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とりはくー東京都庭園美術館『建物公開2024 あかり、ともるとき』

※この記事は『博物館紹介サイト とりはく』のコンテンツです。
 博物館にご興味のあるかたは、ぜひ『とりはく』も見てみてくださいね(^^)


アール・デコ様式の重要文化財『旧朝香宮邸』を公開中!

港区にある『東京都庭園美術館』で現在開催されている『あかり、ともるとき』展は、美術館本館にあたる旧朝香宮邸内の「照明」にスポットをあてた企画展です。
こちらの美術館、庭園自体は日常的に開放していますが、建物内へ入れるのはこうした特別展示の時だけ。今回テーマになっているアール・デコ様式の照明器具はもちろん、部屋の随所に施された意匠は、和洋折衷建築の好きな方なら動悸がしちゃうほどの代物です。

中央階段(たぶん)。どこを見ても美しい✨
食堂のテーブルセットまで美しい✨
(プライバシー保護のため画像を一部加工しています。)
美しいカトラリー✨
ラジエーター(?)のカバーまでもがこんなに美しい!✨

旧朝香宮邸とは?

1933(昭和8)年に建てられた皇族朝香宮家の自邸。フランス留学中にアール・デコ様式に魅せられた朝香宮夫妻が、フランス人装飾芸術家アンリ・ラパンに部屋の設計を依頼し、同じくフランスのガラス工芸家ルネ・ラリックにシャンデリアや正面玄関のガラスレリーフなどを提供してもらって、つくりあげた屋敷なのだとか。
造営には当時の宮内省内匠寮のひとびとも関わり、上のラジエーターカバー(たぶん)や家具のデザインを手がけたそうです。
ほかにも壁にはめ込まれたレリーフや扉の飾りなど、ともかくあらゆる場所にそれぞれの匠がデザインを提供していて、まあ、ずいぶんと贅を凝らしていらっしゃること!という感じです。これと同じものを現代でつくるのは、ちょっともうムリでしょうね(;^ω^)
戦後は吉田茂首相の官邸や、赤坂の迎賓館が開館するまでは白金迎賓館としても利用されたとのこと。
その後、1983(昭和58)年に『東京都庭園美術館』として開館。
2015(平成27)年には国の重要文化財に、2021年(令和3)年に都立の文化施設となりました。
およそ100年もの間いろいろなひとの手で守られてきた歴史ある建物です。

本館見学!

建物内部の公開はめったにされないこともあって、私が訪れた時は大変混雑しておりました(;^_^A
建物に入るまでに行列、途中の部屋で入室規制などなど……。人混みの嫌いな私には少々ツライところもありましたが、それでも中へ入った瞬間テンション↑↑
もう玄関先から美しい!
でも慌てず、受付でパンフレットを貰い、まずは右手奥にあるコインロッカーへ。コイン返却式のロッカーになっていますので、大きな荷物は預けましょう。建物内部は壁紙や柱なども貴重なものなので、荷物でうっかり傷を付けたりしないよう身軽に見学するのがおススメですよ(^^)

アール・デコを代表する鉄工芸家レイモン・シュブ作の
テーブルランプ。
内部はフラッシュ禁止ですが撮影はOK。
豪華客船の内装や教会のステンドグラス制作も手掛けた
ガラス工芸家マックス・アングランの作品。
テラス?に吊るされた外灯。
フランソワ・デコルシュモンの鉢。
深い青色が美しい✨
これまたレイモン・シュブ作のサイドボード。
アンリ・ラパンの花瓶。
ちょいちょいこんなものも展示されている。
……まあ美術館だからな。
階段の手すりにも凝った意匠が!
裏から見るとこう↑
部屋ごとに趣の違った灯りがつけられ、それを見るだけでも楽しい♪

え? もういい?(笑)
このほかにも美しい灯りがたくさんありました✨

ウインターガーデン特別公開

さて、今回の展覧会で見どころのひとつとされているのが、本館最上階に設けられた小部屋『ウィンターガーデン』。冬の寒さ厳しい北欧や北米で、冬季に植物を育成するためにつくられる室内庭園(温室)のことなんだとか。
旧朝香宮邸のウィンターガーデンは、床に市松模様の大理石が敷かれたモダン空間。ここもめったに公開されない部屋であるらしいので、ぜひ見ておきたいと思ったのですが、なんせ狭くて防災上の理由から入室できる人数が限られているせいで、見学するまでに相当待たされます。そのわりに……え、これだけ?という肩透かし感ハンパなかったです(^^;)

採光のいい大きな窓とモノクロ市松模様の床。
ドイツ製鋼管家具だそうです。

前回の公開時にはイミテーショングリーンを置いて温室らしさを演出したみたいです。なぜ今回はやめたのだろうか……。緑があれば、もう少し「待った甲斐があった!」と思えたかもしれない(^^;)正直今回はムリして見なくてもいいと思います。

新館ギャラリーではペンダントライト等を展示中

アンリ・ラパンやレイモン・シュブ、ルネ・ラリックなどが制作したランプがたくさん並んでいます。好きな方にはたまらない1室💗

展示ケースの床に鏡が置かれ、意匠を見られるようになっています。
こういう工夫、嬉しいですね(^^)
点灯しているランプ撮るのムズカシイな……💦

見学してみての感想は……

最初にも書きましたが、和洋折衷建築やアール・デコ様式の調度、特に照明器具に興味のある方なら行って損はないと思います。
ただ、ひとつひとつの資料についてはそれほど詳しい説明書きがないので、私は少し物足りなかったかな。部屋ごとにまとめた解説ボードはあったのですが、室内が暗いし、混雑していたこともあって、あまり読み込めませんでした。それを考えると、ウェブサイトの資料説明ページをもう少し充実させてもいいのではないかと感じます。今も一応コレクションを検索して概要を調べることはできますが、その資料が美術館に収められるに至った経緯や、作品の魅力など、事前学習に使える内容があればもっといいかもしれないなあ。そもそもウェブサイトのつくりが若干使いづらいです(^^;)
また、今回は季節的に庭園には花なども少なく、見どころがなかったのが残念。花のない季節でも楽しめるような工夫がなにかあればよかったなと思います。

建物内部を見学できる『建物公開2024 あかり、ともるとき』は今月10日(日)まで。
気になった方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!

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