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「女の人はこんなふうにアンコントローラブルだよね」


 コーヒーで絵を描いている自分が
 絵を描いていくなかで
 いろいろ体験したことを書いています

コーヒーで絵を描き始めて

いただける話には全部飛び込んでいこうと
ヨチヨチ展示などにも参加していたころ

あるグループ展に参加することになりました

はじめてのグループ展
はじめての「ギャラリー」
はじめての知り合い以外のお客様

ちょっと緊張しながら
初日のレセプションに立っていると

これまた初めての経験に
とまどうことになりました

それが

はじめて出会う人たちに
質問ぜめにされる
という体験でした

スポーツでも音楽でも
何かやられて発表の場所に慣れている方は
たくさん経験があるのかもしれませんが

わたしにとっては
はじめてで

そのなかでも1番
驚いたのは

大体の質問が
ほぼ同じということでした

「どうしてコーヒーで描いてるんですか?」
(まあ、これは当然として)

「やっぱり高級なコーヒーだと
いい絵が描けるんですか?」

「美味しいコーヒーを教えてください」

「描くのに、どのくらいの時間がかかるんですか?」

「美大には行ったんですか?どこの?」

「いつからコーヒーで描いてるんですか?」

「コーヒー以外ではどんな画材で描いてるんですか?」

次から次に
繰り返しくる質問に
同じように答えているうちに

だんだん
ヘトヘトになってきました

なんだか学生時代の
「(   )の中を埋めなさい」
というテストを
延々と解いているような

なぜ、どのくらい、いつ、なにを、どんな
の繰り返し

どうしてこんなに疲れるのだろう・・

クラクラしながら
ちょっと人の輪を外れて
自分の絵のあるほうへ避難していくと

そこに、じっと私の絵を見上げている
白人の女の人がいました

あまりにジーっと
うれしくなるくらい見上げてくれているので

それ、わたし
私が描いたの
と話しかけると

彼女は、絵を見たまま
ゆっくりと

「女の人って、こんな風に
アンコントローラブルだよね」

といったのです

わたしは雷に打たれたような
衝撃を感じました

そう!そうなの!!!!

この絵は
そんな女の人の狂気を描きたかったのです

「女の子は時に
わけわかんなくて
自分も人も苦しめることがある

でも、だからこそ
女の人には魔法が使えることがある」

女性性というと
柔らかくて、たおやかで、暖かくて、優しくて
みたいなことばかりイメージされがちだけど

それだけじゃない

不安定で、理不尽で、計算外で、苦しくて
そして、だからこそ魅力的な

そんな女性性の魔力
みたいなものを描きたかったんです

でも、そんな長い説明
誰にもできず
言葉にもできないまま
抱えて持っていたものを

彼女は一言で引き出してくれました

この時は、たまたま
それが、わたしの思うことと同じだったけれど

たとえ
全然違ったとしても良かったと思います


その時
私はその日はじめて会場で
自分の今回描いた絵そのものについて
話ができたのに気がつきました

出会ったばかりの人と
その絵がなければ
できなかったような話しを
たくさんすることができて

その充実感は
今でも
忘れることができません

そういえば一度
抽象画を見ていて
おもしろかったことがあって


飲食店に飾ってあった絵を見たお客さんが
「えーこれ君が描いたの??」と言ってくれ

いつもならここで
「何を描いたの?」
と言われる!と思って
少し身構えていると

「じゃあ何を描いたのか
みんなで当ててみようよ!」

といって
その場にいた3〜4人のお連れ様を
みんな巻き込んでゲームにしてしまったのです

そのとき4人が4人とも違う答えで
そしてそのどれもが
私の答えとは違ったのですが

わたしが自分の考えを言っても
「あー全然違ったじゃーん!」といいながら
「でも俺にはこう見えたけどなー!」と
笑い合い

それぞれの内面にふれられるような
とても楽しい時間で
一気にそのお客様の人間性を
大好きになりました

自由な発想をする人だなーと思って

あとで聞いたら
彼は帰国子女で
海外で教育を受けたということで
それも印象的でした

わたしはここで
日本はどうの、海外はどうの
と言うつもりは
全く、まったくないのですが

感覚的には
どこの国というわけではなく
日本以外の国の人のほうが
わりと好き勝手に自分の感想を言う人が
多かったように感じることがあって

もしかしたら日本では特徴的に
自分の意見を言うよりも
「正解」をだすのが「正解」
という感覚が強いのかもしれないな
と実感したりもします

どうなんでしょうか

ちなみにこの絵は銀座の伊東屋さんで展示させていただいてから西麻布のお店に置かせていただいてます。
今でもお店で見れますよ


わたしはいつでも
絵を見てくれた人が
「思ったこと」が
聞きたいと思っています

そして
たとえば
わたしがいない場所でも
私の絵がそんな会話の
間にあることができれば嬉しいと思っています


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