確かなこと
わたしがお姉ちゃんになるまでの準備を、前回少しだけお話しましたが、今日はついにその特別な日を迎えるおはなしです。
当時わたしは3歳。
あまり鮮明には覚えていないのですが、大人になる今の今までに、たくさん聞いてきた話をもとに、記憶をたどります。
妹が生まれる日は決まっていたため、その日が近づくにつれて、遠足よりもサンタさんに会える日よりも、うきうきわくわく、心おどる毎日でした。
お父さん、両家のおじいちゃん、おばあちゃん。家族みんなで待つその時間は、きっとわたしにとってものすごく長い時間だったでしょう…
ようやくお姉ちゃんになったことを、わたしは看護師さんと家族とのやりとりから知ります。
そして、そこから、会いたくて会いたくてたまらなかった妹と、またしても会えない時間が続いてしまうのです。
それから約1年、妹は病院の中で時間を過ごしました。もちろんお母さんも。わたしは保育園と家で。
妹は1歳になる少し前に、始めて我が家に帰ってきました。そうして、次に病院に戻る前に、静かに目を閉じて、もう一度その瞳を見せてくれることはありませんでした。
ちいちゃんはお星さまになったよ。
その言葉の意味が分からなかったわたしは、溢れ出る涙が流れるままにたくさん泣きました。
悲しいこと、もう二度もどらないという寂しいことが起きたということを、ぎゅーーーっと小さくなってつぶれてしまいそうな胸の痛みが教えてくれました。
でも、たったひとつ、確かなこと。
その日から、わたしはお姉ちゃんになったのです。
なんとなく、はんぶんこしたくなったり、
ビーズのブレスレットはふたつ作ったし、
今日あったことを報告する相手にも、妹が加わりました。
その日からずっと、わたしはお姉ちゃんです。
ちいちゃんが、はじめて、わたしをお姉ちゃんにしてくれた妹です。
今日もわたしは、4人きょうだいの、1番上のお姉ちゃんです。
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