女の計画、悪魔の不覚 ~ポーランド口承文学~
この話は1967年、Józefówkaという現在ポーランド領で採収されたものです。東に車で40分ぐらい走らせるとそこはウクライナという場所です。
タイトルは、原文を直訳するとちょっと違うのですが、韻を踏みつつ内容とそう違わないようにしてみました。
それでは はじまり はじまり~
悪魔が二人の人間を、喧嘩させようとしたんだがな、全くうまくいかないのさ。ある時、悪魔は肩に紐靴(革製のショートブーツ)をひっかけ、女の処に出かけたんだ。
「あの二人にいざこざ起こさせることができたら、このブーツやるよ」
女は言ったのさ。
「ああ、いいよ。その話乗った」
女はその二人が住む家に出かけて行ったんだ。
「お宅の旦那、貴方にほれこんでるねぇ。でもさ、もっと貴方に惚れされるには、旦那の一本の髭と一本の髪の毛を切り取ってポケットにでも入れて持ち歩くことだね。そしたら、他の女なんかに見向きもしないだろうよ」
話を聞いた嫁さんの方は、明日の夜、旦那が寝たところで髭を剃刀で切り落とそうと準備を始めた。そうすれば、もっとかわいがってもらえるだろうと思ったんだな。
一方、女はその旦那の方にも話しかけたんだ。
「あんたさぁ、奥さんのこと好きだよねぇ。けどさぁ、奥さん、あんたが寝たら、剃刀で寝首をかくつもりだよ。まぁ、気を付けるんだね」
そりゃ、もう旦那は気をつけたさ。そして床についたんだ。そしたら、嫁さんが剃刀をもって近づいてくるじゃないか。嫁さんは髭が欲しかっただけなんだがね、旦那はそんなことは知ったこっちゃない。
ただただ裏切られた気分だったのさ。
床から飛び起きると、嫁さんを殴り始め喧嘩が始まったのさ。そして2人で殴り合いだよ。
悪魔は女が怖くなったのさ。
「この靴やるからさっさとどっかに行ってくれ。俺は奴らの揉め事見たくて7年間つけまわしてたっていうのに。お前、俺より相当性悪だよ!」
そう言って、紐靴を女にくれてやったんだと。
おしまい
そういえば、最近雑誌で、
「女が仕返しを計画するときは、ドアの向こうで必ず悪魔がメモってる」(スーパー訳:悪魔もドン引きの女の仕返し方法とその種類)
とかでていたかな。
そして、そんな小話には大抵の女性は鼻の先で笑い「ま、そりゃそうよね」と。
え?私の反応?当然、鼻の先で笑いましたよwww