天星ひつじ

あまほし ひつじです。 スマホで降りてきた言葉を綴り、詩をつくっています。

天星ひつじ

あまほし ひつじです。 スマホで降りてきた言葉を綴り、詩をつくっています。

最近の記事

【詩】 前日

浮かびあがる  遠いまちの灯が 夜空から星を奪って、その帰路で 落としてしまったみたいな 号哭し、狂うのを許された 怒りを、慈悲を、憎しみを、 振りかざすのを許された。 風がそう言っていたの。 聞いちゃったの、星の落ちる音 大地が号哭し、雲がどよめく 道草がにらんで、太陽が舌打つ こわくてこわくて、私、耳をふさいだの。 立ち止まったの。星が落ちるの。 耳をふさいだの、 私。

    • 【詩】推しの故郷に行ってみた

      地面から浮かび上がることを、許された時間。 僕の風船を 少年へすすむ心を 天使が眺めているよう あどけなく 穏やかに、 あたたかく 軽やかに、 眺めているよう。 湖畔に解き放たれる、大地の宝物 高い緑髪が、悠々と僕を見る。 彼らから見た僕の背は 自然の一部になれているか。 無言ながら、横目に見ている。 現実は この体でも濁らなかった ただそれを愛することだけができた。 いつも静かにそこに在る、 軌跡、 この命で変えられやしない。 ただそれを愛することだけができる。

      • 【詩】ポチ、都会の銀河に。

        人間は星空だ、 星は、体の、内臓より深い ふかいふかいところにまたたいてる。 いつでもぱちぱちしている。 きみが怒っているときも、 心がめまいをしていても、 僕には星が分かるんだもの。 ねえ、 電飾とやらで、星は消えてしまうんだねえ。 都会じゃ星は見えないものねえ。 真っ暗闇の人間も、ぼくには星だもの。 ふかいふかいところで、ぱちぱちしているもの。 きっと、見えないだけなんだねえ……

        • 【詩】 ミンティアの詩

          白い錠剤に凝り固まった爽やかさが、景色を透明にしてくれる。苦いとわかって飲み込むのは、冷たさで夢が見えるからで、痛みが愛だと、感覚神経が信じているからです。不条理が淡く桃色で、悲しみが喜びで、ぼくは言葉を噛み砕いて、何度でも星にする。手のひらに乗った煌めきが、ぼくを孤独にするけれど、踏み潰される優しさの数だけ、君を照らし出す、流星群。

          【詩】 じらいちゃん

          心臓の美しさにさまよう女の子が、辿り着く場所がここ。どこも浅はかなんかではなくて、いつ何時も、身体中を使わないと酸素が吸えなくて、だけどほんとは酸素よりも愛が吸いたいと思ってしまう。だから孤独のファッションで、塗り潰して、今日も街とわたしを繋いでいく。きみを推した瞬間から、世界がふたりだけの夢の国になったよ。死ぬほどの孤独、痛み、きみへの「すき」でラッピングしてみせる。傷ついても、傷ついても、心の中が世界だから。それが、可愛いの本当だから。

          【詩】 じらいちゃん

          【詩】 亡骸

          寝台に、公園に、遠くの道に、 哀愁の目は亡骸を見る。 孤独の毛布に身をくるみ、 静けさに目を閉じる 亡骸のそばに。 それは焼け焦げたように見える 情熱の精神に焼けた心臓 陽は落ちて 数多の亡霊がすすり泣き 影をつくる 私の前に、後ろに 私は眠る他に術を持たずに 寂しさとともに 亡骸を抱いて 泣き伏して眠る、亡骸に抱かれて。

          【詩】 亡骸

          【詩】 追憶

          悲しい時はね 素直に泣いてごらん 君の内側から 純粋な命の原液が 瞳を洗い流してくれます 寂しい時はね 星を思ってごらん 君の頭のうえには、 真っ透明な天体が 君と微笑みたがっています 苦しい時はね うたを歌ってごらん 君がもつ、君だけの 輝き始めた原石が 暗闇だから、きらきらします さあ、これはおまじない。 あなたのままでおゆきなさい。

          【詩】 追憶

          【詩】数学公式を詩にする 「足し算」

          きみが、風のせいできれいだった、特に訳もない、散歩、春が待ち切れないねって、誰か言った。いま、足りないのはきみで、欲しい気持ちのぜんぶを、花は儚くしている、ひとつになってしまうって、桜が散るのとおなじことだよ。どっちでもいいよ、きみでいいし、ぼくでもいいよ、飲み込むのは。きみの視線が春を、またひとつ、ここで絡め取るんだね、きみはおなじ人間だから、できる、人間だから、だよね。今から足し算しよう、優しい沈黙で桜が見てるから、ふたりの和を、ここに埋めていこう、ぼくたち、おなじ生き物

