ポーランド妖図鑑 ズモラ Zmora
さて、Zmoraという妖とは一体何なのか、とWielka Księga Demonom Polskich(ポーランド妖大辞典)などで調べてみました。
★Zmoraの定義
①女の妖、夜行性、寝ている人を窒息させる
と、確実に人とは異なる「妖」のカテゴリーに入れられている場合と
②半妖怪、生存中(もしくは既に死んでいる人)の魂
と、ちょっぴり人間寄りのカテゴリーに入れられている場合があります。
ただ、どちらのケースでもこのZmoraは人間の女の姿を取っています。
★Zmoraの語源
zmarły(死んだ)、 morzyć(ひもじくさせる)からきているそうです。
★Zmoraの見た目
背が高い女、不自然に長い脚、透けたような体で骨までうっすら見える、異様に顔が青白いというのが共通した見た目で、ある地域では眉毛がないのがZmoraの印ともいわれています。
いや、眉をいじりすぎて眉毛がない人、個人的に沢山知っているんですけどね、、、。魔女の印じゃないけど、眉毛がないのがZmoraの印なんていわれたら、『えぇっ!』となる人が結構な数でいそうだわ。
★Zmoraの特徴
夜寝ている人を、窒息させる。狙いを定めた家に入り込み、寝ている人間の胸の上に座り込み、骨ばった膝で胸を押し付け血を頭に上らせる。そして、出てくる鼻血を心ゆくまで舐めとる。時には首筋やこめかみに傷をつけて血を流させ、それを舐めることもあるが他の吸血系妖(一番有名どころは吸血鬼)の犠牲者とは異なり、死ぬことはないし、襲われても同様の妖にはならないそうです。
被害は(血を取られたせいで)力が抜けるぐらいだけど、時間の経過とともに元に戻るのが特徴。ごくたまに、お腹を空かせすぎたZmoraが血を吸い過ぎて人が死んでしまうことがあるそうですが、これは例外中の例外だとか。
Zmoraに襲われている人間は、寝ながら叫び、大量の汗をかくそうです。そして、目を覚ますとZmoraは逃げるといわれています。
現在の状況判断では、夢でうなされている人ですね。確かに、今でもそういう人は起こしますねぇ。
寝ながら鼻血なんかを出していたら、もう間違いなく起こしますね。これを放っておいたら、それは人としてどうかと思う、、、。
★Zmoraへの対処法
① カササギなどの猛禽類をドアに打ち付けておく。
② Zmoraに襲われていると思われる人のそばで、第3者が右手に瓶を持ち、左手で苦しんでいる人の頭からつま先までの目に見えない「気」を瓶に詰め込みコルクをしめ、水のあるところに投げ捨てる。その瓶からはしばらくの間、赤子の鳴き声のようなものが聞こえてくるが無視する。
1番の対処法は、きっと馬小屋でしょうね。さすがに住居のドアにカササギの死骸がぶら下がっていたら、嫌すぎるでしょう。いや、でも日本も節分にイワシの頭を玄関先に飾るぐらいだから、ありでしょうか。
このZmoraの定義の最後に、「懺悔の念で死んだ人間の魂」というのがあります。どうみてもこの定義が、キリスト教会が後からねじりこみました感が凄いのですが、私の感覚では民間信仰では「妖」もしくは「半妖」のほうが優勢のようです。