はじめてコーヒーで描いた絵
コーヒーで絵を描いている自分が
絵を描いていくなかで
いろいろ体験したことを書いています
1つ前の記事で
はじめて描いたコーヒーの絵は
友人のアルバムジャケットにしたいと
思っていた絵だと言っていたのだけど↓
その絵はもう手元になくて
その次に描いた絵が
いまでも手元に残っています
本当に手遊びで
アンティークの質感を練習したくて
大好きなアルフレッド・スティーグリッツの
写真を模写しただけの絵
あえてツギハギの質感が出したくて
目のあたりを破って紙を貼って描いたり
周りを不規則に破いてから
燃やしてコゲをつくったりしています
はじめてこの絵を描いたとき
一粒一粒
粒子が感じられるような
画材ではありえない
不器用な質感に
アンティークの写真の
イメージどおりだと喜んだのを
覚えています
昔の写真って
光がザラザラと映ってるような感じがして好き
この写真集
100年以上前の写真なのに
空気のふるえる感じまで伝わってくるような
雰囲気が大好きで
ドイツで勉強して
アメリカに写真芸術を伝えた
アルフレッド・スティーグリッツの
作品集なんですが
いまでも大切に持ってます
ちなみに同じ写真集から
こちらが2枚目に描いた絵
このときはまだ
コーヒーを水彩絵の具のように
薄く溶いて使っていたのだけど
このあと、どんどん濃くなることになります
こんな感じ
これは
ファッション誌の写真から描いた絵
当時わたしは
ヘアメイクのアシスタントをしていて
毎日、毎日 怒られていました
その日も撮影現場で
モデルさんの前髪をなおしにいって
違う!ぜんぜん分かってない!!と
怒鳴られ・・
「あんたは写真が頭に入ってないのよ!」
だから全然ダメなんだと言われて帰ってきて
いつものように凹み
どうしたらいいかと考えた結果
ファッション誌の写真をすみからすみまで
余白まで真似して模写することにしました
こんなことに意味があるのかないのか
分からなかったけれど
とにかく明日怒られないようにすることだけで
必死だったし
自分には絵を描くことくらいしか
できないから
そんな風に思って描いていたときに
ふと、この前のコーヒーを
また手に取って
気晴らしに画面に落としてみました
・・あれ、なんか格好いいかも
描き込んだ鉛筆のスケッチから
なるべくシンプルに線を選んで
コーヒーでつないでいくと
独特の緊張感のある雰囲気があらわれて
すごく楽しかったです
いる線だけを選んでいくのは
結構むずかしい
色を入れてみたり
これは描き込みすぎて
ちょっと失敗・・
など試行錯誤しつつ
コーヒーの絵にのめり込んでいきました
ちなみに最初の2枚は
後日、グラフィックデザイナーさんに
気に入っていただいて
チラシのデザインにしていただくことになります
デザイナーさんの仕事って本当にすごい
私の絵をこんなにカッコよく使っていただいて
あらためて脱帽したのを
よく覚えています
その後
グラフィックデザインなどを頼まれたり
してみることもあるわけなんですが
やっぱり全然できないし
もう本当に畑が違う
いまでも
自分に出来るのは
「泥つき大根を生み出すことだけ!」と思い
それを美味しく料理してくれる
デザイナーさんを尊敬しています
そんなわけで
ずっと
ポートレートを大切に描いているのは
ヘアメイクさんになりたかったこともあって
とにかく人の顔が好きだからだと思います
人の顔はとにかく沢山触ったから
こんなに沢山人の顔をさわってから
ポートレートを描いてる人は
もしかしたら
なかなか珍しいかもしれません
ヘアメイクさんにはなれなかったけど
ポートレートなら
1週間でも2週間でも
ずっと集中して「メイク」がしていられるし
私の好きな言葉で
「メイクさんは顔を塗るのが仕事だけど
唯一塗ることができない
人の目の中をメイクできて、
はじめてメイクさんなんだよ」
というのがあるのですが
ポートレートを渡した時に
喜んでもらえた顔を見ると
それに近しい気持ちになることができます
この絵を描いていたころは
その後、そんな風になっていくことになるとは
まだ夢にも思っていないのですが
はじめて手に取ったときから
コーヒーで描く
絵の質感には
ずっとワクワクさせられています