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コベントリーのお誕生日そしてアムステルダムへ

 コーヒーで絵を描いている自分が
 絵を描いていくなかで
 いろいろ体験したことを書いています

2015年 ヨーロッパ放浪
〈イギリス 6〉

城から 森の中の小さな家に移動して
3週間ほど過ごした後

アムステルダムに向かうため
バーミンガム空港のそばの
コベントリーに向かう

(↓詳しくはこちら)

森の中の家に泊めてくれた
庭師さんの
彼氏の
実家の
お母さんの
誕生日を
親戚一同で祝う席に

なぜか
飛び入り参加することになった


そんなとこにいきなりいって
本当に大丈夫だろうか?


森の中の家を出発して
車で2時間ほど走ったころ

とある大きなショッピングモールにつくと
庭師さんの彼氏は
「ちょっと寄っていい?」といって
車を停めた

日本でも郊外によくありそうな
駐車場の広いショッピングモールだった

スーパーマーケットから雑貨
ガーデニングやDIY用品
一回りすれば
ひととおりなんでも揃いそうな雰囲気だ



「ママにバースデーカードを買いたいんだよね」

彼はそう言って
セールの靴屋を一周みたあと

いろんな雑貨を売っている店に入って行った


地元の中高生が,
学校帰りに寄りそうな雰囲気の店だ

色とりどりの文房具や
雑貨に混じって

さまざまなカードが
壁にディスプレイされていた



「・・・これでいいか」

彼はほどなくして
1枚のカードを選んでとった


モノクロの写真で
満面の笑顔のおばあさんが笑っている


「意味わかる???」


といって彼はカードを見せてきた


そこには
“Be happy and keep smilling!!!
Even if you wet yourself!!”

と、書いてあった

「Be happy and keep smillingは
分かるけど・・
幸せで笑顔でいてね、でしょ?

誕生日のお祝いっぽいね。・・けど」


そのあとが分からないよ?

Even if you wet yourselfe??


全部、中学生で習うような
簡単な単語なのに
本当に意味がわからなかった

ぬれる?なにが?どゆこと???



本当にわからなくて私の頭に
「?」がいっぱいならんでいるのをみて



「お年寄りはさ、ときどき
自分自身を濡らすことがあるだろう?
ほら、しっぱいしてさ」

と楽しそうに説明しだした


・・つまりお漏らしだよ

そういって彼はイタズラっぽく片目をつぶった



「いつも幸せで笑顔でいてね、
たとえお漏らしで濡れたって」ってこと?!


なんつーブラックジョークだ!!!!!

え??いいの???てかそれ選ぶの?
渡すの?母親に??
え?!!!
なにそれ大丈夫!!!??!


ビックリしてアワアワしている私を見て
彼は楽しそうに笑った

14歳のワルガキのような顔だった


そのままレジに向かっていく

・・本当に買っちゃったよ
本気でわたすつもりなの?!



彼は簡単に車内で
手書きのメッセージをかきあげると
また車にのり
しばらく走って
一軒の家の前で車を停車させた



「ここだよー」

そうやって、ついた先は

なんだか、とってもいい感じの住宅街だった



イギリスに来て以来
城だの古都だの森の中だの
羊だの馬だの、27匹の鶏だのと

タイムスリップしたような
非現実的な景色ばかりみていたので

その普通の街並みは
なんだか逆にとても新鮮だった


「ただいまママ!」

彼は大きな体に不釣り合いな
可愛い雰囲気の
一軒の家に入っていく


「あらあらおかえり」
中からは白髪の
とても華奢で小柄な
可愛らしいお母さんが現れた

絵に描いたような
イギリスの上品なママって感じ


「これが言ってた日本の子だよ」

話が通っていたのだろう
わたしは紹介されて
挨拶したのだけど


心の中では
本当にあのカードをわたすのか


あんなの渡されて
お母さんはどう思うのか、と
気が気ではなかった


「ああ、そうだ
ママ、ハッピーバースデー!!!!」


満面の笑顔で
彼は例のバースデーカードを
お母さんにわたす


「あら!ありがとう!」


パァッと花が咲いたような笑顔で
受け取ったお母さんの顔を見て
わたしは血の気がひいた


どうなっちゃうんだ、、
お母さん、、そのカードは危険ですよ!!



