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サッカークラブの先に面白い未来

 今回は30代トリオ。「みんなでつくるプロサッカークラブ岡崎」(みんつく岡崎)の活動に加わる若手3人の発起人に話してもらいました。いずれもプライベートで地域にかかわる活動をしている、晝田浩一郎さん(33)、情家智也さん(33)、須原浩一さん(38)です。どんな思いでスポーツクラブを立ち上げる活動に参画しているのか、オンラインで語りました。司会は発起人の坂口淳さん(55)です。

■「ただのサッカー好きでよければ」

坂口:みんつくになんでかかわっちゃったんでしたっけ。
晝田(ひるた):たまたま森山さん(元名古屋グランパスFWで発起人の森山泰行さん)と出会いまして。
坂口:この中では晝田さんが最初かな。
情家(じょうけ):はい、ぼくは晝田くんから誘われたっていうストレートな話です。
須原:昨年の8月30日の夜10時45分に晝田さんからメッセンジャーが来まして。サッカー関連で相談したいことがあるんですけど、どっかで時間くださいって。「ただのサッカー好きでよければ」って返したのがきっかけですね。
晝田:去年の3月まで岡崎市役所の公務員だったんですけど、プライベートで商店街の空き店舗を借りて「ここやる」って取り組みをやったりだとか、テクノロジーで社会課題を解決するっていう「Code for AICHI」をやったりだとか、須原さんとか情家とかと一緒にワチャワチャいろんなことをやったり、ハッカソンとかアイデアソン(※)みたいなイベントをやったりっていうことをずっとやっていたんです。
坂口:ゴリ(森山さんの愛称)とどんな話をしたんですか。
晝田:今は、民間の立場から企業と自治体をつないで、自治体の支援という仕事をやっています。森山さんから、プロサッカークラブをつくって岡崎など三河地域を盛り上げたいって話を聞いて、そこにすごい興味が沸きました。僕自身はずっと野球をやっていたんで、サッカーは代表戦をたまに観て騒ぐくらいしかやってなかったんですけど、地域の人たちが地元チームのことを肴にしながらお酒を飲むとか、街の活性化とか、盛り上がっていくとかといった、そういった未来にはすごく関心があるし、めちゃくちゃワクワクする。サッカークラブによってもたらされるにぎわいとか人との交流で、さらに面白い未来をつくっていこう、という視点で参画しています。

■Jリーグを狙いにくなんて面白いんじゃないか


情家:自分はヒルヒル(晝田さんのことです)のような高尚な志向というよりは、楽しそうだからというのが参画の理由です。Jリーグを狙いにいくなんて面白いんじゃないかと。まあプロボノとしてはそれでもいいのかなとは思っているんですけど。自分の活動の軸は教育という文脈でいろんなことに参画しているんですけど、遠からず少なからず、みんつくでやろうとしていることも最後には教育にかかわる部分があると思っていますし。
晝田:情家らしいなあ。
坂口:プロボノというのは、各分野の専門家が自分の専門知識や経験を生かして社会貢献する活動のことですね。
情家:自動車部品会社で半導体の研究開発の仕事をしているんですが、ハッカソンとかビジネスコンテストで新しい事業を作りたいという思いもありまして。そのために、入社して5年たった2017年から社外でいろんな経験をしようと、あらゆるイベントに参加しました。2017年と2018年は年間1000時間くらい社外活動をして、その中で岡崎のイベントに参加して出会ったのが、ヒルヒルとのつながりです。須原さんとはグランパスのイベントで知り合いました。
須原:商社で働いていて、情家さんと一緒で、仕事以外でうろちょろしていまして。若手サミットで情家さんとか晝田さんと出会ったんだったと思います。5年くらい前、名古屋市と名古屋大学と一緒に開催した社会課題解決アイデアソン・ハッカソンという若手サミットの企画運営に携わりはじめて、テーマアップをするときに企画メンバーが課題ホルダーをつかまえてくるってのをやるんです。スポーツがすごく好きだったんで、グランパスとか知り合い経由でスポーツの人を集めて、ファンエンゲージメント(※)だったり、地域社会連携だったりっていうのを始めたのが、観戦する以外でのスポーツとのかかわりですね。その頃から、地雷除去につながるフットサル大会をやったり、グランパスの社会連携をやったりとかもしています。あと、今年から愛知県サッカー協会の総務委員になりました。サッカー関係者や先生でない委員は珍しいかもしれない。こんな感じです。
坂口:なるほど、そういう流れか。初めて分かった(笑)。

