されているのか?」という根本的な不安が露わになりやすいですよね。
その理由は、恋愛が人間関係の中でも非常に親密で自分の存在価値を感じやすく、知らず知らずのうちにその関係に依存しやすいからなのではと思っています。
嫉妬が引き起こされる場面はだいたいこんな感じかな
パートナーが異性と交流しているのを目にしたとき:独占欲や不安感が刺激される。
相手が自分より他のことに興味を示しているとき:自己価値が揺らぐ感覚。
自分と相手の愛情表現のギャップを感じたとき:期待が裏切られたように感じる。
「自分が愛されている」という安心感が脅かされる瞬間、その感情を相手に向けるのではなく自分に問いかけて、「自分がどんな愛情を求めているのか」「何に不安を感じているのか」を感じ取ってみてはどうでしょう。
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人の心を自分が所有することはできない
わたしが大切にしているのは「彼の感情は彼のもの」(便宜上わたし目線で彼と書きますが男女関わらずパートナーを指します)だから、わたしが操作することは不可能という前提です。
わたしは神様でもなんでもないので彼の心を管理することなどできないし、行動を制限する権利などないのです。
(神様はそんな事したいなんて思った事ないと思うけどね笑)
自分の存在価値は自分の中にだけあるということを忘れず
今この瞬間互いに何を感じているか、それ以上の事実も真実も存在しない。
そして恋愛のカタチ中に自分の存在価値を委ねない事こそ信頼関係を築けるのでは…と感じています。
インナーチャイルドと恋愛
人は親子関係の中で得られなかったものを恋愛に求めがちなので、自分が得たい感覚・感情はなになのかを知ることが、インナーチャイルドの癒しにつながる一歩にもなります。
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わたしの場合は、幼い頃の両親の離婚の場面での体験が恋愛に影響しているので、自分にとってどんな関係が望ましいのかをいまでも日々観察しています。
わたしはポリアモリーだと思う…という事を公表しているので、その中での嫉妬の感情についてよく質問されます。
もちろん嫉妬の感情はあります。
瞬間胸が締め付けられて苦しくて身体が熱くなって、なにも考えられなくて、自分がどこにいるのかわからなくなる…
いったん嫉妬の感情があることを認め
苦しさを感じきる
そこから心がこの場所に戻ってきたときに、「自分はなにを求めている?」と、自分に問いかけます。
「彼の心はわたしが操作できない」
「わたしの存在価値は彼の感情に委ねるものではない」
という前提のもと、
「彼が幸せであることも大切にしたい」
「いまこの瞬間、互いに愛と敬意を感じられているのか」
そして
「この想いは愛なのかエゴなのか」
自分の中にある「恋人とは(夫婦とは)こうあるべき」という思い込みで愛という名のエゴを押し付けていないかを俯瞰的に観察します。
人生は「いまこの瞬間」の積み重ね、
一緒に過ごしていない時間に互いがどんなふうに過ごしていようとも、今ここで心からの愛と敬意があることは事実で真実、それ以外のなにも存在しない。
そんなふうに、身体が感じ取る非言語情報を信頼する。
嫉妬の感情と向き合うことで得られる自己成長
嫉妬の感情は辛いものですがそれを無視せず丁寧に向き合うことで、以下のような成長の機会が得られるかもしれません。
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1. 自己価値の再確認
嫉妬の根底は自己価値の揺らぎ。
そもそもパートナーとの関係の中に「自分は愛される価値がある」と思えていないまま相手に自分の価値を委ねている状態。嫉妬が生じたときこそ、自分の良い部分を自分が認めることが大切です。
2. 自分の幸せの基準を見直す
嫉妬の感情を冷静に振りかえると相手に対して抱いている期待や不満が浮き彫りになります。
それを一方的にぶつけるのではなく、自分は相手に何を求めているのか…それは社会一般の「パートナーとはこうあるべき」とか、他人と比較して「こういうことをしてくれるのが愛情表現」という思い込みを相手に期待して「裏切られた」と感じていませんか?
そこを自分に問いかけてみると、「自分の幸せの基準」が他者との比較や周りからの評価になっていないかを見直すきっかけになります。
ここについてはまた詳しく深掘りしますね
3. 過去のトラウマに気づく
嫉妬が激しくなる背景には幼少期の親子関係や過去の恋愛経験が影響している場合があります。
例えば、過去に裏切られた経験や愛されないと感じた記憶が嫉妬の感情を助長させてしまうのです。
今どんな体感があるのかということから過去の体験を見つけ出し癒す方法もあります。
嫉妬はネガティブな感情と思われがちですが、その裏には「自分の価値を確かめたい」「もっと幸せになりたい」という願望が隠れています。
この感情を押し殺すのではなく、「自分は何を恐れているのか」「どうすれば安心できるのか」を探ることで自分自身を深く理解し自分を愛せるようになる気付きにつながります。
嫉妬に向き合うことは恋愛だけでなく人生全般での自己成長につながる貴重なプロセス、辛い感情も自分の心を見つめる一歩と捉えて自分に問いかけ続けてみましょう。