目の前で,お母さんが
白い封筒をあけて
二つ折りのカードを開くのがみえる


ああ、、顔をおおいたくなった
薄目で成り行きを見守ると、、、



「もーーー!!!!!!」




といって
彼女はカードを両手に持つと


そのカードで

息子を
バンバン叩いていた


息子は
心底楽しそうに笑いころげ

逃げ回るそぶりをしながら
叩かれている


・・なんて・・
可愛い親子なんだ



わたしはちょっとビックリした
ウチには、、、ない文化だ



「この子たちったらね!!!!
毎年こうなのよ!!!!!!」


ママは私の方をふりかえって
可愛くプリプリしながら


もう!ちょっと見てくれる??!!


といって、おもに彼と彼の弟さんからだという
歴代の「ヒドい誕生日カード」を見せてくれた


今日わたされたものと
同じような感じの
メッセージカードが
ずらっと並んでいた

全部の意味は
すぐには分からなかったけれど
だいたいの想像はつく


ほんとにヒドいでしょ??
いいながらママは嬉しそうに笑っていて


なんだか、家族っていいなあと思った



もう1人のワルガキの弟も
あとから紹介されて
あんまり、お兄さんとは似てないなぁと思った

彼は姪っ子と,甥っ子をつれてきていて
女の子はまだ小学校の低学年くらい
とっても可愛い

その子はいま学校で
日本語の勉強にハマっているらしく
漢字を書いたノートを見せてくれたから

わたしも色んな日本語を教えてあげた

その子に日本語を教えながら

わたしはこの家族にとっては
「ママの誕生日」に突然現れた
赤の他人だったけれど

ちょっとは来てよかったのかな
と、思った



あとできくと
兄弟は合わせて4人もいた
お姉さんもこれから来ると言う


「彼はとても若く見えますよね」
お母さんにそういうと


「そうでしょう?
でも彼の父親はもっと若く見えたのよ」

といった

亡くなったときは70代だったのだけど
40代にしか見えなかったわ



・・さすがにそれは嘘だろう
とおもっていると

キッチンにある家族写真を見せられる



・・うわぁ、、マジか、、マジだ。。



そこには筋骨隆々の
若々しい男性が写っていた

それで70代のころの写真だと言う


古くて画質の荒い集合写真だったけれど
たしかに、どう見ても40代にしか見えない
少なくとも70代にはとてもみえなかった

しかも



「70代で亡くなったんだけどね」

というから、ご病気でもされたんですか?
ときくと



「トライアスロン中の事故だったのよぉ・・・」
頬に手をあてながら
ママが言う


・・え?!トライアスロン?????


お父さん
死因、若すぎません??!!!!



そのあと、お姉さんと言う人を紹介されたけれど
彼女も
金髪でスラッと背が高く
30代くらいにしか見えない
とんでもない美人だった

でも50歳の彼より年上なのだから
50代なのは確実だろう


研究者の皆さん!なんか
この家族の遺伝子
不老長寿とかなにかで
調べたりしてみたほうがいいですよ!