■定年しなくても町内会にかかわれる

須原:晝田さんからメッセンジャーが来て、1回目のミーティングをした後、けっこう真面目に自分はなんの役に立っているのかを考えたんです。ファシリテーション(※)でいろんなイベントやスポーツにかかわってきた。もしそれで役に立てるんだったら、やったことのない領域で役に立てるんだったら、みたいな思いです。ここ数年の中で「スポーツで世の中をよりよくしていく」っていうのを自分が死ぬまでに達成したことの一つに挙げていて、その一環になったらめちゃくちゃ嬉しいなあと。今は、仕事だけとか、別なことをやろうとしたら仕事を辞めてとかではない時代かなと思っているんです。定年してから町内会、みたいなのがあるじゃないですか。定年しなくても町内会にはかかわれる。うまく仕事とこういった活動とを並行しちゃっていいんだよ、転職してとかじゃなくて気軽にこういう活動に参加したら面白いんじゃないかというのがあります。
晝田:参加の仕方っていっぱいあるなって思っています。
情家:今はコロナ禍でできなくなっているんですけど、おいしいお酒が飲めるのがいちばんいいなと常に思っていますので。日ごろから。生きる意味としてですね。いい刺激があった後の方がおいしい。なにかやり切ったという文化祭や体育祭みたいな。それより本気の、自由度が無限大のところでやった後のお酒は格別だというのを知っていますので、今回も味わえたらいいなあと思っています。
                               【つづく】

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※ハッカソン、アイデアソン=ハッカソンはハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語。ITエンジニアやデザイナーなどが集まってチームを作り、特定のテーマに対して意見やアイデアを出し合い、決められた期間内で開発成果を競い合うイベント。数時間から数日間、プログラミングに没頭することからマラソンに例えられている。アイデアソンは、アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語。ある特定のテーマについて多様性のあるメンバーが集まり、対話を通じて、新たなアイデア創出やアクションプラン、ビジネスモデルの構築などを短期間で行うイベント。近年では地域づくりプランやレシピ・商品・サービスの開発、新規事業開発など、非IT領域で開催されることも多い。

※ファンエンゲージメント=ファンとクラブやチームのとつながり。 また、ファンにクラブやチームとの接点をオンライン、オフラインなどで多く用意することで愛着を持ってもらおうとする取り組み自体も指す。

※ファシリテーション=たくさんの人が集まって行うミーティングやプロジェクトなどで、議論を促進したり問題解決が得られるようサポートをしたりすること。人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りし、 集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味する。

《プロフィール》
晝田浩一郎(ひるた・こういちろう) 1987年11月、三重県志摩市生まれ。株式会社官民連携事業研究所チーフマネージャー。2012年から8年間、岡崎市役所に勤務。プライベートで、2016年に商店街の空き店舗を借りた「ここdeやるZone」(ここやる)の代表を務め、サードプレイスコミュニティ(自宅や職場とは別の心地よい第3の居場所)を創出。テクノロジーを活用して一緒に市民の課題解決を目指す団体「Code for AICHI」の活動を2017年に始める。「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」、内閣府主催の「地方創生政策アイデアコンテスト2018 優秀賞」などを受賞し、Forbes JAPAN「日本を元気にする88人」に選出された元『スーパー公務員』。2020年から現職で、「行政に軸がある民間」という立場で自治体と企業の連携を促進し、地域活性化に取り組んでいる。

情家智也(じょうけ・ともや) 1987年生まれ。岐阜県御嵩町出身。大学・大学院は名古屋で過ごす。2012年に自動車部品メーカに入社、一貫して半導体の研究開発に従事。2017年より新規価値創造を実現するため、社内外のハッカソンやビジネスコンテストなどに出場、プロボノ活動を開始。岡崎に関わることでは、地方創成政策アイデアコンテスト2017で地方予選通過、未来のオトガワ実行委員会 - みらおと-で2018、2019にスタッフ、演者で参画。サッカーの選手経験はないが、名古屋グランパスの社会連携プロジェクトにプロボノとして参画。現在、子どもの教育を軸(特にEdTech)に活動中。

須原浩一(すはら・こういち) 1983年生まれ。愛知県名古屋市出身。高校時代はサッカー漬け。大学4年間は横浜で過ごす。 2006年、商社に入社。社内プログラム参加をキッカケに新規事業の世界へ。 2015年に地域課題解決アイデアソン / ハッカソン「若手サミット」の企画運営に参画したのを皮切りに、仕事以外での活動を開始。フットサル大会を通じてカンボジア/タイの地雷撤去に繋げる「Globe Project@名古屋」の立ち上げや、名古屋グランパス社会連携プロジェクトのファシリテーター活動に取り組む。「スポーツの力で世の中をよりよくする」が人生のキーワード。愛知県サッカー協会総務委員や地域の少年サッカーのコーチ見習いもスタート。

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