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ポーランド口承文学 ~悪魔よりひどい嫁~

 この話は1972年にGiełczew gm. Wysokie(ポーランド東部)で採集された話です。調べてみると、今現在は人口1100人の村ですね。

 それでは はじまり はじまり~



 ある男に嫁さんがいたんだがな、それがまた不平不満ばかり言う女で、もう我慢できねかったんだよ。とにかく、男に対して文句ばかり垂れ流す女だったんだ。この嫁さんと1年、いや2年かね、一緒にいたらしいが、もうたえられねぇって。

 「この嫁、どっかにやってしまわねぇと」

 近くに森があったのさ。男は嫁さんを縄で縛りあげて、吊るそうと森に連れて行ったんだよ。その時、大きな巣穴みたいなものを見つけたのさ。

 「この穴に放り込めばいいさな。1週間後に様子を見にくりゃぁいいだろう。そしたら、生きてるか、死んだかわかるだろうしな」

 そして嫁さんをその穴に落とし込んだのさ。

 一週間すると男はやってきた。そして嫁さんを落とし込んだ穴に、太くて、長い縄を落としてみたんだ。この縄をつかむか、それとも、もう、つかめねぇか、ってな。


 男は何かひっかかりを感じた。
 だから、縄を引っ張り上げたのさ。
 そして、引っ張り上げたのは、なんとまぁ、角のある悪魔だったんだよ。

 
 悪魔は言ったのさ。

 「おい人間、できるなら俺を引っ張り上げてくれってんだ。ちきしょう、あの女が来て1週間。もう我慢ならねぇ」

 それを聞くと、男は引っ張り上げていた縄を手放したのさ。

 「悪魔が我慢ならねぇなら、俺には到底むりだね」


 そして嫁さんときっぱりと縁を切ったのさ。


おしまい


 ええと、この夫婦関係、現在の価値観で言いますとかなり問題があるといいますか、犯罪に近いというか、、、いや立派な犯罪ですよね?!

 ポーランド(や、ロシア、東欧一帯)はアネクドートと呼ばれる滑稽な小話が多いのですが、その中でも悪魔に勝る奥さんの話や姑の話はてんこ盛り状態でしたね。何が凄いって、姑の小話はこれでもか、ってなぐらいにレパートリーがあります。
 いつか自分が姑になったときに、言われないように気をつけよッと・・・。

 

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