アムステルダムそしてまたトラブル
コーヒーで絵を描いている自分が
絵を描いていくなかで
いろいろ体験したことを書いています
だいぶと神聖な気持ちになったところで
体感的には
生まれ変わったくらいの時間だったのだけれど
ふたをあけてみれば
たった1時間のフライトだった
空港地下のスキポール駅へ行くと
「こっちだよ!」
渋谷で出会って
シドニーにも会いにいった
ツルツルスキンヘッドの
イギリス人の彼が手を振っていた
今日は彼女は来てないらしく
彼1人だった
「市内まで電車で20分くらいだよ」
そう言って駅の改札に向かう
そういえばイギリスでは
全く電車に乗らなかったので
現代的なデザインの
自動改札機を見て
なんだか、こういうの久しぶりだな
と思った
市内までは電車で20分くらい
車内はそこそこに混雑していた
二階建ての電車の
天井は
驚くほど低くて
通路が狭い
ほとんど体を折り曲げるようにして
オランダ人が狭い階段を行き交うのに
道を譲ったり、譲られたりした
なんでこんな狭く作ったの?!
この国、世界で1番
背の高い人の国じゃないの???
「ついたよ!」
ヨーロッパらしい作りの駅を抜ける
ほら、みて
駅を抜けて
外に出たところで
彼が振り返って
後ろに向かって
手のひらを差し上げた
つられて振り返ると
クラシカルな駅舎が
バーン!と目の前に広がった
いま出てきた駅だ
アムステルダム駅
赤煉瓦の美しい
印象的な建物だ
駅舎のすぐ横に運河が光っていて
夕方になりかけの陽の光で
ゆらゆらとして
とても綺麗だった
「ようこそ!アムステルダムへ!!」
2人の住んでいる家は
アムステルダム駅から
トラムに乗って20分ほど行ったところだった
憧れのトラム!
駅前から路面電車にとびのると
制服を着ためちゃくちゃボリューム感のある
職員のお姉さんが
車掌席なのか車内の中央の
円形に柵のある席に
すわってというか・・
ほとんど隙間なくハマるように陣取って
「チケット」といいながら
サンドイッチを、ムシャムシャしていた
・・自由だなぁ・・
ちょっと感動しながら
トラムを降りると
活気がありながら落ち着いた
オシャレな煉瓦造りの
家々がたちならぶ
街に出た
彼ら2人が住んでいるのは
パイプという地域だという
パイプはアムステルダムの中心地の一つで
住むとちょっと誇れる
人気のオシャレエリアらしい
世田谷みたいな感じなのかな
ハイネケンと大きく書いてある
煉瓦造りの建物を
見上げながらとおりすぎた
ここ、ハイネケンの本社なんだって
日本人も
いつもお世話になってます
「ここだよー!」
入り口はちょっとせまいけどね
いいながら彼は
重たいスーツケースを引き上げるのを
手伝ってくれる
だからどうしてこの国は
世界一背の大きな人たちが住んでるのに
こんなに狭い階段をつくるのか、、
3階まであがって
入り口を入ると
AppleのCMでしかみたことないような
めちゃくちゃオシャレな部屋が
ひろがっていた
・・おっしゃれー
広々したリビングに
真っ白な機能的なキッチン
大きな窓に
ふわふわのカーテン
L字のグレーの低いソファ
モダンな家具
照明までが現代的で
スタイリッシュだった
「オシャレだねー!!!」というと
「ここはね家具付きなんだよ」
と彼は言った
彼女は仕事中だというから
夕方まで
荷解きをしたり
近所を散歩したりしながら待った
ほどなく彼女も帰ってきて
「今日はお肉を焼くわね」
といって歓迎してくれた
美人の上に料理までできるんですか、、、
完璧やん、、
彼も協力して
一緒にディナーの調理をする
自慢の野菜グリルも美味しかった
完璧カップルやん、、、
わたしは、イギリス滞在のあいだ
みんなのおかげで、ありがたいことに
