Aller Anfang ist schwer.
タイトルに引いたのは、「何事も初めはむずかしい」というドイツ語の諺である。詳しくは忘れたが、確かアリストテレスも同じようなことを言っていたような気がする。何が言いたいかと言うと、記念すべき記事第1号に何を書けばいいかわからんということだ。
ぼくはこのテの媒体を使うのは初めてだ。Twitterはやるけれども、HPやブログを作ったことはないし、掲示板に書き込んだこともない。つまるところ、インターネット上で自己表現するという事に長じていない。リアルでもそうかもしれないが。それというのは、べつに表現したいことなんか何もなかったからだ。
それでいながら、ぼくは文章であれ音楽であれ絵であれ何ごとかを産み出せる人間に対し尊敬の念とコンプレックスを抱いていた。そういう人間こそが賞賛に値する「何者か」であり、何かを産み出そうという原動力がない自分は「何者でもない」ようにぼくには思えた。
それゆえ、ぼくにとってnoteをやるということ、あるいはネット上で何かを発信するという行為は、何者かであろうとする人間の、言いかえれば、自分の生きた証が世界の片隅に残っていてほしいという人間の醜い願望の吐露でしかない。そこに書かれるのはおそらく単なる思い付き以上のものではない。ぼくはここで何かを「始める」というわけではないのだ。だから、仰々しく「始まり」を宣言するというのも少々居心地が悪い。それはここより前と後に一本の線を引くことだからだ。線が引かれたら、もう後戻りはできなくなってしまう。
そういう意味で、「初め」はむずかしい。とはいえ、なし崩し的にでも始めてしまえば、あとは野となれということもある。そのことがモチベーションとなって、「何者か」への方途が見出されるかもしれないし、されないかもしれない。
ともかく、そんな感じだ。さしあたっては、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書き散らしていこうと思う。退屈しのぎにでも読んでもらえれば幸いである。