そういうわけで、その日の夜

森の家に泊めてくれた
庭師さんの
彼氏の
実家の
お母さんの
お誕生日を
親戚一同で
お祝いする
ディナーの席に

しっかり参加をさせてもらった



はじめは
大丈夫かなぁと
心配していたのだけれど
家族は突然あらわれた日本人のことを
すごく快く迎えてくれた

ディナーを食べてケーキを食べて
ハッピーバースデーを歌って

わたしは
日本語版のハッピーバースデーを教えてあげた




少し落ち着いてから

「飲みにいくかい?」

といって彼と弟が立ち上がった

「地元を案内するよ」



それから連れ立って
地元のパブにつれていってもらった


正真正銘のイギリスのパブ


薄暗い店内にはピカピカして
立派なビールサーバーが
何本も何本も光っていて
店内はめちゃくちゃ賑わっていた


外観も内観も雰囲気たっぷりに
年季がはいっていて格好良かった
古いけれど活気がある


「ここはね、70年もやっていて
うちの
おじいちゃんが、おばあちゃんに
プロポーズしたパブなんだ」

素敵だなぁ・・

なんだかイギリスの
パブ文化の伝統を見た気がした

もちろん味の濃いIPAを
パイントグラスで
しっかり飲んだ



程よくお酒も入っての帰り道

「ちょっと近道しようか」


といって、2人は
細い路地の生垣のあいだの
道があるんだかないんだか
みたいなところをズンズンと入って行った


ビックリしながらついていくと
ガサガサと植え込みの草をかき分けて
板の壁に挟まれた
道というより、ただの隙間のようなところを
サッサと歩いていく

前を歩く巨体が2つ・・

あきらかに道とサイズ感があってない、


その道は
2人が
小学生のころに
よく通った抜け道なんだそうだ


「兄貴におしえてもらったんだ」
2人の表情は
すっかり2匹のワルガキに戻っていた


まるで小学校3年生だ



そんなこんなで
3人の(いい歳した)大人たちは
そろって田舎道を下校した

星が、すごくきれいだった



家に帰ると
ママがソファで難しい顔をして
1人でiPadでソリティアをして遊んでいた


「ああ、おかえり
ここが引っかかってて分からなくて、、」
そう言いながら、人差し指を泳がせている


ここじゃない?
重ねられるトランプを見つけると
しばらく一緒にソリティアをやって遊んだ

ママが部屋に帰ってしまってから

わたしがもう何回か
1人でソリティアをやっていると
カードがみつからなくて
悩んでいるところに
さっきのワルガキ(50歳)がやってきた

「ここじゃない?」
といってカードを指し示す

トランプが一気にほどけてなくなった
・・くやしい笑


いいかげん遅い時間になったので
「お部屋はここを使って」と
ママに昼間に案内されていた
2階の子供部屋に戻る


子供の頃に使っていたまま
といった雰囲気の部屋は
可愛らしくて
本棚には絵本がいくつも並べてあった

なんとなく、マッチョの大男の彼が
この可愛らしい部屋に
入り切るイメージがわかなくて
面白かった

いくつの頃まで
使っていた部屋なのだろう

おもちゃ箱のように
可愛らしいカラフルな部屋で
わたしは快適に眠りについた



次の日,わたしが起きてくると
ママ以外はまだ
誰もリビングに来ていなかった


「おはよう、朝ごはんを食べるから
こっちいらっしゃい」


ママはそう言って
台所の裏の
小さなポーチに案内してくれた

小さな鉢植えがいくつかあって
箱庭のようで素敵だった
開け放った扉の
朝の空気が気持ちいい


「ここで朝ごはんを食べるのが好きなのよ」


そういって彼女は
あったかいオートミールに
ナッツとレーズンとミルクを
かけてくれた

オートミール・・

それまで映画とかで
登場人物が「ウエっ!オートミールだ!」と
やってるイメージしかなかったから

恐る恐る
初オートミールを口にはこんでみると
あったかくって、あまくって
わたしには
とても美味しかった


「わたし、これ大好き!!」というと
ママは嬉しそうに

もっとたべなさい、おかわりあるわよ

と言った

これは、日本に帰っても
絶対に作ってみよう
と心に決めた



それからママの入れる紅茶は
本当にとんでもなく美味しかった


イギリス人って本当ーに紅茶を飲むんだなと
思ったくらい
ママは3秒に一回の勢いで
「ティーウィズミルク」をすすめてきた

わたしはずっと飲んでるうち
最終的には
その「ティーウィズミルク」がないと
おちつかない
中毒症状みたいになってしまった


日本に帰ってきてから
自分で入れても
どうしてもあの味にならない

水が違うのだろうか


その日も朝ごはんのあとに
ママのあたたかい
ティーウィズミルクを飲んでいると


「写真をみたい?」といって
ママが古いアルバムを出してきた