ポンドをほとんど使わなかったので
その残ったポンドを全部使って
2人のためにシャンパンを買っていた
「泊めてくれてありがとう
これからよろしくね」
そんな感じで
初日の
ディナーを楽しんだ
2人は本当に
とても良くしてくれた
3人での不思議な生活
リビングのソファーが
組み替えると
広くて立派なベッドになって
そこが私の部屋ということになった
オシャレな2人は
インテリアの小物まできれいで
雑誌に出てきそうな真っ白な洗面台に
ふっかふかの分厚いバスタオルがあって
見てるだけで自己肯定感があがりそうだった
自分の旅行用タオルの
ペラっペラな質感が非常にわびしい、、
なんか、質の良いモノを
日常に使ってあげるのって
大事なんだなあ、、と
その2種類のタオルを横目に思ったのを
すごく覚えている
毎晩3人で、呪文のように
それぞれの国の言葉をつなげた
「おやすみ」を言って
部屋に入った
「ナイナイ(イギリス)
おやすみ(日本)
スパコイノイノーチェ(ロシア)
スーパーモデルのように
美人でスタイルのいい彼女は
なんと、大学の研究者だった
格好、良すぎるでしょ、、、
もちろんモデルもやっていたことが
あったらしいんだけど
本格的にモデルをやろうとおもったときに
お父さんに反対されて
研究者の道にいったんだって
でも、やっぱりファッションモデルにしか
見えないくらい
いつもオシャレで格好良かった
そんな完璧なビジュアルとキャリアと
スキルと性格なのに
彼女の英語はフニャフニャのロシア語なまりで
本当に可愛らしい
なんとなく、ネコがニャーニャー
ないてるみたいに聞こえる
ちなみに性格もめちゃくちゃ優しかった
そのころ
ちょうどまた彼女の誕生日が近づいていた
渋谷で出会った頃から、もう1年がたっていた
(↓渋谷で2人と出会った経緯のくわしくはこちら)
お祝いに
わたしは
彼女のポートレートを描くことにした
滞在のあいだ
日中は
イギリス人の彼の方が
よく街を案内してくれて
このときのキャンバスも
彼が案内してくれた近くの画材屋で調達した
彼女の仕事の都合で引っ越してきたので
彼はまだ自身の仕事ができるようなビザが
申請中ということもあって
昼間、時間があったのだ
毎日「今日はなにを彼女に買って行こうか!」
どうすれば彼女が喜ぶか
2人で会議しながら
夕飯の食材を買い出した
(このとき知ったウナギの燻製は
市場で見たときは「武器かな??」ってくらい
カチカチだったけど、おいしくて最高だった)
そうそう
イメージしていたとおり
アムステルダムは
ものすごく自転車がおおい
道路は、歩道、自転車用、車道、トラムが
すべて並走して走っているので
道を渡るたびに
イギリス人の彼に
「マインドピープル、マインドバイク、マインドカー、マインドトラム、マインドアザートラム、マインドカー、マインドバイク、マインドピープル・・」
と、呪文のように言われた
右と左を見て車に注意して渡りなさい
ということなんだけど
それぞれの道路がならんで
まるでサンドイッチのようになっているので
横切ろうとすると
対向車線までふくめて
右と左を見ないといけない回数が
めちゃくちゃに多い
そんだけ言われてるのに
毎回、最後の自転車を注意するのを忘れた
アムステルダムまできても
安定のポンコツだった
パイプ地区は近くにオシャレなカフェもあるし
可愛い雑貨屋もあるし
公園もあるしで
とても過ごしやすかった
アップルクランブルケーキが
めちゃくちゃに美味しい
その中でちょっとだけビックリしたことは
夕方の6時になると
近所のカフェがガンガン椅子をあげて
閉店準備をはじめることだった
え??まだ6時ですけど?!
さらに日曜日は休みだったりする
ねぇ君たちいつ働くのー????
