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セブンズにおけるキックオフの重要性とポイントについて
今回はセブンズにおけるキックオフの再獲得の重要性とポイントについて書いていきます。
【7's kickoff①】
— 山本 実 (@rugby1209) June 29, 2021
7'sのリスタートキックは得点したチームが蹴るので、再獲得ができれば優位に試合を進めることができる。
またグランドを7人で守るのは難しく、必ずどこかに狙い目がある。
キックを蹴る際の心得は「Not10mを恐れない」15mのキックを蹴ればチェイサーの負担になるし再獲得も難しい。 pic.twitter.com/TZm1f2ZHFl
Twitterの方でも7回に渡るTweetで解説をしましたが、こちらではより詳細に蹴る時のコツや映像も交えながら紹介していきます。
セブンズラグビーの特徴
セブンズは15人制と異なり、得点した側のチームがリスタートキックを蹴るため、トライをして次のキックオフで再獲得することができれば、常に攻め続けることができる可能性が高いです。
また、セブンズは100m×70mのグランドを7人で守らなければいけない競技なので、どこかしらに狙い目はあります。
つまり、セブンズにおいてキックオフはかなり重要なセットプレーです。
15人制におけるスクラムやラインアウト並みに重要です。
そこでこの記事では太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021が無事に開催されたことを記念し、キックオフ・リスタートキックの際に私が持っているコンテストキックのオプションとそれを蹴る際のポイントを紹介します。
どこへ蹴る際も大事なことは、チェイサー(味方)へ共有しておくことです。蹴る場所が分かっていれば、100%でボールを追うことができ相手にプレッシャーを与えることができます。
事前に、共有しやすいようにサインなどを作っておきましょう!
蹴る際のポイントについては、筋力の違いからもしかしたら男子選手には当てはまらないことがあるかもしれません。
そのことを踏まえて、お楽しみください!
ワイドに蹴るコンテストキック
さて、私は右利きのキッカーなので、左方向10m付近に蹴るのが得意です。(レシーブ側からすれば左側に蹴られる)
私が右方向10m付近に蹴ろうと思うと身体をHLから敵陣側に入れる必要があり、個人的には味方が視界に入るので集中しづらくなり若干難易度があがります。
しかし、両方とも蹴れます。
私のチームのチェイサーの質がとても高いので14m位に蹴っても再獲得してくれることがありますが、なるべくチェイサーの負担を減らせるように10mギリギリを狙っています。
ここで使うキックの使用回数が最も多いので、ここでのキックをベースに他のキックへの調整をしています。
(ミドルへ蹴る時はベースのキックよりもう少し遅く蹴る、など)
キック時のマインドセット
その際の心得としては、
「Not10mを恐れないこと」
正直なところ、試合開始早々Not10mをしてHL上から相手ボールのフリーキックは良くない流れです。
(心の中では、私100人分くらいチームに謝っています。)
でも、守りに入って中途半端に蹴って相手にボールを渡してずっとDFをしていることもハッピーではないなと思っています。
実際に、私が守って蹴って相手に簡単にボールを渡してしまった試合はDFの時間が長くなりキツい時間帯が長引いています。
つまり、リスタートキックをコンテストしにいくというのがチームの方針であれば、全力で 10mを狙いに行くしかないなと気付きました。
守りのキックをしても苦しくなるだけ。
攻めのキックでチームに勢いをつけよう。
守りのキックはダサい。
こんなマインドで蹴っています。
キックの調整方法
そして、ドロップキックが他のキックと異なる点は1回地面にバウンドさせないといけない点です。
これがドロップキックが最も難易度の高いキックとされている理由だと思います。
ここで私が苦しめられるのがグランドによって跳ね上がるタイミングが異なるところです。
試合前に何本か蹴れればアジャストできるのですが、最近は感染症対策などで試合前に試合会場のグランドで何本かキックをする…といったことが難しくなっています。
その対処法として、試合中にキックを蹴るリズムは一定にして、蹴る前の身体の向きでアジャストしていきます。
大体2、3本目で自分がHLに対してどんな角度で位置すれば良いキックを蹴れるのかが分かってきます。
身体の向きを10°変えるだけでもキックが落ちる位置は大きく変わるので、この調整はかなり重要です。キックって本当に繊細ですね。職人技です。
他に私が起こすエラーは足が振り遅れることです。
振り遅れることによって、ボールのお尻の部分を蹴ってしまうため、右側に大きく逸れていきます。
その場合、ボールが着地してすぐに蹴るように心がけると修正できます。
ミドルへのコンテストキック
次に、私が左方向10mと右方向10mに蹴れることに相手チームが対策をすると、レシーブ側の体型がストレッチされてミドルのスペースが空いてきます。
そこで私が持っているミドルへのコンテストキックのオプションは①ゴロと②ハイボールの2つです。
①ゴロの際は、私が最も得意とする左方向へ蹴るときの動きと途中まで同じになるように左足で蹴っています。
そうすることで蹴るギリギリまで相手に左方向へのキックを警戒させることができ、味方の方がボールに対して先にリアクションできるようになります。
このキックを蹴る際のポイントとしては、
❶力を入れすぎない
❷1バウンド目をなるべく自分の近くにする
この2つです。
❶力を入れすぎない