          【詩】数学公式を詩にする 「足し算」

          詩を「食レポ」する

          こんばんは、天星ひつじです。 訳分からないかもしれないですが、「詩を食レポ」するということを思いついてしまったので、早速書きました。中原中也先生の「汚れつちまつた悲しみに」です。投稿してあるので、是非。 私自身、訳が分からないままに、詩を読みながら文章を考えていました。もしも詩を食べ物として表現するなら、という考えが、急にふっと浮かんだのです。浮かんだなら書くしかないだろ、というのが自分の考え方のひとつにあるので、迷わず机に向かい、できたのが先程投稿させていただいた詩。あ

          詩を「食レポ」する

          【詩】中原中也『汚れつちまつた悲しみに』の食レポ

          言葉が氷菓みたいな冷たさをまとって、口の中で溶けてゆく間、次々と形を変えながら、世界に雪を降らせる。太陽の明るさにはとげがあるよ、それで傷ついてきた淡い夢を、ふわりと覆う小雪の味。ほら、雲が凍っただけで、あなたの悲しみが、わたしの悲しみ。スノードームに閉じ込められて、何度も逆さまになる、その度に、雪がきれいだねと笑う人がいるって、微笑むきみがいる。溶けてしまったのにまだ残っている、この冷たさは悲しみの温度で、静かに、孤独だけはっきりとわかる、夕暮れの太陽に染まっても、孤独だけ

          【詩】中原中也『汚れつちまつた悲しみに』の食レポ

          【詩】 120年目の宇宙で

          明日きみの許にやっと行こう、 待っているなんて思わないけれど ぼくがきみを待っていると、 だんだん世界が遠くなっていく気がする きみには、感覚が無くて、 形が無くて、 声も体温も分からなくなってしまって きみがきみを知っているならそれでいいよ これで2人の魂になるねって、 誰にも訳が分からない。 地球上を飛び回る酸素分子は きみの言葉が溶けたものだけ ぼくのところへ辿り着く。 だから今吸った空気は きみから送られた 限りある空気です。 きみが知らない間に、120年もの時間で

          【詩】 120年目の宇宙で

          【詩】もの書きの詩

          見えないあなたに恋をするのが、 幸せだなと思えるくらいには わたしは不幸でありたい。 あなたに寄り添えるほどの悲しみを わたしは持っていないし、 都会の電飾で引っかかれた空が、 朝に傷だらけなのを見てしまうのがいや。 どれをとっても、みんな脆すぎて、 自分のことで精一杯ですね。 こんな世界は、ありきたりなのだけれど 少々、寂しいですね。 この弱さが、芸術の欠片そのものだから、 あなたを包むための手で、繋ぎ合わせるよ。 抜け殻になるまで、気付かないでいい。

          【詩】もの書きの詩

          【詩】 東京雨景

          消えたいとつぶやくとき、街には雨が降る。雲から孵ったさかなの群れが、感覚神経を、かなしみのために泳いでいる、だれかの袖に、飛び込んでいく、これは、夜がきみの代わりに泣くよって、そういう音楽なんだよ。流れ星になりたい、きみが、水溜まりを踏むとき、ほんのいっしゅん、重力が恋しくなる。そういう音楽なんだよ。 夜明け、ビルが空から、まっすぐ降りているのが見えます、あれが、東京、眩しい多角形の美術展。きみの手をとって、行くよ、切り取られた街の、装飾になろう。笑っていいよ。ぼくらは、地

          【詩】 東京雨景

          【詩】 学生たち

          駅前の靴音が鳩と孤独を引き連れて、いつも通りに電車が止まった、立ち止まったら、それきり見失うような、不確かな時間を追いかけている、見ているのか、見られているのか、わからない、わからなくてもいいと思っている。学生は、制服に梱包された未来への贈り物です。なりたくなかった、なりたくなかった。心の死んだところだけ燃料にして、電車は僕を置き去りにしていく。ホームに流れ込んだ朝の光が、今日のはじまりに拍手をするのを、僕はひとりで聴いている、耳を塞ぎたい、両手は、荷物でいっぱい。分かったよ

          【詩】 学生たち

          詩の投稿をします。

          はじめまして。天星ひつじです。 「あまほし ひつじ」と読みます。 まず、ブログを始めようと思ったきっかけは、ただ「詩を書きたい」という一点にあります。この原点から、「詩を読んでもらいたい」「より感想をいただける場に詩を載せたい」という風に理由が広がっていきます。私は去年の9月下旬から「詩人たちの小部屋」というサイトで詩の投稿を行っていました。元々文章を綴ることは好きだし、ブログで詩を発表することで、より読んでいただける機会が増えて感想もいただけるのでは?と考えた結果、no

          詩の投稿をします。

          静寂

          時計の針の動くのを 止まることなく聞いている 深夜の外は肌寒く ただ一時の静寂だ よいこは布団で夢の中 しかし私は窓の前 ぼんやり眠れず座っている 座って朝日を待っている そして詩なんて書いている 今度手紙をしたためよう。 時計の針の動くのを 止まることなく聞いている