日本人からすると
とてもビックリだったのだけど
オランダ人は
とてもリラックスをするのが上手だ
カフェは6時に閉まるし
日曜日は運河のそばで
沢山の人がビールを片手にくつろいでいる
日差しの高い公園の芝生で
寝っ転がって時間をすごす
幸せそうなカップルや家族連れ
心地の良い時間を
ちゃんとわかっていて
それを過ごしている感じが好きだった
あ、日曜日の運河では
一度、船の運転もした
まるでレンタカーのように
3人で借りて
ビールを持ち込んで
自分で運転する
最高の時間だった
おもに彼が運転したけど
「ちょっとやってみる?」といわれて
数メートルだけ操舵をかわったときには
右と左がまったくわからなくて
(感覚と逆方向にきらないといけない)
停泊中の船にポヨンとぶつかってしまった
「・・・」
一瞬の沈黙のあと
、、ゴム部分がポヨンとあたっただけで
どこも壊れてないし、、誰も乗ってない
、、、、逃げろーー!!で
退散してしまった。
ごめんなさい。もう運転しません・・。
それからオランダの街でいきかう
人々のファッションも
それぞれが自分のある格好をしていて
見ていて楽しかった
ファッショナブルなおばあちゃんが
真っ白な髪に映える
真っ黄色なダウンジャケットと
青いサングラスをしていたかとおもうと
小学生の黒人の男の子が
めちゃくちゃかっこいい渋い色味の
スタイリッシュな
迷彩のセットアップを着こなしていたりする
あとでお店にはいってみると
可愛いカジュアルファッションとか
雑貨がめちゃくちゃ充実していた
「人と同じでなくていい」
それぞれを表現するような
それでいて肩肘張らずに
自由に楽しんでいるような
自然な雰囲気が素敵だった
そうそう、一個おもしろかったのは
自己主張がハッキリしていて可愛いところ
いちど、目の前で
危ない運転をしている
自転車に
小さいおばあちゃんがキレて
車の運転席で
ハンドルをバンバン両手で叩きながら
自転車にむかって中指を立てているのが見えた
おもろい笑
それを2人に言うと
「日本人は変わったところで感心するのね」
といわれた
イギリス人の彼は
「オランダ人はハッキリものを言うから無礼だ」
といっていた
ロシア人の彼女は
「オランダ人はハッキリものを言うから
ロシアみたいでやりやすい」
といっていた
そんなところも
なんだか
ヨーロッパのそれぞれの
キャラを感じて面白かった
そんなある日
2人が
「日本食レストランに行こう!」と言って
近所のレストランに行くことになった
もともと、2人は
日本食が好きで
オーストラリアにいるころから
それで気が合ってたらしい
だから日本にも旅行に来ていたのか
そんなこんなで
「君は日本人だから
僕たちがいつも行ってる日本食レストランが
あってるのか、まちがってるのか
チェックして欲しいんだ」
といわれた
その店は家のすぐ近くの
大通りにあった
外から見ても、なかなか賑わっている
人気店なのだそうだ
ワクワクしながら
2人につれられて
店内に入った瞬間
まだメニューも運ばれてきてないうちに
私は
「ざんねんですが、、たぶん、この店
日本人、1人も働いてないとおもうよ、、」
と言わざるをえなかった
その店は、店内に居酒屋の提灯がさがり
向こうに寿司の板前さんがいそうな
カウンターがあり
ダルマがあって
招き猫があって
うちわが飾ってあった
メニューは寿司と焼肉と居酒屋メニューが
ゴッチャゴチャになっていて
そして向こうのほうに
赤い菱形に黒い福の字が
逆さに貼ってあった
・・完全に中国やん、、
デザートは全て饅頭
そういえば日本食レストランで
デザートが饅頭というのは
ものすごく違和感がある
なんでだろうね
板前コーナーで
白い帽子をかぶっているのは
女子高生のバイトみたいな女の子だった
・・カオス
ためしに頼んでみた寿司は
完全に「生魚がのったおにぎり」で
ぎゅっと固まった米と
生魚の相性は最悪だった
わたしは
寿司とは
食べた瞬間に
口の中でほどけないと
いけないものだったんだ
とはじめて気がついた
「そっかー、、けっこう人気で
高いんだよ、ここ」
2人は、とてもがっかりした顔をした
アムステルダムでも日本食は人気らしい
街中には他にも
色んな日本食レストランがあった
デートで行きそうな
オシャレな雰囲気で人気のお店もあったけど
店名を見たとき
わたしは爆笑してしまった
突然、笑ころげてる私を見て
2人は不思議そうに「どうしたの?」ときく
だって、、
ものすごくオシャレな外観の店に
ものすごくオシャレな字体で
「 I z a k a y a 」
って書いてあったんだもん
のちのちになって
市内で明治屋のデリを見つけたわたしは
2人に
アムステルダムで信用していいお寿司は
これです!といって買って行った
明治屋をみつけるまでは
日本の食材を見つけるのは
本当に大変だった
せっかくだから
ここは2人に
わたしが
日本食を作ってあげようとおもったのだけど
家の近所のスーパーは
オシャレで広く
沢山のオーガニック食材をあつかっていて
日本食のコーナーもあったものの
ミソスープ、、と書いてあるスープは
コンソメのようなキューブ状だった
。。あやしい、、、かぎりなくあやしい、、
それしかないので試しに買って
お湯に溶いてみると
ものすごくハーブの匂いがして
謎の油がういていた
、、うん、、まずい、、
顔をしかめながら箱を確認すると
made in France
と、書いてあった
フランスさーーんん!!