力を入れて強く蹴ってしまうと相手へのプレゼントボールになってしまいます。案外10mって近いんですよ。
❷1バウンド目をなるべく自分の近くにする
こうすることで回転数が多くなりボールは前へ進みます。1バウンド目を遠くへ蹴ってしまうとたまに自分の方へ返ってきてしまうバウンドになるのでそれへの対策です。
次に②のハイボールを蹴る際のポイントは
❶ボールリリース
❷0.75テンポ遅らせる
❸足を当てるだけ
❶ボールリリース
ボールリリース命です。少しでも倒して落としたら…。
❷0.75テンポ遅らせる
いつも蹴っているボールの部分よりも下のお尻の方を蹴って高さを出したいのでテンポを遅らせます。個人的にはボールがバウンドして完全に止まったところを蹴るよりも止まりそうなくらいを蹴る時が良い感覚です。なので、1テンポではなく0.75テンポと記載しています。
❸足を当てるだけ
お願いです。どうかボールを蹴らないでください。蹴った際には10mでは留まってくれないでしょう。先程も述べましたが、案外10mってあっという間なんです。
ミドルへのコンテストキック①ゴロ②ハイボールをどのように使い分けるかは、相手と味方の身長や俊敏性、瞬発力で決定します。
ちなみに、Instagramのリールでもミドルコンテストキックを蹴るコツを紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。
そして、雨の日はボールリリースしても跳ねないことがあるのでそういった時にはミドル以外の位置にゴロを蹴ることもあります。
そもそもボールが跳ねないので高いボールを蹴ることができないのと、相手も雨の中でのゴロボールは取りづらくチェイサーからのプレッシャーを受けミスが起こりやすいので再獲得できる可能性が高まります。
雨の日はグランドを見極めて蹴る必要があります。
例えば、水溜りのようなグランドだとボールが止まる恐れがあるので強く蹴る必要がありますが、軽く雨が降っている程度の場合は逆にボールが滑って遠くに蹴れてしまうので軽く蹴る必要があります。
必殺ロングキック
コンテストキックを多く蹴っていることを分析され始めると、レシーブ体形が前進してきます。冒頭でも述べたように自陣40m×70mを7人で守り抜くことは不可能です。特に男子選手と比較して、女子ラグビー選手の能力では難しいです。
つまり、敵陣後方が空いているのです。
そんな時は奥に大きく蹴りこみましょう。
奥に蹴りこんで敵陣22m以内でプレーを始めることができれば、DFからのスタートだったとしても得点する可能性がかなり高まります。
プレーをしているエリア的にプレッシャーを感じているのはAT側です。
この動画では、敵陣22m以内のタッチへ蹴りだし、相手ボールからのラインアウトでプレッシャーをかけ、ホールドアップ⇒マイボールスクラムという流れでボールを再獲得しました。
この動画には映っていませんが、ここで得たスクラムからチームはトライをしました。
ドロップキックのボールの落とし方。特に高さを出したい時には「まっすぐ」ではなく少し手前に傾けるのがポイントです。 #JEK @rugby1209 pic.twitter.com/xlCnhAS1w4
— Japan Elite Kicking 🇯🇵 #JEK (@JekOfficial) November 14, 2020
遠くに蹴る際のポイントですが、ボールリリースに関してはJEKのTwitterでも紹介されているように若干自分の方へ返ってくるようにすることです。
そうすることで感覚的な話になりますが、足にボールが乗りやすく、力が伝わりやすくなるからです。
また、助走をとって蹴ることもポイントの1つだと思います。最後の1歩が大きくなればなるほどスイングスピードも上がってパワーが増します。
深く蹴りすぎてインゴールに入らないように気をつけましょう!笑
まとめ
冒頭にも述べましたが、セブンズの場合は必ずどこかにスペースはあります。相手と味方の能力を照らし合わせた時に能力が上回る場所や相手のレシーブ体形を見て蹴る場所を決めましょう。
右・左・真ん中・ゴロ・ハイボール・後方、蹴りこむ場所はたくさんあります。
これがプレーメーカーの醍醐味でもあります。
また、チェイサーの質もかなり大事になります。ですからチームとして練習することができれば大きな武器になるでしょう。
事前にどこへ蹴るかをサインなどで共有したり、リスタートキックの前に独走した選手がいればその選手の疲労度なども考慮して蹴る場所を決めるといった工夫も必要になります。
この記事を書くことで手の内を明かしているように見えますが、私はそうだとは思いません。
セブンズの場合は必ずどこかへスペースがあるので、私が正確にキックを蹴り続ける限り、味方のチームは再獲得をすることができます。
以上がセブンズにおけるキックオフの重要性とポイントについてでした。ポイントについてはあくまでも私の感覚の話なのでどなたかの参考になれば嬉しく思います。
御精読ありがとうございました。
記事内の動画は「JAPAN RUGBY TV」より拝借しています。
全大会LIVE配信していただきありがとうございました!
おかげさまで女子ラグビーの魅力を多くの方に届けることができました。
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![山本 実](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62154901/profile_fa27d39c788bccf9133532ddf8466358.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)