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究極の個人情報として脳波を守る法律が米国で制定

 脳科学が進歩し、人間の脳神経データの詳細な流れを把握し、読み解くことが簡単にできるようになりました。最近の実験では神経学的な作業により思考を操作できる可能性も示されています。安価なデバイスから人の脳神経データが民間企業の手に渡ってしまう危険性から、脳神経データを含める生物学的データを個人情報として保護する動きが米国で拡大しています。
 AIを駆使して電子的な脳画像を処理し、被験者が思考中の言葉を正確に予測することさえできるようになりました。この分野の進歩は大きなブレークスルーを引き起こしており、半身不随の患者が脳波を通じてコミュニケーションをとったり、脊髄損傷で機能停止した神経経路の回復に役立ったりしています。今後、2-3年のうちに思考を読み取る装置がたくさん出てくるのは間違いありません。
 問題はこうした技術の悪用で、最近になってコロラド州で脳神経データの個人情報保護法の導入を進める議員や科学者のグループによって法案は先月、賛成多数で州議会で可決しました。こうした法案の整備に向けた動きは全米各地で見られます。ミネソタ州議会には3月に独自の法案が提出され、カリフォルニア州でも法案提出に向けた準備が進んでいます。
 専門家によると「ニューラルライツ(脳神経データに関する個人の権利)」の推進は、脳神経データ読み取り機器が普及する前に新興ハイテク企業に対して消費者保護を義務付けようとする取り組みです。脳神経データを収集し、転売したり共有したりできる機器は既に販売されており、多くの新興企業が近々販売する予定です。
 生成AIでYouTubeを使って学習するなど商業目的で収集された場合の規制は遥かに緩いのが現状です。脳神経データも勝手に利用される危険性があります。50万人の脳波データを収集した結果、居眠り防止装置が開発・商品化され、人の脳波にあわせて100%あった商品の紹介をするなどの商品化事例が出ています。
 コロラド州の場合、企業は脳神経データを収集する前に顧客の同意を得ることが必要おなり、顧客にデータの利用範囲に制限したり、データを削除する権利を与えたりすることが義務付けられています。脳神経データを無法地帯にしないためにも日本もこういった規制が必要です。規制が緩いこともあって、マイクロソフトやOpenAIが日本に研究開発拠点を置くというのはどういうことなのかをひとりひとりがよく考えなければなりません。
 イーロン・マスクが設立した「Neuralink」は、脳に小型デバイスを埋め込み、コンピュータを操作できる実験を開始しました。社会課題である精神・神経疾患等の早期段階での診断・治療といった日常的なヘルスケアや脳損傷のリハビリテーション、情報通信の高度化等への応用が期待され、ビジネス分野にも大きなインパクトを与える侵攻先端技術として注目されています。次は脳革命だと各国で大きな投資がなされていますが、開発前に個人情報が守られる制度が必要です。

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