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「変われない社員」への警告~新たな労働組合のカタチ~

「週1日リアル出勤、その他リモートワークで”フルコミット”人事責任者をする”マイクロ人事部長”」の髙橋実です。現在、複数の企業で「マイクロ人事部長」の役割を担っています。

さて、先日日経ビジネスのコラムで、興味深い記事がありました。

トヨタ自動車の2019年上半期の決算は、純利益が1兆2749億円と、過去最高を記録しました。

しかしながら、豊田章夫社長は、今後の自動車産業、トヨタ自動車に対して警鐘を鳴らし続けています。日本トップの会社ですら、危機感を覚えるほど、今後の日本は厳しい状況が想定されているのです。

その中で、通常春で妥結するトヨタ自動車の労使交渉が、史上初めて秋にずれ込んだ異常事態になりました。

この記事の中で、河合満副社長のコメントを引用し「労使が『共通の基盤』に立てていなかった。春のみの回答というのは異例だったが、労使が共通の基盤に立つための苦渋の決断だった。今回の(労使での)やり取りの中で、労使それぞれが変わりつつあるのかを丁寧に確認した」とありました。

この労使交渉の延長劇の議論のポイントは、賃金よりもむしろ「変わらない社員」に対して向けられていた、とても興味深いものだったのです。

今回のこの労使交渉の姿は、これからの労働組合の在り方、一つの可能性を示唆したものではないかと僕は感じました。

会社と戦う労働組合から労使協調路線への変更から、新しい労使協調路線、「会社の目指すべき方向性を労使で作る」ことをメインテーマとする労使の関係に見えたのです。

(記事内容より)
河合副社長も「取り組みはまだまだ道半ば。マネジメントも含め、変わりきれていない人も少なくとも存在する」と報道陣に述べ、トヨタ自動車労働組合の西野勝義執行委員長も労使交渉の場で「職場の中には、まだまだ意識が変わりきれていなかったり、行動に移せていないメンバーがいる」と会社側に伝えた。

これからの未曽有の労働人口減、そしてさらなる激しい変化が想定される時代に対して、経営者を含む社員の意識変革は必須です。マイクロ人事部長をしていて経営者から聞く一番の大きな悩みが「社員の意識変革がなかなか進まないこと」です。

人事としてこのテーマに対峙し、様々な施策を打ちますが、どうしてもこの意識改革スピードが追いつかない。遅いのです。「健全な危機感を醸成する」経営者の多くはこの点に腐心しますが、どうしても一体感が出ない。この労使交渉で行われたやりとりは想像に難くなく、経営者のジレンマが手に取るように分かります。

組織課題は、あまりに多い。
なかなか解決に向かわないのは、優秀な人事パーソンが少ない(ここは本当に必要なことだと思うし、マイクロ人事部長のような働き方をして、人事パーソンのスキルシェアをどんどん行っていかねばならないと思っています。マイクロ人事部長量産が、僕のミッションだと思っています)こともありますが、あまりに多い組織課題は、もはや人事だけで解決するのは到底無理な時代に入っていると思います。

だからこそ、これから労働組合が、社員側の立場として(必要とあれば本来非組合員である管理職の意識改革まで手を伸ばして)機能し、「社員側からの意識改革を促していく」動きが必要だと思うのです。

労働運動とは何か。
当たり前ですが、会社をサステナビリティを維持し、事業収益をしっかりと上げていく形を作ること。これができることで、初めて賃金に反映される。今は、組織の成長スピードに、社員がついていけない。これが、馴れ合いの労使協調路線を作っていってしまっている。経営側からも社員からも、労働組合の必要性を問われてしまう原因になっていると思います。

「労働組合発信の組織改革がもっとあってもいい」
経営側からの組織改革施策だけでなく、ボトムアップ型の組織改革これができるのは一つの労働組合の存在価値だし、この点にフォーカスするのが今後の労働組合の在り方なのではないでしょうか。

「組織の未来を経営と社員が一緒になって考える」
これが、これからの不確実な未来に必要な姿だと思うのです。
新たな労働組合のカタチ、経営はこの労働組合を活用し、労働組合自身が社員の意識改革を実現する時代に入るべきだと思います。

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髙橋実@マイクロ人事部長
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