。。おねがいだから
みそ汁
オシャレにアレンジしないでーーー!
野菜なんかもなかなか揃わなくて
マルシェにもつれてってもらったけど
かっぱまきを作りたいのに
きゅうりが小指ほど小さいか
顔くらい大きいかで
ちょうどいいきゅうりがない
大根もでかいカブみたいなのか
ピンポン玉みたいなやつだし
肉じゃがならできるだろう!
ジャガイモとニンジンは万国共通だ!
とおもっても
薄切り肉が手に入らなかった
絵本にでてきそうな
商店街の肉屋に行って
「めちゃくちゃ薄い薄切り肉をください」
といっても
ちょっと薄めのステーキ状に
肉を切ってくれただけだった
、、それじゃない(涙)
もっと薄く、というと
「できない」
結果、ものすごく歯応えのある
肉じゃがができた
だから明治屋を見つけた時はうれしかった
ひととおり食材をそろえると
日本より、なかなかに割高だったけれど
明治屋にいけば味噌でも豆腐でもなんでもあった
(現在は閉店してるみたいですね、ざんねん)
この頃わたしは
あるトラブルに気づいていた
あれ、、もしかして、、
現金、ひきだせなくない????
イギリスのときは
店もなかったし
いつもお家でご馳走に
なってしまっていたのだけど
アムステルダムの
2人は外食派だった
毎晩
「今日はどこにディナーにいく?」
といって3人で出かける
彼がカードで払い
あとで現金で精算するので
持ってきたユーロがどんどん飛んでいった
あーお金おろさないとなー
銀行に行くと
エラー
あれ?
おかしいなー
別のところでやってみようかな
また次の機会にためしてみる
エラー
銀行をかえてやってみる
エラー
、、おかしい
って言うかやばい
このままだと現金が
あわててしらべてみる
カードの残額に問題はない
問題はなかったが
もう少しよく調べてみると
海外での使用については
事前の申請が必要だった
国内にいるうちに
、、、もう遅いーーーーー!!!!
え?もう遅くない??
てか、わたし
この旅の間
これからずっと現金出せないの???
やばくない??
心の中で青ざめつつ
スーパーならカードが使えたので
なんとなく自炊の方向に
舵を切りたくて
日本食を積極的に作っていた、というのも
実はあった
まあ、あの「嘘日本食」より
自分が作ったようなものでも
一応、日本人が作った日本食を
2人に食べてもらいたいなー
というのもあったしね
まあカードの件は不注意というか
非常ーーーーに
格好悪い
問題だったけれど
わたしは、しかたなく
そのトラブルを
彼らに相談することにした
「、、そういうわけで
ちょっと現金をセーブしたいから
私にはなるべくカードで支払わせてほしいんだ」
そういうと
2人は
「まだ滞在できるんでしょ?
2週間ほどあとに
キングズデーという祝日があって
その日なら誰でも道端で
お店を出していいから
あなた、絵を描いて売ってみたら?」
と言ってくれた
えーーーキングズデー?
なにそれ??
絵を描く?
売る?
売れるの?
事前申請は?
場所は?
誰でもっていっても、、
本当に私でも参加していいのーー???
なにも分からない
でも背に腹はかえられないし
やるしかない
というわけで
わたしは2週間後の
謎の
「キングズデー」
というものに向かって
わけもわからないまま
準備を始めることにした