兄弟の子供の頃の写真なんかが入っている

「これがね、たしか18歳のころのあの子よ」

ママが指差した先には
とんでもない美青年が写っていて
度肝をぬかれた

ブラックスーツに
細くて黒いタイが
めちゃくちゃオシャレだ

いまはTシャツにクタクタのシャツを
着てるとこしかみたことなかったけど
あのワイルドな山男は
昔こんなに、シュッとしていたのか

そんなふうに
写真を沢山見せてもらいながら
朝の時間をすごしていると
ママが

「あとで犬の散歩に行くけど来る?」

そう言って
近所の公園に誘ってくれた


家にはやたらと細い
足の早そうなグレーの犬が1匹いて
室内で飼われていた

そのころになると
もうすっかり犬が大丈夫になっていて

自分が平気になると
不思議なことに
犬からも好かれるようになっていた

そうすると、ますます
犬が好きになっていく

こっちで見る子たちは
なんだか目が穏やかで
とてもリラックスしてる感じがした

ヨーロッパは
ブリーダーとかも厳しくて
ペットを取り巻く環境が
すすんでいると
聞いたことがある気がする

もしかしたら何か
犬たちを取り巻く環境に
違いがあるのかもしれない
気のせいかな


「行く行く!」


二つ返事で立ち上がると

ママと
そのころようやく起きてきた
ワルガキの大男さんと
3人で散歩に行くことになった

10時ぐらいだったから
1時間くらい歩いて
帰ってから準備をすれば
飛行機の
出発には間に合うだろう



近所の公園は
ここは公園なの???というくらい
森が深くて
なかなか散歩のしでがあった

林道は道が細くて
周りは木に囲まれ
森の中の山道を散歩した時を思い出すような
うっそうとした雰囲気だ


細いグレーの犬は
細い足で軽快に歩いていく


ただ、森の中の
ほとんど誰にも会わなかった道とは
違って

公園の中では
何人も別の
散歩中の人と行き交って
あいさつをした



途中,細い川があって
飛び越えないといけない場所があった
本当にここは公園なのか
なかなかにワイルドな道だ

華奢なママは当然のように
でかい息子に手を引いてもらい

「あなたもほら」
と言われたので

わたしも手を取ってもらい
川をわたった


わたしは田舎の子だから
自分で渡れるのに

「ほら」
と分厚い手のひらを
差し出されて
とても恐縮した

人に手を取ってもらって川をわたるのは
なんだか嬉しいことなんだなぁとおもった


そうして
歩いていると
そのうちママが遅れて
まったく
ついてきていないのに気がついた

知り合いの人と話し込んで
動かなくなってしまったようだった

向こうで話し声がきこえる


「少し待ってよう」

大男さんは
そういって、森の中の木立のなかで
立ち止まった


なんとなく待ちぼうけているうちに
一瞬、会話がとぎれた

そのとき光がさしこんで

彼の金髪が光に当たって
ものすごく金色に光って
青い目が奥まで
綺麗に透き通ってみえた

なんとなく

わたしの黒い目は
いったい反対側から
どんなふうに見えているのかな

と、おもった



「ごめんねー話し込んじゃって」


あとからパタパタと足音をさせて
ママがやってきた

「大丈夫、行きましょう」
そういってまた歩き出した




家に着くと
ほどなく空港へと出発する時間になった


「思い出に、この部屋にあるものを
何か持って行っていいわよ」
と、かえりぎわにママがいってくれた


え、それなら

「じゃあ、、わたし絵本が一冊欲しい」


わたしがベッドのわきにあった
絵本を指さしながら言うと

ママは「いいわよ」
といって,戸棚から
一冊の黄色いキャラクターが描かれた
小さい本をとりだした


「これをあげるわ」



Mr.シリーズ
イギリスではとてもポピュラーな
絵本のシリーズだそうで
たくさんのキャラクターがでてくるらしい

みんなお気に入りのキャラがいるという
アンパンマンみたいな感じなのかな

それぞれのキャラクターの名前は
それぞれの性格の名前になっている

この子はミスターブレイブ
日本語で言うと「勇気くん」


「なぜなら、あなたは
1人で旅をして
とても勇敢だからね」



そういってママは
優しくハグをしてくれた




空港までは車で30分ほどだっただろうか


駐車場に車を停めてもらうと
私は車を降りた

見送ってくれた彼は
「わるいけど、ここまでしか見送れないんだ」

10分こえると駐車料金がかかるから
悪いね

といって申し訳なさそうにした


「ううん、ぜんぜん!
本当にありがとう!」


本当に、ありがとうだ
まだ自分がバーミンガム空港にいることが
信じられない


みんなにも、よろしく

そういうと
彼は別れ際のハグをして


また、いつでも来ていいから!

