【短編小説】白ない顔 ③
年明け間近の夜のことでした。大晦日もいつも通り自室で勉強をしていた私の頭の上、つまり2階にある弟の部屋から突然足音が聞こえました。足音自体は普通に暮らしていれば当たり前に聞こえる生活音ではあります。しかし、その日は不可解だったのです。唐突に聞こえてきた事は勿論ですが、弟は大晦日のその日、年明けを近所の幼なじみの家で迎えると言って夕方出ていったので、2階の自分の部屋には居ないはずでした。近所と言っても3つ隣の家なので帰って来られる距離ではありましたが、2階の部屋に上がって行くに