見出し画像

自然と技術が織りなすアート:毛利悠子「ピュシスについて」


先日、アーティゾン美術館(京橋)に毛利悠子さんの展示「ピシュスについて」を観に行きました。
忙しい日常の中で、ふと立ち止まる時間が欲しいと思った時に、私は美術館に行くのですが、今回の展示は、そんな時にぴったりな展示でした。



ピュシスとは、ギリシャ語で「自然』
という意味だそうです。

毛利さんの作品は、風や光、重力といった私たちが普段意識しない自然現象をセンサーを使って読み取り、信号に変換して、可視化して表現しています。

フルーツの作品では、静止しているように見える果物も、実は中の水分量は常に変わっていて、どんどん腐っていくプロセスの中で常に変化しいます。そのプロセスをセンサーでキャッチし、なんとそれがメロディーやライティングパネルにリアルタイムで影響を与えるという斬新な技法が用いられています。

今回の展示は「ジャムセッション」ということで、当美術館の所蔵作品と毛利さんのアートを同じ空間に飾ることで、より面白い企画となっています。

毛利さんのこの作品の側には、腐りゆくフルーツの静物画が飾られ、フルーツの「生」と「死」の境界がこんなにも美しく、そして驚きの形で表現する技術に引き込まれました。

メイン展示は、毛利さんが自らフランスのベリール島に赴いて、撮影した海の映像と波の音が大きなスピーカーから再生されます。ベリール島はモネが訪れ、たくさんの作品を描いた場所です。センサーにより、ピアノがその音にリアルタイムで応答することで、まるでその場にいるかのような臨場感が味わいました。

この展覧会では、目に見えないけれど確かに存在するもの…音、電磁波、ラジオ波等を巧みに使って、作品が「生きている」かのように感じさせてくれます。その独創性と技術力に触れるたび、新たな発見と感動!

毛利悠子さんの「ピュシスについて」、自然の美しさとテクノロジーの魔法を再認識しました。
2025年2月9日まで開催。
ぜひ、皆様も、忙しい日常から少しだけ抜け出して、未来のアートの可能性を感じる美術館に出かけてみませんか?
込められたメッセージと、感じるままの感動をぜひ体験してみてください。

いいなと思ったら応援しよう!