自分の家だと思って



そういってくれた


ありがとう
本当に、本当にありがとう


時間のない彼を
引き止めるわけにもいかないので
わたしは
別れを惜しむのもそうそうに
空港にむかって歩き出した



搭乗手続きをすませ
荷物をあずけて
驚くほどスムーズに
搭乗口をぬけて

飛行機はゆっくり動き出し
わたしは「機上の人」になった


ぜんぜん離れたくなかった


どんどんイギリスの街がちいさくなる


老紳士に迎えられて
城ですごした
カーレディといっしょに
たくさんの車を見て、馬に出会って
お城でたくさんの話をして
おやすみのキスと
天蓋付きのベッド
美しい庭と
2羽の白鳥
暖炉の火と
車の絵

森の中の小さな家では
庭師の彼女と
その彼と
2匹の犬と
27匹の脱走チキンたち
薪割りの音
森の散歩
うみたてのたまご
たまかけごはん
サンデーランチのラムとミントソース

コベントリーでのお誕生日会
夜のパブと
小学生のような近道
星の空
朝のオートミールと
3秒に1回勧められる
ティーウィズミルク
ミスターブレイブの絵本

丘に点々と白い点を打つ
人間より数の多い羊
古い教会
旧市街
ハリーポッターのような荘厳な大聖堂
歌いながら乱暴な運転で走った山道

いろんな思い出がぐるぐると
頭の中にあふれてきた

ぜんぜん離れたくなかった

ぜんぜん離れたくないのに

ずっとここにいたいのに

涙が出てきた


こんなに離れたくないのに
私は淡々と
自分でこの場所を
離れる手続きをすすめて

いま飛行機の座席にすわっている

こんなに離れたくないのに
行かなくちゃいけない


勝手に動いていく飛行機にすわって
自分でとめることは出来なくて


ものすごいスピードでイギリスを離れていく
もう戻れない

あんなに楽しかった場所をはなれて
ぜんぜん別れたくなかった
人たちと別れて

これから向かっているアムステルダムでは

また何があるかわからない

いつまでいるかもわからないし
どんなことが起こるかも
全然わからない

怖い

でも行かなくちゃいけない



なんだか
成仏してるみたいだとおもった


愛する全てを後ろにおいて
飛んでいって・・


勝手に涙が流れる

そのとき飛行機が雲を抜けた
眼下には一面の雲が広がった
空が青すぎるほど青い



本当に成仏してるみたい



私はちょっと笑った


予定のない旅は
ちいさな
人生みたいだとおもった

明日、何があるかわからない
いつまでいられるかもわからないまま

偶然に出会った人に助けられ
大好きな人を増やしながら
不安になったり、焦ったり、考えたり
決断したり

そうやって
また思い出を増やして

1ヶ月前には全然しらなかった
でもこれからは
ずっと大切にしたい人たちが
沢山できて


たとえ、この先
2度と会えなくても
ずっと、大切に思っている



飛行機はすっかり安定して飛んでいて
もう雲海もみえない
窓の外は青空だけが見える

これから私が降り立つ
アムステルダムでは
いったい何が起こるんだろうか


きっとまた
色んな出会いがあって
色んなことが起きて
きっとトラブルも沢山あって
沢山こまって
そして沢山の思い出が
また、できたりするんだろう

でも、それの
どれもが
まだ、まったくわからない


怖くて
楽しみで


そう思いながら
青いだけの空を見ていると

まるで
自分が



これから
生まれる前の
赤ん坊になったような
気持ちになった



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